サイト運営履歴

ウェブサイト運営は、開業鍼灸師にとって不可欠なものとなりました。これまで、鍼灸に対して「中で何をやっているのかわからない」という不安の声が多かったと思います。患者さんの多くは、鍼灸を受けることができるのは身近に経験者がいて、施術の様子を詳しく聞ける人ばかりだったと思います。また、時々テレビで放映されるものは視聴者の興味を引くために特殊なもの(怖そうなもの)が取り上げられることが多く、多くの誤解を受けてきたと思います。

しかし、インターネットの普及によって、鍼灸のベールが少しずつ剥がれてきたような気がします。鍼灸に興味がある患者さんにとっても鍼灸師にとっても、この変化は歓迎すべきものだと思います。

養気院サイトの歴史

2001年

初代ウェブサイト

この頃、出張専門だったため、自分のできる鍼灸の特徴をただただ説明することしかできませんでした。施術室があるわけではないので、画像で何かを伝えることが難しい時期でした。一生懸命、自分の思いや施術の内容を文章にするしかありませんでした。知識もない初心者が作ったサイトですから、本当に“それなり”でした。まだ常時接続が一般的になっていない時代(ISDN主流)だったので、アクセスはほとんどなく、集客(患者)効果もほぼゼロ。それでも、インターネットが常識になるはずだ、と信じてあきらめようとはしませんでした。

2002年

この年は自宅を改装して営業していました。ビジネスでネットを使うなら独自ドメインでなくてはダメという情報を得て、独自ドメインを取得しました。まだまだ駆け出しで貧乏時代。お金がかかる独自ドメインなので、思い切った決断でした。この年、デジカメ(初代EXILIM)を購入し、写真入りのサイトとなりました。お世辞でもキレイとは言ってもらえない施術室でしたから、訪問者に目に耐えられる写真を撮影するのに大変苦労しました。報われたかどうかはわかりませんが…。

患者さんが増えだしたのはこの頃からです。現在と比較すれば微々たる反応でしたが、インターネットの可能性を信じるには十分でした。徐々に、自宅の鍼灸治療室は手狭になり、鍼灸院を建てる決心をしました。

2003年

養気院サイト(二期バージョン)

春に新しい鍼灸院が完成しました。それに合わせてサイト構造とデザインをリニューアルしました。このとき参考にしたのはヤフーです。日本一のサイトはヤフーに違いないと勝手に思いこみ、“鍼灸院”であるにも関わらずヤフーを参考にサイトデザインをしました。フタを開けてみると正解だったようで、予想以上の反応を得ることができました。

2004〜2005年

鍼灸師のツボ日記(ブログ)

ウェブサイトの情報量を増やし補強を重ねて行きました。鍼灸院のサイトが増え始めたと感じたのはこの頃です。ネット上での競争が激しくなるだろう、と危機感が芽生えました。 ブログが流行ってきたので、乗り遅れたくないという理由だけでブログを開始(2004年10月)。記事を下記ながらブログでできることは何かを考えていました。私が結論を出すまでもなく、ブログを通じて人脈が広がってきたため「人脈づくり」がキーワードになりました。患者さんに対してだけではなく、同業者、他業種の人とのつながりを意識したサイト運営に変化していきました。ブログという新しいツールのおかげで、私のウェブに対する意識がずいぶんと広がったように思います。

2006年

思いつくままにサイトを増強していたため、構造がめちゃくちゃになり更新に手間がかかるようになってしまいました。情報やデザインだけにとらわれて、サイトの将来を考えずに作成したのが原因でした。将来のことを考えると、サイトの根本からリニューアルする必要がありました。しかし、この年は息子の誕生と患者さんの増加でリニューアルする時間が取れず、更新をするだけで精一杯でした。

2007年

リニューアル構想を練り始めました。これまで全て手作りでサイトを作ってきましたが、ここから業者さんの力を借りることにしました。基本方針は手作りが一番ですが、現状と照らし合わせると全てを自分一人で作るのは現実的ではありません。患者さんと向き合う時間をしっかり確保するためには、短時間で効率よくサイトを作成しなければなりません。ただ、業者さんの力を借りるといっても、手作りが一番という理念は曲げられないので、ある方法を選びました(後述)。

11月13日からYahoo!ビジネスエクスプレスの審査料が改定され、「鍼灸」はこれまでの3倍となりました(52,500円→157,500円)。その前に登録を済ませるために、急いでサイト作りを行いました。期限内にすべてを作ることはスケジュール的に無理があったため、コンテンツだけを先につくり後からデザインを仕上げることにしました。12月新デザインの完成。

最新版ウェブサイト

ウェブサイトのメリット

患者さんが目的や好みに合わせて鍼灸院を選ぶことができることが最大のメリットだと思います。次に、私たち鍼灸師の立場からも、患者さんを選ぶことができるのもメリットです。「患者さんを選ぶ」というと、横柄な態度に思われるかもしれませんが、とても大事なことだと思っています。なぜなら、私たち鍼灸師には得意分野があるからです(症状、性別、年齢層など)。また、不得意な症状を持つ患者さんがやってきてから説明するのでは、患者さんの貴重な時間を奪ってしまいます。

患者さんのメリットを最大に考えてウェブサイトを作るならば、鍼灸院の特徴をしっかり表現することが大切だと考えています。言い換えれば、選ぶために必要な情報をしっかり出すことです。選ばれることも大切、選ばれないことも大切というスタンスです。

手作り vs 業者

私の選んだ結論はハイブリッド方式。患者さんが増えて忙しくなったため、理想の手作りサイトが不可能になってきました。手作りのメリットは私の人間性が自然と反映されることです。何となく私っぽい感じのサイトの仕上げることで、現実とサイトのギャップがなくなり、患者さんが来院された際に違和感が減ります。業者さんが作った場合は、業者さんのフィルターを通すため現実とは違う雰囲気が出ることがあります。

私が求めているのはキレイなデザインではなくリアルなデザインです。それを実現できるのがCMS(コンテンツマネージングシステム)によるサイト構築でした。ご存じない方のために簡単に説明します。CMSではコンテンツだけ自分で簡単に作ることができます。文章と写真などの画像があればブログと同様に更新が可能です(ブログもCMSの一つ)。CMSなら、コンテンツを入れる箱の構造とデザインだけを業者さんに委託することができます。一旦、構造とデザインが出来てしまえば、ブログの要領で必要な情報を書いてアップロードするだけです。サイト構造は乱れることもなく、必要なリンクも自動的にはられてしまうので、限られた時間で簡単にコンテンツ(記事)を増やすことができるのです。コストと時間の節約になる嬉しいシステムです。

鍼灸院クラスのウェブサイトは比較的小規模なので、わざわざCMSを使う方が手間がかかる、という意見が多いはずです。ただ、サイトは成長する生き物という考え方の下ではCMSから受ける恩恵は計り知れません。難しいCMSの設定とデザインを業者に注文し、更新は自分自身の手で行っていくのが当院のスタイルに合っているようです。

サイトを作成する際に気をつけた点

見せるべきところ、隠すべきところの線引きに一番気を遣いました。私の方針は、できるだけオープンすることにあります。とはいえ、患者さんのプライバシーも大切なので、すべてを公にすることはできません。「自分のことは隠したいけれども、他人(既存の患者さん)のことは知りたい」という患者さんの心理が消化できるように配慮しました。リアリティを追求したいので、撮影時のモデルは実際の患者さんに協力していただきました。この場を借りてお礼を言わせていただきます。ありがとうございました。