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鍼灸師のツボ日記
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要旨 田舎の鍼灸師クリ助の臨床奮闘記
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鍼灸師とお産−第3章(6) 骨盤ベルトや骨盤矯正は本当に必要か
公開:
要旨: (5)のつづき 第三子となる次男が産まれてから2週間が経ちました。出生届けも出して保険証もやってきました。おかげさまで正式に我が家の一員となりました。 入院は最短コースの5日間でした。出産の翌朝から、妻はスタスタと普通に歩けるほど回復は順調でした(無理に...
(5)のつづき

第三子となる次男が産まれてから2週間が経ちました。出生届けも出して保険証もやってきました。おかげさまで正式に我が家の一員となりました。

入院は最短コースの5日間でした。出産の翌朝から、妻はスタスタと普通に歩けるほど回復は順調でした(無理に歩かせてはいません)。会陰切開もせずに済んだので痛みもないようです。

活法やツボ刺激のおかげ!?


産後、退院の日に撮影


赤ちゃんは本当にかわいいもので、このかわいさを表現できる言葉は見つかりません。自宅に帰ると真っ先に息子の顔を見に行ってしまいます。

今回は、このシリーズの締めくくりとして、日頃から妊婦さんを診ている鍼灸師として、そして子供を3人授かったパパとしてお産と骨盤について書きます。


■産後の骨盤の歪みって!?


「産んだ後は骨盤が閉じるように調整しなければいけない」と、巷では語られているようですが、それについては思うところがあります。

「産後は骨盤が必ず歪む」と断言しているところも。考えなければいけないのは、「歪む」の定義です。

骨盤が歪むって何だろう・・・


骨盤の歪み


これは骨盤が傾いた状態。「歪み」と言えば歪み…。

そもそも、なぜ、産後に「骨盤の歪み」が取り上げられることが多いのか。それは、お産では産道を開かせるために骨盤が開きます。恥骨結合という靱帯で出来ているつなぎ目がリラキシンというホルモンの働きでゆっくり緩みます。

安産を考える時には、赤ちゃんの通り道をつくってくれる恥骨結合の緩みがとても大事です。ただ、ずっと緩んだままでは骨盤が不安定です。安定して立つことができません。骨盤が定まっていないので、これも「歪み」と言えば歪みです。


恥骨結合はリラキシンで緩む


産後は、リラキシンが分泌されなくなり、恥骨結合の靱帯は徐々に元通り縮んで硬くなります。それに伴って恥骨結合も締まります。完全に元通りになるには時間がかかるので、産んだ後しばらくは不安定な状態が続きます。踏ん張りが利かず歩行も安定しません。重い荷物を持つような負荷は苦手です。産褥期と言われる、産後6〜8週間の時期は安静が勧められるのはそのためです。


■骨盤ベルトの役割


ネットでこんな言葉を見つけました。

産後骨盤ベルトつけなかったせいで、骨盤が開いたまま歪んでしまったらしく、ベルトつけて直しています。

「つけなかったせいで」という表現がとても気になります。骨盤ベルトはあくまでも補助ですから、つけないと弊害が出るというものではありません。それに「骨盤が開いたまま」というのも、意味不明です。時間が経てば恥骨結合は締まっていき、開いたままになることはありません。

産後の腰痛や体型変化(脂肪増加)の原因を「骨盤の歪み」と言う人もいます。医学的な視点というよりは、マーケティングのトレンドです。そもそも「骨盤の歪み」の定義があいまいです。


恥骨結合と骨盤ベルト


産後ケア用の骨盤ベルトは、あちこちのメーカーから販売されています。それらに共通するのは「骨盤を締める」ということ。装着するときには、大転子の辺りから巻きます。すると、恥骨結合が締まる方向に圧が加わって、靱帯が緩んでいる状態でも骨盤が安定します。

では、骨盤ベルトをしないと恥骨結合が元に戻らないのでしょうか。だいじょうぶです。「骨盤ベルトをしなかったせいで骨盤が開いたままに…」なんてことはありません。骨盤ベルトは、恥骨結合が元に戻るまでの間、骨盤を補助するものです。

産後は骨盤が不安定です。骨盤が安定しないまま、体に負荷をかけてしまうと、仙腸関節、腰椎、股関節にも普段以上の負荷がかかります。この過剰な負荷が二次的問題を引き起こして、痛みなどの不調をまねくのです。

つまり、骨盤が緩んでいる間は、無防備な状態です。この時期を守るという意味でベルトは一役買ってくれますが、絶対に必要かと言えば疑問です。私の妻は三度の出産で一度も使用していませんが、使わなかった弊害は確認できません。

もし、腰痛になって骨盤ケアをしている整体院にでも行ったら「骨盤の歪みが原因ですね」と言われるかもしれません。産後でも産後でなくても、「骨盤が歪みが腰痛や体の不調の原因」というレトリック(セールストーク)は見かけます。


■歪みの本当の意味


体の不均衡を探そうと思えば、いくらでもリストアップできます。左右を比べればどこかに差は見つかります。それと不調が関係しているとは限りません。もし、不均衡を「歪み」と定義するのであれば、歪みのない体は存在しないことになります。

完璧な環境などありませんから、いつも適応して生きているのです。

クルマが、傾斜している道路で真っ直ぐに進むためには、ハンドルを軽く切っておかなければなりません。そのハンドルの角度は、歪みとは言えません。むしろ、それは適応だと思うのです。

本当に問題なのは、必要な角度にハンドルを切れないことです。体で言えば、必要な方向に微調整できない体が問題です。私は、これは歪みと定義しています。

お産で考えても、お産に必要な微調整ができないことが問題であり、それが歪みです。「歪み」という字は「正しからず」と読めます。

「歪み」とは「何かが正しくないこと」です。

冷静になれば実に曖昧ですよね。各々の各々の目的で自由に(都合よく)使える言葉です。私も都合よく使っている一人です。

歪みは「正しからず」



■「整体」と「歪み」


患者さんは「○○は歪みが原因」という言い回しを好みます。それだけに使いすぎは禁物です。ただ個人的に思うのは、「鍼灸」と「歪み」は相性がよくありません。

お産から話がそれますが、こんな言葉の実験をしたことがあります。

鍼灸師の私が鍼や灸をしながら、「この痛みは歪みが原因ですね〜」という言い方をすると、患者さんは、「じゃあ、整体に行った方がいいですか?」と聞いてきます。

根底に「鍼では歪みがなくならない」というイメージがあるのだと思います。そして、整体には「歪みをとるところ」というイメージがあるのでしょう。「歪み」に公式な定義がないように、「整体」にも公式な定義はありません。

やっていることを「○○整体」と名付ければ、それは整体です。これもイメージの問題です。

プロの視点から患者さんにアドバイスしたいのは、腰が痛くて整体に行くなら、整体の結果、腰の痛みが取れるかどうか、または再発しにくい体になるか、がもっとも重要です。歪みを取っているはずなのに、「腰痛がぜんぜん治らない」ということであれば、そこで言う「歪み」と腰痛は関係ないのかもしれません。


