鍼灸師から見た逆子の現場

 

Column 赤ちゃんに話しかければ直る!?

「赤ちゃんに『回ってね』と話しかけていたら直った」という話を時々読んだり聞いたりすることがあります。この話、鵜呑みにすることはできません。なぜなら、直った方だけが発言しているからです。逆子で悩む妊婦さんは、みんな赤ちゃんに「回ってね」と話しかけているのではないでしょうか。

逆子は、赤ちゃんへの愛情が足りないからではありません。当院はスピリチュアルな面から逆子を解釈することはありません。たくさんの逆子を診てきましたが、問題を抱えているのは“体”です。“心のあり方”ではありません。冷え、筋肉のこわばり、骨格のアンバランス、内臓の調子など、触診でわかるものがいろいろあります。

もちろん、精神疲労は体に影響しますのでストレスの少ない環境作りも大切です。ご家族の協力を得て、快適に妊娠ライフを過ごしてください。

 

Column 鍼灸は危険!?−副作用について

「赤ちゃんに害はありませんか?」という質問を受けることがあります。赤ちゃんのことを心配するのは当然ですから、副作用だって気になりますよね。鍼をお腹に刺して赤ちゃんに刺さったらどうしよう…。」とためらう場合もあるでしょうね。

実際は最も安全な矯正法です。お腹に鍼を刺して胎児に危害を与えることはありませんし、他の害もありません。施術前には過去の病気や現在の体調を細かくチェックします。その上で適切なツボを選び、適量の刺激を行います。初診の時、「なんでこんなに書くのだろう…」と思われるほどの質問用紙をご用意しています。さらに、それに基づいて問診で確認します。

鍼灸師の立場から言いますと、安全で安心な施術は基本。いかに妊婦さんの体調を上向かせるかをポイントにしています。赤ちゃんは鍼や灸の刺激に直接反応するわけではなく、好転した母胎(子宮)に、心地よさを感じて活発に動きます。

本来、赤ちゃんが一番気持ちのよいのは頭位と呼ばれる頭が下を向いている姿勢です。ポカポカして柔らかい子宮の中にいる赤ちゃんは、本能的に頭を下に向けたくなるのです。このように本能を刺激して直すのが鍼灸です。無理な力も与えませんし、強引に回転を促す方法でもありません。

 

Column エコーなしで赤ちゃんの姿勢がわかる方法

正確な診断は超音波(エコー)検査をしなけばなりませんが、コツを知っていると、赤ちゃんの頭の位置を知ることができます。妊娠30週くらいまではわかりにくい時もありますが、30週を過ぎるとほとんどわかります。

一番わかりやすいのは動きのパターンです。暴れるように動くところは頭ではありません。膀胱をポンポン突かれる時、足が下にあるので逆子である可能性が高いです。反対に胃袋の辺りをポンポン突かれ時は、逆子ではないでしょう。時に、頭の位置と足の位置が近いところにあることもありますが、姿勢からして強く蹴ることは難しいので突かれる感じにはなりません。

一方、頭が動くときはゆっくりです。足が「ポンポンッ」なら、頭が「ぐにゅ〜」と動きます。頭以外のところも「ぐにゅ〜」と動くので、特徴から頭の位置を知るのは難しいでしょう。

次に触診の方法です。頭位(正常)の時は、お腹の表面から触れることができません。逆子の時は、お臍の高さと同じかそれよりも上(胸側)で頭を確認できます(仰向けで寝ている場合)。34週を過ぎると手を触れただけでわかるようになりますが、手を少しだけ沈めると頭の形がわかります。私の手の感覚では、硬式テニスのボールのようなものです。大きさも硬さも似ています。

もし触れたものが歪(いびつ)なら、頭ではありません。手や足の可能性があります。また、硬式テニスボールよりも大きく感じる場合はお尻や背中かもしれません。硬さもボールより柔らかいです。

正常な位置(頭位)の場合、下腹部(お臍の真下)を触れても何も触れませんが、逆子の時は足が来ていることが多いので、歪なものを触れます。私の触感では小さめのサツマイモが入っているような感じです。頭位ならサツマイモは全く感じません。

 

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