出張時代の思い出

今の治療院を建てるずっと前の話です。

開業とは言わないかもしれませんが、独立後、最初に始めたのは出張専門の鍼灸院。東京にて開始したのであります。地元が群馬の私にとって、東京は孤独な地です。仕事なんて全くありませんでした。増えたのは収入ではなく、苦労話です。

開業を目指してる鍼灸師の口からよく出る言葉があります。

「まずは友達から」

友人を患者さんにしようという発想です。でも、そんなに甘くありません。友人こそ「駆け出し」であることを一番わかっている人物です。新人の鍼灸師を好む患者さんはほとんどいません。余所の治療院で積んだ実績があっても、友人には関係ないことです。(私の交友関係が単に貧しかっただけ?)

友人に話を持ちかけると、

「もちろん、タダだよね。」

と、当たり前のような一言が返ってくるのが常でした。普通に言われてしまうと、こちらも次の言葉がでません。

「宣伝してあげるから」

という言葉にデビュー当初はかなり弱かったのです。
結局、タダ働きを繰り返す生き物と化した私。患者さんあっての鍼灸師です。
誰からのオファーもない鍼灸師は利用されて終わるのがオチ。←ココ赤線!

もう一つ、苦い思い出。
独立後まもない時の話です。ネットで知り合った会社社長(IT関連)に鍼灸を受けたいと言われ、施術をすることになりました。施術が終わっても、その方は代金を支払う気配もありません。金あるだろうーが!

「まだか〜」

こんな時の私は情けないったらありません。結局お代が出てくることもなく、その場のやりとりが終了。こうして私のタダ働きがまた一つ成立したのであります。嬉しくない記録が更新されていく…。私は単なるボランティア活動に熱心な鍼灸師としか思われていない…と気が付いたのはしばらくしてからです。

 

見事に三拍子そろっていたクリ助の鮮烈デビュー!
マジで笑えなかった出張開業当初。今だから笑えます。フフフ。

そんな私も、この氷河期を抜け出せるチャンスに巡り会え、今に至ります。