■「歪み」と「痛み」 と「動き」


私の結論を書いて終わりにします。

一番何が大事なのかと考えると、「痛み」ではないでしょうか。

患者さんは、痛みがあるから「どうにかしなければ…」と思うわけで、痛みがなければ鍼灸にだって整体にだって行こうとは思いません。いつの間にか、どこかで「この歪みを放っておいたら10年後たいへんなことになりますよ!」なんて脅されて、痛みが取れたあとも「歪み」の問題が心に残ってしまうのです。

なぜ、痛いのでしょうか。

最新の脳科学では興味深いことが指摘されています。それは「動けないと痛くなる」ということです。これまでの常識では「痛いから動けないのだ」と誰もが思っていましたが、実際には違うようです。

心よりも動きが先にある、ことが多くの実験で証明されています。少し専門的な本ですが、興味のある方はこちらの方がおすすめです。

動きが心をつくる──身体心理学への招待 (講談社現代新書)


そして、動きやすい体は何かと考えると「よい姿勢」という概念と結びつきます。ここでも重要な指摘をしなければなりません。

よい姿勢だから動きやすいのではなく、動きやすい体がよい姿勢と言えるのです。

歪みがない体は動きやすい


動物である人間は、動くことで危険から回避し、動くことで食べ物を手に入れることができます。生存できるかどうかで重要なのは、見た目より動けることです。このように考えると、人の脳は、「よく動く体」を見て「よい姿勢だ!」と認識するようにできているはずです。

また、動きが不自由になると、心も不自由になる、ということも数々の実験で証明されています。動きが自由になると心の動きも良くなるのです。産後うつも、体の動きに解決にヒントがあります。

実際の施術をする際には、「動き」を指標にします。患者さんと術者、双方が確認できるので、歪みを視覚化できるというメリットがあります。

さらにいえば、動きをつくる筋肉と内臓も常に信号を送り合っているので、動きが改善すると、内臓の働きもよくなるのです。筋肉、精神、内臓、この3つは切り離せない関係にあります。

このように、「動き」を中心に身心を調整することを「整動」と呼んでいます。整動という概念は、もともと「活法(かっぽう)」にありました。これを鍼灸で行うのが「整動鍼」です。鍼灸の世界では最近になって出てきた新しい考え方です。鍼灸も脳科学的に考える時代に突入しているようです。


■終わりに


出産に立ち合うことで、普段の臨床では見えない命の姿を見ることができました。こうした機会に恵まれたことに感謝しています。お産の周りには、いろいろな価値観が取り巻いています。どれが正しくてどれが間違っているのか、わからないことだらけです。

時代のトレンドもありますし、産科の都合も入り込みます。宣伝なのか、医学情報なのか、区別できないものも多いです。この記事も例外ではありません。だから、自分で経験している範囲で書くように決めています。

今回のお産の報告は、Facebookでもさせて頂きました。たくさんの方からお祝いのお言葉を頂きました。この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました! 


DSCF1610


お産シリーズは、この3章がたぶん最後です。
ブログはもちろん続けます!


このシリーズを最初から読む ≫(1)はじめての分娩台


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鍼灸師とお産−第3章(5) 期待、油断、不安、安堵…喜び
公開:
要旨: (4)のつづき ■分娩室に立ち入る! いよいよ分娩室です。何度も入れるところではないので貴重な経験です。 三度目の出産ですが、分娩室に入るのは初。これまではフリースタイル出産だったので、普通の部屋っぽい雰囲気になっていました。 今回は、この台の上で産むの...
(4)のつづき

■分娩室に立ち入る!


いよいよ分娩室です。何度も入れるところではないので貴重な経験です。

三度目の出産ですが、分娩室に入るのは初。これまではフリースタイル出産だったので、普通の部屋っぽい雰囲気になっていました。

今回は、この台の上で産むのか〜。


分娩に立ち合う長男


ノンストレステスト(NST)の機械。
左側の赤い数字が赤ちゃんの心拍数で、右側の緑の数字が子宮の収縮レベル。

陣痛が強くなる時は、一瞬90を越えました。20以下くらいだと普通に会話できる程度です。お産の時は、緑色の数字が跳ね上がるようですが、それまでに外されました。


NSTの機械



■お産のツボと活法(かっぽう)


今回のお産では鍼治療の許可を取っていないので(つまり、今回が初めての“鍼なし”のお産)、指のツボ刺激と活法(かっぽう)になりました。


まずは指で足のツボを刺激。大腰筋の働きがよいと産道が開きやすいという助産師さんの情報に素直に従って、大腰筋に作用させるツボを刺激します。


分娩台でツボを押す


妻のクリ子の足元に腰掛けてツボ刺激しているのですが、長男が撮ってくれたのですが何しているのか見えません。

足元はこんな感じです。


DSCF1668


太衝(たいしょう)というツボがありますが、その近くにあるツボで大腰筋に作用するツボです。力は入れず指が気持ちよく沈む程度に。

次に活法(かっぽう)。


分娩台の上で大腰筋の牽引


新潟の助産師さんがお産の時に多用していた大腰筋の調整。脚を軽い力でピョンと引っ張るだけのワザ。もちろんコツがあって、ただ引っ張るだけではありません。

分娩台はリクライニングができて、背もたれが少し起きていたので大腰筋に刺激が入るように引っ張れたかわかりません。


■油断


産まれるまでもう少し時間がある(とは言っても来てから1時間も経っていない)と思ったら、お腹が空いてきたので、コンビニに夕食を買いに出かけました。職場からそのまま出てきてたので、何も食べていなかったのです。


夜の産院


サッと買い物を済ませて産院に戻ると、入口が閉められていて中に入れなくなっていました。明かりも消されています。

まさかっ!

とネタになるよな展開を想像しながら、慌ててお義母さんに電話して事情を説明しました。助産師さんがドアを開けに来てくれました。どうやらちょうど消灯のタイミングで外に出てしまったようです。

分娩室に戻ると、まだ産まれていませんでした。ネタにならなくてよかったです。

もう仕掛けは終わっているので後は待つだけ。とりあず、食堂に行って買ってきたコロッケを食べようとすると「お腹空いた」と言う娘に取られてしまいました。残ったおにぎりを食べ終わった頃、分娩室の方が慌ただしくなってきました。

21時20分頃です。

中に入ると、緊張感が漂っています。コンビニに行く前とは雰囲気が違います。

「産まれますよ〜」

今度は、本当の本当の産まれる合図です。コンビニでコロッケ買っている時間でなくてよかったです。大腰筋の刺激に鍼を使っていたら間に合わなかった可能性も…。


■その時、子宮口が開いた!


