腰痛

症例1

患者

男性 30代 群馬県

来院

2006年1月

症状の特徴と経過

2005年12月、雪下ろしの最中に腰に痛みが出現。部位は第5腰椎から仙腸関節にかけて。その後、痛みが悪化し、朝は前屈みができなくなった。翌年の1月13日、整形外科を受診しレントゲン撮影。軽度のヘルニアであると診断された。痛み止めの薬と湿布薬を処方されたが、悪化するばかり。夜寝ている間も痛む。1月6〜7日はのどに痛みがあった。

他の症状

特になし

既往歴(これまでにかかった病気)

特になし

治療の内容と経過

本人の自覚はなかったが、体には風邪による影響が残っていた。具体的には、体の表面に温もりがなく冷えていた。この冷えが筋肉をこわばらせ、腰痛を治りにくくさせていると考えた。腰へのアプローチは行わず、風邪の影響を取り払うことに専念した。初診後、直ちに効果が現れ腰痛が緩解。その後自然回復した。

著しい効果が見られたツボ

後谿(右)、申脈

まとめ

腰部のダメージは症状の割に小さく、回復を阻害している因子が問題であった。そもそも、体は自然回復すようにできている。その回復力を引き出すことで著しい効果が上がったという代表例である。もし、体表面の冷えを無視して、腰部の疼痛部位ばかりに目を向けていたら、これほど速やかに回復することはなかったであろう。

[YMMO20060114]

症例2

患者

女性 30代 群馬県

来院

2008年3月

症状の特徴と経過

14〜15年前から、約2年おきにぎっくり腰を起こしていた。1週間くらい前から腰に痛みを感じ、ぎっくり腰が起こりそうな雰囲気を感じている。姿勢によって臀部の辺りに電気が走るような痛みを感じる。痛みを全く感じない時もある。前屈、後屈ともに痛みが増悪するが、前屈の方がより増悪。

他の症状

左膝痛(内側)、頚こり、肩こり

既往歴(これまでにかかった病気)

気管支喘息、アレルギー性鼻炎

治療の内容と経過

腰痛の程度としては比較的軽いレベルのもので、器質的異常の可能性は低いと思われた。つまり、組織そのものに異常はないので、動作時に負荷のかかる場所を特定することがこの症状のポイントだった。施術前、痛みが出現しやすい姿勢を探すと前屈であった。この情報をもとにツボ選びを行った。施術直後に症状は消失した。

著しい効果が見られたツボ

照海(左右)、築賓(左右)、三焦兪(右)

まとめ

足首の調整で7〜8割の症状が消失した。残った2〜3割は腰部の骨を調整し解消させた。痛みを感じる部位と身体的な問題が別にある典型例であった。腰部深層筋(インナーマッスル)の機能が低下することで、臀部の筋肉(アウターマッスル)の過緊張(こわばり)を生んでいたと解釈できる。もし、臀部の筋肉を和らげるように処置していたら一時的な鎮痛効果だけだったように思う。

[YFNY20080310]

症例3

患者

男性 55歳 埼玉県川越市

来院

2008年3月

症状の特徴と経過

朝起きて、しゃがんだ瞬間にピリッと腰(仙骨周辺)に痛みが走った。仕事に行くことはできたが、痛みで仕事にならなかったため職場から来院。状態を詳しく確認してみると、広い範囲に痛みがあるものの最も痛みが強いのは右仙腸関節辺り。歩行で重心を右足に乗せた時、上体を右後ろに沿った時、前かがみ時に痛みが増悪することがわかった。3ヶ月前から左足に荷重した際に左内踝(くるぶし)に痛みが発生していた。仕事では、重い物を持つこともなく、発症時も腰へ負担をかけていなかった。

他の症状

特になし

既往歴(これまでにかかった病気)

ぎっくり腰(10年前)

治療の内容と経過

3ヶ月前から左足の内踝に痛みが出ていたことが今回の腰痛(「軽度のぎっくり腰」を言えるだろう)に関係していると判断した。そのために、左足首の調整を行った。しかし、明らかな改善が確認できなかったため、臀部と腓腹筋(ふくらはぎ)の筋緊張を取り除いた。すると痛みは半分程度に。3日後再来院。歩行時の痛みは改善されていたが、前かがみの際に痛みが残っていた。左足首の痛みも改善傾向であった。再び足首を診ると、左の内踝にわずかな腫れが認められた。再度足首の調整を行ったところ顕著な改善が診られた。続けて臀部の筋緊張を緩和させると症状は完全に消失した。翌日に電話があり「すっかり良くなった」とのこと。

