東洋医学から見た自律神経失調症

東洋医学には自律神経失調症はない

自律神経失調症は東洋医学の立場からみると、全身の陰陽バランスが“微妙に”狂いだした状態です。それに対して、陰と陽が完全に狂った状態が病気です。この考え方を前提にすれば、自律神経失調症は、体の調節機能が乱れ始め、病気になりそうでなっていない状態といえるでしょう。

病気にならなくても辛い症状はでるものです。こういった症状は、体が心に発信しているSOSです。「このままだと病気になるぞ。どうにかしてくれ。」という訴えです。このSOSが全身のあちこちで発信されている状態が自律神経失調症と考えられます。

自律神経失調症は病名ではない

自律神経失調症はかなりアバウトな言葉です。「原因はわからないが辛い症状はある」という状況で使われることが多いです。

自律神経は内臓の機能を調整している神経の総称で、特別な神経ではありません。内臓には病気がないのに、あちこちの内臓で不具合が生じているとなれば、疑うのはその内臓に信号を送っている神経です。「内臓に間違った信号を送っているから内臓の調子が悪いのだろう」という意味でつけられた名前に過ぎません。実は、本質をついた名前とは言えないのです(便利ではあるかもしれませんが…)。

東洋医学の立場から

東洋医学に基づく鍼灸は、全身のバランスを診るのが基本です。そのため、一つ一つの症状を別々に診ることはなく、常に全身の調和を意識しています。この立場からみると、自律神経失調症は特別なものではありません。鍼灸が自律神経失調に対応できるのは、本来もっている診察法が適してるからです。一般的に自律神経失調症の治療に手こずってしまう場合が多いのですが、その理由は各症状を別々に治そうとするため、全身の調和が返ってかき乱されてしまうケースがあるからです。

ツボと自律神経

皮膚にあるツボは内臓と連絡を取り合っています。内臓の状態がツボに現れ、ツボに作用を与えると内臓に届くというわけです。鍼灸の歴史は2000年以上ありますが、言ってみれば、ツボと内臓の関係を研究してきた歴史でもあります。

内臓の働きを整えられるツボは自律神経にも作用しています。ですから、「ツボは自律神経を整えることができる」ということができます。しかも、ツボの反応を的確に読み取る腕があれば、肌目の細かい調整まで可能です。

 

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