21時半を過ぎた頃、助産師さんが「全開でーす!」と声を出しました。子宮口が全開。あとは、出るだけです。

「頭が見えてきたよ〜」

黒いものが出て来ました〜。髪の毛です。頭です!

落ち着いた様子の助産師さんは、赤ちゃんに手を添えながら出てくるのを待っています。引き出すというわけでもなく、受けるという感じ。私なら完全にパニックです。

にゅる〜ぅ!

私にはこんな感じに見えました。出て数秒もしないうちに、

オギャー、オギャーと泣き声が!

おおぅ!

午後9時43分、感動の場面です。よくやったぞ、クリ子! そして息子よ!


■不安と安堵


3Dエコーではたいそうブサイクな顔が写っていたので心配していましたが、親にしてこの子、と相応の顔をしていました(奇跡は起こりませんでした)。長男と長女とそっくりです。3Dエコーは罪だなぁ〜。

手と足が青くて、ちょっとビビりましたが、話題にしていないので問題なさそうです。長男と長女の時はこんなに明るくなかったので、色はこれほどわかりませんでした。


産まれたばかりの赤ちゃんにオムツ


助産師さんは休みません。間髪いれずに身長と体重を計りに行きました。オムツを着けたら胸まで。予定日の2週間前に産まれたこともあり2515gと小柄。


さあ、ご対面!

分娩台で産まれた赤ちゃんとご対面


写真を撮っていたら22時を越えそうになりました。立ち合い人は院を出るように促され、妻をろくに労いもせず帰り支度。長男と長女の時は、同じ部屋に居られたので今回もそのつもりでいただけに残念でした。

次回はシリーズの完結…つづく。


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鍼灸師とお産−第3章(4) まさかの陣痛コントロール!?
公開:
要旨: (3)のつづき ■夫が出産に立ち合う理由 お腹の中で赤ちゃんは、どうやって出てくる時期を決めているのでしょうか? 自分にもその頃があったわけですが全く覚えていません。不思議です。本能としか言いようがありません。 人間、何でも知識で動いているように勘違い...
(3)のつづき


■夫が出産に立ち合う理由


お腹の中で赤ちゃんは、どうやって出てくる時期を決めているのでしょうか? 自分にもその頃があったわけですが全く覚えていません。不思議です。本能としか言いようがありません。

人間、何でも知識で動いているように勘違いしやすいのですが、本能に支えられて生きています。お産は、出す方も出る方も本能。お産では、人間が人間である以前の姿が見えます。

「生きる」

ということを感覚的に理解できる瞬間です。男性はお産に立ち会えるなら立ち会っておいた方がいいな、と強く思います。ただし、覚悟を決めてから(笑)

長男11歳と長女6歳も立ち合いを望んでいます(長男は長女の出産に立ち合っています)。

立ち会いを強く望んでいても、タイミングが合わなければ無理です。日中は職場である鍼灸院で患者さんを診ています。よほどの緊急でなければ、抜け出して…というわけには行きません。



■計算が本能を越えた


自ずとベストな曜日と時間が割り出されます。それは、水曜日の午後9時です。患者さんが終わった頃に産院に連れて行って産むというパターンです。この時間帯なら長男と長女も起きていて立ち合いに連れて行けます。

しかも、翌日の木曜日は休診なので時間の使い方が自由です。そして金曜日、土曜日と2日間患者さんを診て(東京出張を入れていない)日曜日です。

今回は、そのベストがやってきたのです。

当日の午後2時過ぎから怪しい痛みが出始めてきました。この時点では、「かもしれない」程度です。前回の出産から6年空いているので、陣痛がどんな感じだったか覚えていない様子。それともお産に伴う幸福感が痛みの記憶を消してしまうのでしょうか…。



■夜に本陣痛がくるようにがんばる


かもしれない陣痛を頭の片隅に追いやり、普段通りに仕事をしていました。合間があるたびにLINEのチェック。なぜか産む時間の調整に挑戦し始めているクリ子。

LINEで陣痛を尋ねる


「この日だといいな」と思って、最後の一枠はあえて空けておきました。だから19:05の患者さんが最終でした。予約時間の5分前にやってきた患者さん(ありがたい!)。すぐに施術室に案内して早めの施術スタート。

あとで知ることになりますが、この時点で陣痛は10分間隔になっていました。知らなくてよかったと思います。19:30に患者さんがお帰りになると、ダッシュでクリ子の元へ(自宅は鍼灸院から近いのです)。

後片付けは、スタッフの光山くんに完全に丸投げ。

「行ってきまーす!」

と鍼灸院を出ました。クリ子、そして長男、長女、そしてお義母さんを乗せたのが19:45分頃。遠足前のように出かける準備が完璧でした。ここから産院まで25分くらいです。

車内で陣痛の間隔がどんどん狭くなってきました。

しかし、不思議と車の中は落ち着いています。妻の精神状態もいいし、私も普段と何ら変わりません。3人目だからかもしれません。これまでの経験が安定を生んでいました。

逆に言えば、初めてのお産だったらこんなに落ち着けません。実際、一人目の時などクリ子は車内で「産まれそぉー!!」と叫んでいたのです。私もブログを書くテンションが違う気がします。今回はどことなく大人。

無事に産院に到着すると、クリ子はいきなり分娩室に連れて行かれました(20:10頃)。残された者は食堂で待機。

弟が産まれてくることに興奮を隠せない長女6歳。

産院で弟が生まれるのを待つ長女


20分くらいすると、助産師さんから「産まれるよ〜」の声。

「え、もうですか!?」

心の準備はまだですよ〜。

つづく…(5)


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鍼灸師とお産−第3章(3) 活法(かっぽう)で安産を願う
公開:
要旨: (2)のつづき 安産のための身体 出産は命がけです。 医療が進歩して、どこかに「命は大丈夫」という心に隙があります。私も例外ではありません。お産を限りなく安全なものに近づけている産科関係者に感謝します。 いっぽうで、妊娠しているというだけで、何にでも警戒...
(2)のつづき

安産のための身体


出産は命がけです。

医療が進歩して、どこかに「命は大丈夫」という心に隙があります。私も例外ではありません。お産を限りなく安全なものに近づけている産科関係者に感謝します。

いっぽうで、妊娠しているというだけで、何にでも警戒してしまったり、また特別感が度を超えて神聖化させてしまう傾向もあるように思います。背景に、「人間だけが特別」という価値観があるのかもしれません。

私はシンプルに考えています。人間はほ乳類だから犬や猫と基本的には同じだと思います。「完全に同じ」と言ってしまうと、お産の専門家からお叱りを受けると思うので「基本的には」にとどめておきます。