著しい効果が見られたツボ

中封(左)、築賓

まとめ

ポイントは3ヶ月前からの足首の痛みだったようだ。この症例は、足首の異常が腰痛に発展したという典型例であった。そのため、足首を調整して腰痛を治すという教科書的な手法がそのまま活かせた。ただ、反省すべき点は初診時のツボの選び方だった。着眼点は間違っていなかったがツメが甘かった。精度が狂わなければ1回の施術で完治したかもしれない。

[YMTS20080324]

症例4

患者

男性 34歳 群馬県伊勢崎市

来院

2008年4月

症状の特徴と経過

3年前、運動中に突然腰痛になり、コルセットを使用しながらストレッチとプールの運動で改善した。ただ、完全には回復せず2007年の年末からは処方された薬を服用していた。来院3週間前から出張で1週間薬を飲まなかった。すると腰痛が悪化。環境の変化によるものか薬を飲まなかったことによるものか、その原因は定かではない状況。腰部の痛みに加えて、腹部に強い張りを感じていた(特に右下)。食欲あり、便通に異常なし。痛みで立位と歩行の姿勢が歪む。夜間は寝返りの度に目が覚める。

他の症状

腹部の張り

既往歴(これまでにかかった病気)

特になし

治療の内容と経過

腹部を触診すると、左側面と臍の左が著しく緊張し硬くなっていた(自覚的に張り感が強いのは右下)。初診では、ふくらはぎの緊張を緩和させることを目的に施術を行った結果、痛みが10→4へ緩解した。結果、それまでできなかった左足の靴下を履く動作が可能に。しかし、翌日の朝から痛みが徐々に増強し、元の痛みに戻っていった。初診の5日後に再来院。腹部を触診すると、臍周辺と左側面の緊張は初診時に比べ大幅に解消されていた。目立ったのは左上腹部の張りだった(自覚なし)。この張りを解消させるべく施術を行った。3度目の来院時には大幅に腰痛が改善され笑顔で喜んでいた。右腰の痛みが残り、後屈時に痛みが増強する状態であった。腹部の緊張感を緩和させること最優先に処置を行った。その結果、歩行時には違和感がなく、痛みを探さないと気にならない程度まで回復した。

著しい効果が見られたツボ

合谷(左)、築賓(左右)、丘墟(右)、申脈(右)

まとめ

腹部の緊張を伴う腰痛は珍しくないが、この例はその中でも目立つものであった。1回目の施術では大幅に緩解したものの、すぐに症状が再発したのは腹部の緊張に対する処置が不十分であったと推察できた。2回目、3回目では腹部の緊張感に対処することで著しい治療効果を得られた。

[YMAS20080402]

症例5

患者

男性 30代 群馬県

来院

2008年8月

症状の特徴と経過

2月のスキーで無理をしたら腰に痛みが出現し、真っ直ぐ立つのが辛くなった。翌週もスキーに出かけたが滑れる状態ではなく諦めた。整体院に週1回−1ヶ月通って腰痛は軽減した。その後、野球をしたら再び腰に強い痛みが出現し、右脚にしびれと痛みを伴うようになった。次に整骨院に1ヶ月くらい通って痛みは軽減したが、臀部と脚部に張り感、ふくらはぎにしびれ、外踝の上に痛みが残った。他の治療法を試したいという気持ちで来院した。

既往歴(これまでにした怪我)

腰痛、右足首の捻挫

治療の内容と経過

症状は坐骨神経の走行上に出現している。そのため、多くの坐骨神経に関わりのある梨状筋の緊張を緩めることを第一の目的として施術した。初回の施術をした翌日、痛みのピークは軽減したが、しびれの範囲は広がった。翌々日は下肢の症状が軽減し、臀部の症状が最も気になるようになっていた。その後の施術で症状は軽くなりながらも、臀部と下肢を行ったり来たりと動いていた。4回目の施術が終わる頃には症状のほとんどのが消失し、疲れた時だけに症状が出るようになった。8回の施術で症状は全く出なくなった。

著しい効果が見られたツボ

腓骨頭周辺部の硬結−奇穴(右)、梨状筋−局所(右)、腓腹筋上硬結−奇穴(右)

まとめ

典型的な坐骨神経痛の症状であると思われる。坐骨神経痛の多くは梨状筋(臀部の筋肉)のこわばりが原因であることが多く、この症例もその一例であると思う。ただし、梨状筋が単独でこわばっていることは少なく、関連した筋肉にもこわばりは見つかる。今回の症例は症状が出現する局所の施術が決め手となったが、周辺部位も見ていかないと解決できない例も多いので油断はできない。

[YMTK090908]

症例について
同じ病名や症状であっても効果には個人差があります。また、このページの症例は当院の経験であり、鍼灸の一般的な効果を意味するものではありません。