鍼灸師は「しんきゅうし」や「はりきゅうし」と読みます。「しんきゅうし」の方が多く使われることが多いです。鍼専門なら「はりし」と言われ、灸専門ならば「きゅうし」です。
私は呼ばれ方にこだわりがないので、どんな言われ方でも気にしません。好きなように呼んでよいと思います。ただ、電話などでは「はりきゅうし」という言い方をすることが多いです。これは、「しんきゅうし」ですと、相手が「・・・?」となることが多いからです。
これにも正解はありません。日本では「鍼」という字を使うのが一般的ですが、中国では「針」です。私の感覚では、「鍼灸」と書いた場合は、日本の鍼灸を、「針灸」と書いた場合は、中国の針灸を連想します。日本では、「鍼」という字が使われていたら針灸師が使う医療用の「ハリ」だと思って間違いありません。同じ医療でも、注射のハリは「針」です。
専門の養成学校に3年間通い、国家試験に合格するとなれます。一時、専門学校への入学が難しい時期がありましたが、2000年頃から専門学校が急速に増え、現在は入学が簡単になっています(国家試験が簡単になっているわけではありません)。この状態はしばらく続くと思われます。
※専門学校の急増は、規制緩和政策の結果であり、鍼灸人気が急上昇したわけではありません。
厳密にいうと、鍼灸師は「はり師」と「きゅう師」という2つの資格を持った人です。国家試験も別々が、同時に取得することがほとんどです(不運にも片方の試験に不合格してしまう場合もありますが…)。
国家資格を取得しても、すぐに鍼灸師として活躍できるわけではありません。国家資格が保証してくれるのは、「確かな知識で安全に鍼灸をすること」です。社会で活躍するためには実践で使える鍼灸術を習得しなければなりません。
勤務先で学んだり、勉強会に参加して知識を蓄え技術を磨きます。どんな職場や勉強会と出会うかがその後の鍼灸師の将来を大きく左右すると思われます。鍼灸と一言で言っても、多くの流派(学派)があり、どの流派を好むかは鍼灸師の価値観や好みに委ねられます。中には、無所属で独自の技に磨きをかける鍼灸師もいます。
私は、あこがれていた先生から「鍼灸師は一生勉強だぞ」と言われましたが、まさにその通りだと思います。腕のよい先生ほど、よく勉強し研究熱心です。鍼灸は手を介して施すものですから、知識の他に感性を磨き、経験を重ねることも大事です。
技術の追求には終わりがなく、「これができたら一人前」と決めるのが難しい世界です。修行期間を長く設定する鍼灸師もいれば、得意分野をつくって早めに独立する鍼灸師もいます。
極論を言えば、どんなに知識が豊富で鍼やお灸を上手に扱えても、患者さんの悩みに耳を傾ける姿勢がなければ、腕は上がりません。そういう意味では、鍼灸師が学ぶ場は患者さんの前といえるでしょう。
鍼灸師によって収入は大きく異なりますが、一般的に高収入は期待できない職業だと思います。患者さんが増えれば収入も増えますが、一人で診られる患者さんに限度があるため、収入が限りなく増えていくことはありません。少なくとも、高収入を期待してなる職業ではないように思います。収入の高い鍼灸師は経営者として活躍しているケースが多いと思います。(関連≫鍼灸師の収入)
全くの未知数です。鍼灸師の数が急増しているため、鍼灸師が年々余っていくことは必至です。東洋医学に脚光が集まりニーズが高まったとしても、すべての鍼灸師に仕事が回るとは限りません。
ニーズに振り回されず、一人一人の鍼灸師が確かな技術を身につけ、鍼灸に魅力を社会にアピールすることができれば、自ずと未来は切り開けると思います。(関連≫鍼灸師の急増)