妊婦のお腹

お産は理性が先行したらできないと思います。妻を見ていても、「産む」という内に秘めるエネルギーを使っているのであって、頭では産んでいません。

妊娠すると、産院でいろいろな知識を授けてくれます。ネットからもいろいろな情報を得ることができます。確かに知識は大事。

ただ、「股から人間を出す」という部分は知識ではないと思うのです。もう、そこはほ乳類の本能。母である前に人間であり、人間である前に動物です。

安産を願うとき、私がすべきことは本能の活性化です。簡単に言えば、安産の必要条件とは「産むという運動」を本能に任せてできる状態ということになります。

一つ付け加えると「産道が開く」という変化も大事です。必要な変化を助けて産むという運動を助ける、ということをどうやるかです。

「安産のため」としてよく知られているツボがあります。たとえば「三陰交(さんいんこう)」というツボはどこを見ても紹介されています。「三陰交が安産にいいらしい」という話を知識で得たとしても、「産む」という運動における位置づけがわかっていないと、儀礼的な使い方になってしまいます。

このように「お産」を運動の一つと考えるようになったのは、活法の影響です。普段の施術でも、ツボを選ぶ際にはどんな運動(動き)に関わりがあるのか、と考えるようになりました。


安産の活法(かっぽう)


「本能」をキーワードに語ってきましたが、活法はまさに本能の活性化するものです。人間が本来持っている力をどんどん引き出すことができます。

たとえば、筋肉が凝り固まって動かないのも、本来の筋力が出せない状態です。パワーだけでなく素早く滑らかに動くこともできません。こんな時は迅速かつ柔軟に対応できないので、怪我をしやすくなります。

見方を変えると、脳が筋肉に余計な制限をかけている状態です。制限は秩序を保つために必要ですが過剰になると動きを渋くしてしまいます。本来よりも動けない状態になります。そんな時は「動ける」という信号を脳に積極的に送り込むことで、本来の動きを取り戻すことができます。活法は、その具体的な方法の宝庫です。

実は、お産において特に注目している筋肉があります。それは大腰筋です。

腰椎から股関節の内側をつなぐ長い筋肉です。この筋肉の働きに制限がかかっている時は、子宮口が開きにくくなるようです。

大腰筋


助産師さんと交流が盛んな時期があって、活法をお産の現場に利用できないかと試行錯誤していました。活法による大腰筋の調整で、開きにくい子宮口が開きやすくなってという報告を何度も頂きました。「助産師+活法」という組み合わせが少ないので、エビデンスの話はできませんが、直感に相関関係はあります。

参考)産婆たけちゃんの活動日記

妊婦に対する大腰筋のケア

写真では、脚を引っ張っているだけのように見えますが、大腰筋が牽引されています(大腰筋の牽引)。


妊婦の骨盤ケア(骨盤はがし)

これは仙腸関節をゆっくり伸ばして緊張を解いています(骨盤はがし)。


妊婦ケア(活法の昇り龍)

内股を緩める効果が高い「昇り龍」というワザです。股関節の柔軟性が出るので、安産効果があると見込んでやりました。


これらの施術は当日の朝です。お産のだいたい12時間前です。
(ちなみにこの時は腎盂腎炎はすっかり治っています)

DSCF1596_512

よい機会なので、スタッフの光山くんに、どれくらい変化するのか確認してもらいました。「こんなに変わるんですね!」と驚いた様子が印象的でした。

「産まれる直前のお腹なんて、何度も触れるものではないから触っておいた方がいいよ」と言ってみましたが、本当に直前のお腹となりました。


子宮に触れない子宮ケア


「お産の専門家でない鍼灸師が妊婦に触れても大丈夫なのか?」と思われるかもしれません。

もちろん、助産ができるほどの知識は鍼灸師にはありません。対象にしているのは、お産がしやすい筋肉のコンディションです。

子宮は体のあちこちから影響を受けています。精神的に緊張しただけでも子宮は張ってきます。腰痛がある人も子宮は硬くなります。子宮は筋肉なので、全身の骨格筋に合わせるように緊張します。

肩こりや腰痛を改善させると、子宮は柔らかく優しくなります。モーツァルトもいいけれど、その肩こりと腰痛では…と思うことがあります。

肩こりや腰痛も知れば知るほど奧が深く、内臓との関わりも肝心なのです。筋肉は内臓のコンディションを表しています。内臓も筋肉のコンディションに左右されています。

こうした部分は、産院では注目されません。だから、筋肉ケアがどれほど子宮ケアに直結するのか、お産に関わる方に伝えたくて仕方ありません。ただ、今はそれを軸に仕事をしていないので、静かにしています。

活法のような整体を使えば、股関節、仙腸関節、恥骨などのお産に直接関わる関節のケアが低刺激(歩行より低負荷・低刺激)でできます。またツボを利用すれば、手足からこれらの関節を調整することもできます。

こうして考えると、もっともリスク少なく妊婦さんのケアをできる職業だと言えます。もちろん、最低限の知識があることが条件になります。


次回は、分娩台での話になります。


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鍼灸師とお産−第3章(2) 腎盂腎炎の発熱と腰痛
公開:
要旨: (1)のつづき ■発熱と腰痛 6月2日の金曜日に、強い腰痛が出て歩くこともできないほど悪化しました。同時に寒気と熱気が交互に出てきたのです。熱は一時的に38℃を越えました。 結果的にお産の5日前だったわけですが、この時点では「風邪かな?」「お産が近いのかな?...
(1)のつづき

■発熱と腰痛


6月2日の金曜日に、強い腰痛が出て歩くこともできないほど悪化しました。同時に寒気と熱気が交互に出てきたのです。熱は一時的に38℃を越えました。

結果的にお産の5日前だったわけですが、この時点では「風邪かな?」「お産が近いのかな?」とぼんやりと考えていました。妊娠してからも腰痛は時々出ていていたので、今回もそうかなと思いました。熱は疲れているので体温調整ができないのかな、という程度。

深刻に考えておらず、普段通りに、腰痛と発熱冷ましの鍼治療をしました。歩けないほどの腰痛は解消され普通に歩けるようになりました。熱も数時間後には下がっていきました。体調が普通程度まで回復したのです。

翌朝も体調は良かったので、治療の効果ありと判断しました。

ただ、良い状態は1日持ちませんでした。再び発熱と腰痛…。


その頃のやりとりが残っています。

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6月2日(金)の19:30頃(私が仕事中)にメッセージが届きました。
その晩に治療したわけです。これでいったん症状が治まりました。

翌日に昼になって再び同じ症状。心配になってもう一度鍼治療を提案。ただ、患者さんを診なければならなかったので、すぐには実行できず。その間にクリ子は自分の症状を検索したら、ある症状とピタリ一致していることに気が付きました。

「腎盂腎炎かもしれない」

と言ってきました。それを聞いてハッとしました。確かに可能性が濃厚。ツボを腎盂腎炎用に切り替えて治療すると、かなり痛がっていた腰痛はスッと引いていきました。これで完全に治まるとは限りません。ここは慎重になった方がいいと思いました。

すぐに産院に行きました。私が連れて行けないので母にお願いしました。

診察を受けると、妻が推測した通り腎盂腎炎でした。入院も提案されましたが、状況からみて自宅安静でも良さそうなので、注射(たぶん抗生物質)をしてもらって帰ってきました。

残っていた腰痛は鍼治療の直後にスッと軽くなり消えました。発熱も落ち着いていましたが完全ではないまま翌日の日曜日に。

クリ子は2回目の注射のために産院へ行くことに。そんな状況のクリ子を残し私は東京へ。心配だったのは腎盂腎炎が治まらないうちに陣痛が始まることでした。雰囲気として「近い」と感じていたからです。実際にお産はその3日後だったので、その勘は当たっていたわけです。

東京から群馬の自宅に戻り、帰宅後も鍼治療。

翌日の月曜日には体調がだいぶ安定してきました。この日が最後の注射となりました。腎盂腎炎、お産の2日前に終焉。ギリギリでした。


■腎盂腎炎の原因


腎盂腎炎の原因の多くは、尿が逆流して細菌が腎臓の腎盂という部分に侵入して起こります。

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腎盂腎炎は妊娠中に起こりやすい病気です。妻の例は軽く済んだので、アッサリな印象になっていますが、これを標準と思わないでください。一週間以上入院することも珍しくないようです。

38℃を越える熱と、動かなくても痛む強い腰痛が特徴です。疑わしいと思ったら、すぐに病院に相談することをおすすめします。


腎盂腎炎の腰痛


腰痛の特徴を詳しく説明します。

なったことがない私は自分の言葉で表現できませんが、痛みは背中に近い上の方にあります。動けないほど痛いのです。痛む位置も背中に近い腰です。実際、妻が痛がっていた場所も腰の上の方でした。ここには、腎兪(じんゆ)というツボがあります。その周辺です。仙腸関節がある骨盤の方で痛むものと様子が違います。背中の下の方が痛む、という解釈でもよいです。


■腎盂腎炎の鍼治療


鍼治療する際には、腎兪を対象に行うことが大事です。腎兪そのものを使っても効果が見込めると思いますが、私は背中のツボから腎兪に作用させました。症例がこの一例なので、詳細を紹介するのは自粛します。

鍼治療に手応えはありましたが、効果は症状の重さや環境に左右されますから、鍼治療だけに依存するのはリスクがあると思います。術者の腕や判断力の差も出るところなので、慎重であるべきでしょう。もちろん、私も自分の腕を信じすぎないように慎重になっていました。

腎盂腎炎の治療をするのは、これが初めてでした。一週間の入院が必要なこともある病気が2〜3日で完全に回復してしまったことを考えると、鍼治療に可能性を感じました。

理論的には見込みがあっても、腎盂腎炎の治療を真正面からやるのは初でした。鍼灸師としても貴重な体験となりました。腎盂腎炎に限らず、臨床の現場ではいろいろな症状に出会います。重症度や緊急度をしっかり鑑別し、自分の領分を越えないことだと思います。

お産まであと2日です。つづく…(3)


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鍼灸師とお産−第3章(1) 初めての分娩台
公開:
要旨: ガウディの続き書こうとしていたら、第三子となる次男が産まれました! おかげさまで、妻のクリ子、そしてまだ名のない息子は元気にしています。 6月7日(水)21時43分です。 早いもので、一人目の長男から11年が経ってしまいました。もう小学校5年生です。その頃...
ガウディの続き書こうとしていたら、第三子となる次男が産まれました!
おかげさまで、妻のクリ子、そしてまだ名のない息子は元気にしています。

臍帯


6月7日(水)21時43分です。

早いもので、一人目の長男から11年が経ってしまいました。もう小学校5年生です。その頃には、今の姿になることは想像していませんでした。それにしても、初めての出産では私もたいそう興奮していたようです。喜びの感情に任せてブログを更新していました。

その頃の記事は、私の鍼灸師人生において転機となりました。まず、あのシリーズ(鍼灸師とお産)を書いてから妊婦の患者さんが急増しました。特に逆子の患者さんが増えたのです。それ以来、妊娠中のケアが当院に定着しました。

テレビ関係者の目にもとまり、テレビで取り上げられそうになりました(結局、最終会議でボツ)。ちょっとガッカリでしたが、注目されて調子に乗るのもよくないので、結果的によかったと思います。

一人目、二人目とフリースタイル出産(分娩台を使わずに自由な姿勢で産む)を希望し、実現できたので、今回もそのつもりでした。しかし、お世話になった産院が少し前に閉院してしまったのです。

何とかならないかなぁ、と思ったけれど見つからず一番よいと思う産院に通いだしました。すると、たまたま、フリースタイルの産院で働いていた助産師さん(妊婦の時に当院に通院していた方)と遭遇。今は、ここで働いているとのこと。

聞くだけ聞いてみましたが難しいとのこと。じたばたしても仕方ないので、3人目は分娩台と心を決めました。私が心を決めたところで、がんばるのは妻の方ですが。

予定日は6月23日でした。

ですから、少し早めの出産になりました。長男も長女も早めに出てきたので、今回も想定したいたのですが、思ったより早かったです。もう少し早かったらサポートできませんでした。

6月4日(日)は、東京でセミナー講師やっていたからです。お産に備えて、この日は今月最後の出張でした。「今日なんてことないよな…」と思いながら東京に出かけていきました。セミナー中も「産まれちゃうかも…」とずっとドキドキでした。トイレにいく度にチラチラとスマホ確認していました。

活法研究会の集合写真


セミナー終了後、スタッフを残し先に帰宅の道へ。優先的に帰れるようにしてくれた心配りに感謝しました。ユンケル飲んで安全運転で帰りました。

東京からクルマを走らせること2時間。帰宅して、妻のお腹をみると普通に大きかったのですが、一応聞いてみました。

「産まれたぁ?」

本当に聞かなければいけないことが別にありました。

「腰の痛みは? 熱は下がった?」

実は、この時にもう一つ重要なことが起きていました。謎の発熱と謎の腰痛…。2日前から起きていました。この症状が心配だったのです。

妊娠中に起こりやすいアノ症状だったのです・・・次回に続く

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卒業、そして第二章が始まる!
公開:
要旨: スペイン観光の続きは(自分の記録でもあるので)必ず書きます。 今回は別件でご報告があります。 ■卒業式 5月末日にカポスに勤務していた竹内くんが退社しました。 品川のカポスの鍼灸師として3年半務め、弊社を卒業しました。そして、さらなる可能性を求めて独自...
スペイン観光の続きは(自分の記録でもあるので)必ず書きます。

今回は別件でご報告があります。


■卒業式


5月末日にカポスに勤務していた竹内くんが退社しました。

品川のカポスの鍼灸師として3年半務め、弊社を卒業しました。そして、さらなる可能性を求めて独自の道を歩んで行きます。彼が最初の退職者となります。

お勤め本当にありがとう! そして、おめでとう!

活法研究会の講師最後の日に花束贈呈
活法研究会(弊社主催)の受講者の皆さんから花束(2017年5月15日)


花束集合写真
サプライズは大成功!(2017年5月15日)



■オープニングスタッフとして


4年前のことを思い出します。カポスのオープンニングスタッフを25歳の彼に任せました。院長の秋澤と共に、1年目のカポスの柱となり、多くの患者さんを担当してきました。つい最近まで、カポスの最前線で臨床に携わっていたので、現場には大きな変化が訪れています。

オープニング
開院の準備(2013年12月29日)

退社の日は、半年前から決まっていました。彼から次の計画があることを聞かされたとき、驚きませんでした。そんな気がしていたからです。彼が3年を一つの節目にしていることはわかっていたからです。

私にとっても3年は一つの節目でした。3年で一流と呼ばれる鍼灸師を育てたいと考えて育成をしてきました。20代半ばの竹内くんは直面する問題を一つ一つ乗り越えながら、期待を越える成長をしました。

私が教えたと言える期間は最初の1年くらいです。あとは彼自身が自らの工夫と努力で臨床力を磨いていきました。たった3年で守破離の3ステップを踏んでしまうという常識を越えるスピード。

そのスピード感は私の刺激になっていました。常に緊張感があったからこそ、気を緩めることなく技術を追究できたのです。整動鍼の進歩を劇的に早めました。カポスにとっても整動鍼にとっても、竹内くんの存在は大きなものでした。



■講師として


臨床だけでなく、整動鍼セミナーの講師としても尽力してくれました。彼から見ると受講者の多くは年上。ベテラン鍼灸師もたくさん参加されています。そんな状況でも物怖じすることなく講師を全うしていたことに驚いています。

私が彼と同じ年齢の時、同じようにできませんでした。

胴上げ
(2017年5月15日)

彼が私と同じ年齢になった時に、どのラインに到達しているのか想像すると恐ろしいです。10年後、私は追いかける立場になっているかもしれません。だから今日から必死に逃げます。既にライバル関係に突入していますから。



■送別会

 
6月1日(木)は、カポス(東京)で社内合同研修でした。社内研修が終わる頃にやってきた竹内くん。

退社記念のケーキ
サプライズとして用意したケーキ!

似顔絵ケーキ
似顔絵の入ったケーキ


近くのイタリアンに移動して送別会です。

動画見る
スタッフみんなで作ったメッセージ動画(画面内は秋澤院長)


送別会集合
似顔絵ケーキを食べる前、店員さんに撮っていただきました!



■仲間と可能性の追求!


カポスの開業は、私にとっても大きな出来事でした。

・東京で開業すること
・鍼灸師を雇うこと
・遠隔地から経営すること
・人材を育成をすること
・組織を管理すること

準備から数えると約4年間。私も成長できたと思います。毎日宿題を出され、毎日試験前日のように過ごしてきました。仕事が目の前から消えることがありませんでした。どんなに計算しても計算外のことは必ず起こります。

責任も大きくなっていくのがわかりました。自分で始めたことだからやり通すと決めていましたが、思い通りに進まず落ち込むこともありました。会社を経営したり組織をまとめたりすることは、本当に難しいです。でも、ここから得られるものは特別です。

鍼灸師という職業を選び、目標を共有できる仲間に恵まれ、幸せを感じます。

竹内くんが自身の可能性を求めて次のステップに踏み出したように、会社(活法ラボ)も第二のスタートです。私の実力が試されるのもここからです。始めることよりも続ける方が何倍も難しいからです。

技術をもっと高く評価され、もっと多くの患者さんに必要とされ、スタッフが働きやすい環境を高いレベルで目指します。これから少しずつ仲間を増やして、会社の可能性、そしてスタッフ一人一人の可能性を広げていきたいです。

どんどん仕事が楽しくなってきています。
私たちと一緒に成長したい人、ご連絡お待ちしています。

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バルセロナ観光日記 2日目(サグラダ・ファミリアの後編)
公開:
要旨: 前回のつづき ■サグラダ・ファミリアに入るにはチケット予約 中に入るにはチケットが必要だ。完売していたら入れないので、事前にチケットを取っておいた方がいい。 バルセロナ行きが決まった頃は、当日チケットを買えば入れるだろうと甘く考えていた。しかし、よく考えて...
前回のつづき

■サグラダ・ファミリアに入るにはチケット予約


中に入るにはチケットが必要だ。完売していたら入れないので、事前にチケットを取っておいた方がいい。

バルセロナ行きが決まった頃は、当日チケットを買えば入れるだろうと甘く考えていた。しかし、よく考えてみればわかる。このサグラダ・ファミリアに世界中から人が集まってくるのだ。混雑していたらチケット売り場の行列に並ばなければならないし、確実に買える保証はない。

バルセロナに行ってサグラダ・ファミリアは絶対に外せない。

日本にいる間、サワコさんにチケットをお願いしておいた。ネットからチケットは購入できるがミスを恐れて弱気だった。ツアーガイドではないサワコさんに観光の手配までお願いするのは忍びなかったが、つい甘えてしまった。

ちなみに、チケット購入はこちら。
サグラダ・ファミリアチケット購入サイト(英語版)

チケットは時間が選べるので、早いのから2番目を選んだ。時間は9:30。サグラダ・ファミリア最優先のスケジュールにしておいた。後から分かったことだが、到着した時は比較的人が少なかった(出た時と比べてわかった)。混雑した時間を避けられて正解だった。


サグラダ・ファミリアの彫刻

中に入る前に見事な彫刻に心を奪われる。優美さと迫力に満足し、中に入らなくても十分ではないかと思う。しかし、それは中に入ったことがない者の発想だ。

彫刻のディテールを伝えようと望遠で撮るとスケール感が伝えられない。引いて撮るとディテールが伝わらない。両方同時に感じるには、そこに立ち、自分の目で確かめる他ない。

ここに立てば、訪れた者が必ず口に出す「絶対に行くべきだ」の意味がはっきりとわかる。


■ガウディが仕掛けた光のマジック


入って驚いたのは天へと伸びる空間だった。

外から棟の高さは分かっているはずだが、中に入ると不思議なことにさらに高く感じる。実際には棟の高さまで空間が広がってはいないが、天井から差し込む光が、無限の広がりを創り出している。上に別の世界があるように感じるのだ。


サグラダ・ファミリアの天井

ガウディは光にも強くこだわっていたと言われている。建物内を明るくするという実用的に採光しながら、光に色や意味をつけている。中に入れば、ここがバルセロナだという現実も忘れてしまう。

森の中で生きる小さな生き物にでもなったかのような感覚を得た。自分が小さくなる感覚で、建造物のスケールを認識したのは初めてだった。

ここでは誰でも謙虚になれる。


DSCF9998

ステンドグラス。青から赤へのグラデーション。


サグラダ・ファミリアの内部の装飾と光の差し込み

カメラの露出を上げて明るく撮影すると内部の詳細が明らかになる。ガウディがいかに情熱を注いでいたのか、すぐにわかる。


■サグラダ・ファミリアの息づかい


サグラダ・ファミリアは有機体である。

木の枝が伸びるように、我々の意識は上に上に昇っていくのである。そして、空間が伸びたり縮んだり、常に形を変えているように見える。これはガウディが意図的に仕掛けたものだろう。造形の規則性を推測できないので、中に入ると視覚的な基準を失う。空間認識の巧妙な誘導であるから、これを写真と言葉で伝えるのは難しい。


サグラダ・ファミリアの天まで昇る柱

無理だとわかっていても、伝える努力は惜しみたくない。


サグラダ・ファミリアの天井を見上げる

真上を見上げて撮影。


サグラダ・ファミリアの内部の光の演出

森の中に光りが差し込んでいる。

この壮大な演出を、コンピューターのない時代に頭の中で描くことができたガウディ。天才と呼ばずして何と呼ぶ。


サグラダ・ファミリア内部の重機

見とれているうちに忘れてしまうが、サグラダ・ファミリアは未完成である。
重機を見ると思い出す。それ以外は忘れていられるほど出来ている。

さらにこの完成予想図を観て、鳥肌が立った。完成を見るまで死ねない。



次は、カラフルなドラゴン(見た目はトカゲ)で有名なグエル公園へ。
ここで思わぬアクシデント。

つづく…

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バルセロナ観光日記 2日目(サグラダ・ファミリアの前編)
公開:
要旨: 前回のつづき ■サグラダ・ファミリア、未完成の理由 カサ・ミラから見えたサグラダ・ファミリア。その時は、「おぅ!」と声が出てしまった。何度も何度も映像で目にしていたサグラダ・ファミリアが偶然に視界に入ったのだ。 1882年より建築されている。なぜ未だに完成し...
前回のつづき

■サグラダ・ファミリア、未完成の理由


カサ・ミラから見えたサグラダ・ファミリア。その時は、「おぅ!」と声が出てしまった。何度も何度も映像で目にしていたサグラダ・ファミリアが偶然に視界に入ったのだ。

カサ・ミラから見えたサグラダ・ファミリア

1882年より建築されている。なぜ未だに完成していないのだろう…。
素朴な疑問を持っている人も多いと思う。

改めて調べてみると、アントニ・ガウディが詳細な設計図を残していなかったのが理由であるとわかった。ガウディは不運にも路線電車に轢かれて亡くなった。73歳の生涯であった。

しかも、スペイン内戦によって、弟子たちが作成した資料のほとんどが消失してしまったようである。さらに疑問が浮かぶ。

設計図も資料もないのに、どうして建設が進められるのだろうか。

設計思想を元に完成図を推測して進めているという。これには賛否両論があったという。

設計図ではなく思想を元に建設されているとは、本当に驚きである。ガウディは今もなおバルセロナで生きているのだ。

サグラダ・ファミリアの建築費は個人からの寄付だけでまかっているそうだ。私が支払った入場料も使われることになる。サグラダ・ファミリアを訪れることは、建築の費用を提供をすることを意味する。これを知って嬉しくなった。

完成予定は2026年とされている。未完成のサグラダ・ファミリアを観られるのはあとわずか、と考えることもできる。

気になるサグラダ・ファミリア(Sagrada Familia)という名前。日本語にすると「聖家族教会」。

Sagradaは「聖」という意味。同じ言葉が、ラテン語ではSancta、イタリア語と英語ではSanta。サンタクロースの「サンタ」と覚えるのが一番早そうだ。

うんちくはこれくらいにしておこう。


■バルセロナの観光バスが便利


サグラダ・ファミリアの魅力は多くの人が語っている。どこで調べても、スペインの観光スポットの第一位だ。これには素直に従うのが賢そうだ。訪れる日の朝、私の期待値は最高点に達している。

バルセロナは観光バスが巡回している。1日券を買えば1日乗り放題。何度乗り降りしてもOK。

このバスを利用すれば主要な観光地に行けるようになっている。宿泊しているホテルを出て1分も歩けば、メインストリートのグラシア通りに出られる。バスはここから乗った。


バルセロナ観光バスのリーフレット

音声ガイドも無料で付いているので、バスに乗りながらバルセロナを知ることができる。日本語もある。


バルセロナ観光バス

こんな感じのバスが主要道路を走っている。二階建て。この日の天気は最高。ただ、走るとちょっと肌寒く感じた。冬の2階は無理そうだ。


バルセロナ観光バスの2階から見える景色

実際に乗った時の視界。天気が良かったので2階が人気だった。天気が良ければ絶対に2階がおすすめ。


■サグラダ・ファミリアという巨木


バスが15分ほど走った時、目の前に何かが現れた!

目の前に現れたサグラダ・ファミリア

あまりにも突然だった。そう、これがサグラダ・ファミリアだ! 想像をはるかに超えていため、状況がすぐに飲み込めない。見ているものを認識するまで少し時間がかかった。

興奮しているのは私だけで、この写真では驚きが伝わっていないかもしれない。写真ではサイズ感が伝わらないのだ。この場に立ってみないとわからない。心の中で動くものをここで共有するのはとても難しいと思う。


DSCF9968-1

ガウディの設計である、カサ・バトリョ、カサ・ミラには既に入っている。ガウディという建築家がどれほどスゴイのか理解したつもりでいた。しかし、私は理解していなかった。


サグラダ・ファミリア(2017年)

入口はこの反対側にあった。全く別の顔が待っていた。


サグラダ・ファミリアを入口側から見上げた

何千年も間からここに立っている巨木を見ているようだった。建造物ではなく生き物だった。宗教的な意味はわからないが、サグラダ・ファミリアはとてつもない力を秘めている。この感覚はどこから来るのだろう…。細胞のざわつきが治まらない。

その理由を知るには、ガウディについてもう少し知る必要がありそうだ。


■ガウディの哲学


幼いガウディは、自然や動植物をよく観察したいたという。学校で幾何学を勉強すると、長い間、直感的に観察していた自然の造形を幾何学的に理解できるようになった。個人的な理解であるが、直感で得たことを表現する手法を数学によって得たのだろう。

ただし、建築に関しては、机上の空論や計算を嫌っていたようだ。実験を繰り返し、そこから得られたデータを重視していたとあった。自然については、「常に開かれて、努めて読むのに適切な偉大な書物である」と語ったという。


カサ・ミラの展示物

ガウディの作品を理解するには、「自然」がキーワードになりそうだ。硬いコンクリートが滑らかな曲線を描いている。硬い素材がとても柔らかく感じる。前回のブログでは、カテナリー曲線(懸垂線)が特徴的だと書いたが、それも建築に対する回答の一つだ。

それでは、内部に入ってみよう。


サグラダ・ファミリアの支柱

つづく…後編


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バルセロナ観光日記 1日目(カサ・バトリョ/カサ・ミラ)
公開:
要旨: 前回のつづき ■スペインとバルセロナ サグラダファミリアのことを書く前に、重要なことを思い出した。バルセロナ到着の初日にも観光をしているのだ。一応、初日にレポートしているが納得できない。やり直そうと思う。 詳しい話をする前にスペインとバルセロナの地理をおさ...
前回のつづき

■スペインとバルセロナ


サグラダファミリアのことを書く前に、重要なことを思い出した。バルセロナ到着の初日にも観光をしているのだ。一応、初日にレポートしているが納得できない。やり直そうと思う。

詳しい話をする前にスペインとバルセロナの地理をおさらい。バルセロナはスペインの中でも東に位置していてフランスが近い。バレアス海と接している海岸都市だ。ちなみに、首都のマドリードはスペインの中心に近い。

アントニ・ガウディが残した建築物はバルセロナに集中している。人口はマドリードに次いで2番目。


バルセロナの位置


バルセロナ・エル・プラット空港に到着したのは現地時間の14時頃であったが、出国で待たされたりで空港を出たのは15時頃となってしまった。そこから宿泊先のホテルまで30分ほど。学校の職員ロッサさんとサワコさん(Fさん)に迎えて頂いた。


バルセロナ・エル・プラット空港からバルセロナの位置関係


出国前はセミナーの準備(テキスト作りなど)に追われてしまい、観光スポットを詳しく調べる時間が作れなかった。行ってから、そして、帰ってきてから知ることも多かった。セミナーを成功させることが一番大事だったので後悔はしていない。

ただ、割り切るにはあまりにも惜しいほど、バルセロナは魅力に溢れている。


カサ・バトリョ周辺の地図


学校に予約して頂いたホテルに到着したのは午後4時頃。

アントニ・ガウディの作品「カラ・バトリョ」から歩いて3分ほど。グラシア通りというメインストリートから入ってすぐ。立地として最高である。日本で言うと銀座だと思う。青山だという人もいるがどっちでもいい。


カサ・バトリョのあるグラシア通り


3日間講師をした学校も、この近く。クンセイ・デ・セン通りのビルのワンフロアにある。入口からは中の様子がわからない。「ここに学校があるなんて!」と驚いた。日本の鍼灸学校とは雰囲気は違っていた。大きな鍼灸院の中に学校が併設されているという感じ。学校とはしては小さいけれど、鍼灸院としては巨大という説明が一番妥当だと思う。


■カサ・バトリョ Casa Batllo


ホテルに着いて荷物を降ろしたらカメラと小銭だけ持ってすぐに出かけた。

Hotel Eurostars Cristal Palaceのフロントにて水を飲む

疲れているはずだったが、気持ちがハイになっているので、その疲れに気が付いていなかった。一緒にいる秋澤院長も全く同じだった。実際の疲れに気が付いたのは、その日の夜だった。時差7時間と18時間のフライトは、気持ちではごまかしきれるものではない。とんでもない疲労感が襲いかかってきた。この日のブログは、ほぼ根性で書いた。

カサ・バトリョは、アントニ・ガウディが設計した建築物だ。

カサ・バトリョの外観

異様さが際立っている。
誰が見ても普通ではない。正直に言えば、この時点で素敵とは思わなかった。


カサ・バトリョの外観

近くに寄ると、その異様さはさらに際立つ。遠くで見た時と違って重厚感が心に押し寄せてくる。この時点で完全にガウディが勝利している。

中に入ったら、ガウディが創り出した曲線と光に包まれた。
私は完全に無力となった。もう何も言えない。


カサ・バトリョの中からグラシア通りを見る

曲線に囲まれ、最初は違和感を抱くのだが、10分も居ると心地よさに変わってくる。規則が見つけれないこの空間こそ本能が求める自然な空間なのだと思う。ガウディの作品は鑑賞するものではなく、入るべきものだと理解した。ガウディの本当の偉大さ、そして優しさは、写真やテレビでは永遠にわからないだろう。


カサ・バトリョの天井の造形

海の中にいるような感覚になる。


ガウディの取っ手

細部までガウディの魂が。


カサ・バトリョの内装(印象的な青)

青の使い方が印象的だった。


カサ・バトリョの天窓から差し込む光

やさしい光が建物の内部に降りてくる。


DSCF9125

天井を見上げる。これは母性なのかエロティシズムなのか…。
カサ・バトリョは、海であり女性である。


■カサ・ミラ Casa Mila


カサ・バトリョを出て北に歩くこと5分。カサ・ミラが見えてくる。

明らかにカサ・ミラまで来ているのだが、チケット売り場が見当たらない。ラ・ペドレラとある。恥ずかしながら、ラ・ペドレラがカサ・ミラのニックネームだということを知らなかった。ラ・ペドレラとは、石切場という意味で建造当時に市民が付けた悪口である。最初は評判が悪かったというわけだ。それが、今では世界中からラ・ペドレラを見にやってくるのである。


カサ・ミラの中庭に差し込む光

光の取り入れ方に、カサ・バトリョとの共通点があった。


DSCF9176

進路はエレベーターに繋がっており、屋上に誘導された。
いったい、ここはどこだろう…。国も時代もわからない不思議な空間が広がっていた。

フェンスは観光者のために付けられたのだと思う。フェンスがなかったら、違った印象になると思った。ただ、それは危険すぎる。もしフェンスがなかったら山の頂で得る高揚感が伴うのかもしれない。


カサ・ミラの屋上から中庭をのぞき込む

身を乗り出して撮影。これ以上は危険。十分にスリルが味わえた。


バルセロナの青い空

写真に加工を加えずとも、この青が出る。


DSCF9198

街を見下ろす。日本とは空気の色が違う。


カサ・ミラに使われているカテナリー曲線(懸垂線)

内部に入ると、カテナリー曲線(懸垂線)だ。
この曲線がガウディなのだ。

ガウディは机上の空論や計算を嫌ったという。実験を繰り返し、そこから得られたデータを重視した。自分の目で確かめながら建物の安定を探し出していった。この曲線も実際の実験から導かれたと言われている。


DSCF0420

カテナリー曲線(懸垂線)の意味が一目でわかると思う。画像を逆さにして紐を垂らすと、曲線がほぼ一致する。放物線とよく似ているが違う。


ガウディが設計する時に使ったチェーン

チェーンがぶら下がっている。こんなことをしながら設計をしたと言われている。


DSCF9228

ガウディの建築は自然に倣っていると言われている。確かにそうだと思う。
人体を診る仕事である私も見習わなければならない。


DSCF9240

こうしてバルセロナ到着の夕方から夜の観光が終わった。
夜の8時半なのに、まだ明るい。
これが不思議でならなかった。

次回は、サグラダ・ファミリア。

つづく…サグラダ・ファミリア前編


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