ĽŘĽĂĽÉĽéĽ¤Ľó


鍼灸師のツボ日記
  şÇ˝ŞššżˇĆü
Í×ťÝ ç”°čˆŽăŽéźç¸ĺ¸Ťă‚ŻăƒŞĺŠŠăŽč‡¨ĺşŠĺĽŽé—˜č¨˜ 群馬と東京で鍼灸院を営む鍼灸師。ツボをこよなく愛し、鍼灸の魅力を語り始めると止まらない。
ĽŚĽ§ĽÖĽŢĽšĽżĄź
ĽŤĽĆĽ´Ľę
şîŔŽ
¸Ŕ¸ě ja
はりきゅうメイトを閉鎖してカポスを広げます
¸řłŤ:
ÍםÝ: はりきゅうメイト閉鎖とはりきゅうルーム・カポス拡張のお知らせです。 今年から始めた、鍼灸師の独立開業応援企画「はりきゅうメイト」を閉鎖することになりました。空いたスペースは併設されているはりきゅうルーム・カポス拡張のための利用します。 「せっかく始めた...
はりきゅうメイト閉鎖とはりきゅうルーム・カポス拡張のお知らせです。

今年から始めた、鍼灸師の独立開業応援企画「はりきゅうメイト」を閉鎖することになりました。空いたスペースは併設されているはりきゅうルーム・カポス拡張のための利用します。

はりきゅうメイト


「せっかく始めたのだからもう少しやってみたらどう?」

という声も聞こえてくるのですが、傷が広がっていない今こそ撤退の絶好のチャンスと考えました。鍼灸師の独立を応援する事業として昨年から準備し、今年に運営を開始しましたが、見込んでいたほど利用希望者が集まりませんでした。コロナ禍の影響もあるかもしれませんが、わかっている中でのスタートでしたから、やはり私の失敗です。

この事業に未来を感じて、準備から実際の運営まで担当してくれたスタッフにはたいへん申し訳ない気持ちでいっぱいです。ただ、このままでいると次の機会まで失ってしまうため撤退を決意しました。

最初に書いたとおり、はりきゅうルーム カポスを拡大します。現在はベッド3台ですが、はりきゅうメイトの閉鎖によって5台に増やすことができます。これに伴ってスタッフを増やそうと考えています。縁があるといいなぁ。

昨年まで品川駅の高輪口にあったカポスですが、そのときもベッドは3台でした。実は、港南口に移転してから来院数が増えていて移転がプラスに出ていました。コロナ禍にあってもニーズが増えていることを考えると、カポスの拡大する方が正しい選択になりそうです。

英語ができるスタッフもいますし、英語圏の人にカポスを知って頂く努力をします。日本にいながら外国人の患者さんを診ることができるので、考えようによっては国際的なステージになるかもしれません。そもそも品川という地を選んだのは、羽田空港が近いからでした。

「日本の鍼を受けるならカポスがいいよ」

と噂になるようにがんばっていこうと思います。今、英語チームが英語版サイトの刷新に取りかかっています。世界で働くことに憧れを抱く鍼灸師に、日本にいながら国際的な活躍ができる鍼灸院として認めてもらえるように努めていきます。もちろん、これまで通り、頭痛、突発性難聴、耳鳴りなど、カポスが得意としてきたことも継続していきます。


英語で対応する楠さん
 ↓ ↓ ↓



twitterもよろしくお願いします。
https://twitter.com/kuri_suke

・はりきゅう養気院(群馬県/伊勢崎市)
・はりきゅうルーム カポス(東京/品川駅)
・整動協会(鍼灸師のための臨床研究会)
雇用のツボ「新人の役割」
¸řłŤ:
ÍםÝ: 「後悔しない雇用(2)スタッフを雇っても孤独からは逃げられない」のつづき 一人鍼灸院から9名のチームに 一人で鍼灸院を営んでいると、「そろそろスタッフを雇ってみたい」と考える時期があります。求人をして雇用する人も、そのまま一人でやり続ける人も、雇って再び...
テキストの画像化


「後悔しない雇用(2)スタッフを雇っても孤独からは逃げられない」のつづき

一人鍼灸院から9名のチームに


一人で鍼灸院を営んでいると、「そろそろスタッフを雇ってみたい」と考える時期があります。求人をして雇用する人も、そのまま一人でやり続ける人も、雇って再び一人に戻る人も。考え方やスタイルはいろいろです。

この記事は同業者向けで「雇用で後悔してほしくない」という気持ちで書きます。私一人の経験でしかありませんが、一人鍼灸院から9名のチームになるまでの経緯を試行錯誤の痕跡がわかるように書くのでヒントにしていただければ幸いです。

実は、開業間もない頃にもアルバイトを雇っていたことがありました。でも1年に満たないうちに雇用は続けられなくなりました。売上が少ない状態だったので、自分の利益はゼロで人件費だけが出ていく状態でした。いったん仕切り直し再スタートしたのです。2003年のことですから18年も前です。

当時はすべてが未熟すぎて、今から思えば当然の結果でした。失敗の直後から妻と二人でコツコツと経営をして2年目にはプラスマイナスゼロ。3年目から利益が出るようになりました。5年目くらいには患者さんが増えすぎて新規をお断りしていました。

それから数年後、活法(古武術整体)セミナーのお手伝いをするようになって、私の鍼灸師としての流れが大きく変わりました。毎年毎年が予想ができない1年で、過酷な時期もあり乗り越えてきました。少しずつ認知されてきた整動鍼も、激流の中で生まれました。

この整動鍼(当時は「古武術鍼法」と呼んでいた)が次の雇用のきっかけとなりました。整動鍼は再現性を重視した鍼法で、誰がやっても同じ変化をもたらすことができることを特徴としています。その再現性が雇用に有利だと考えました。鍼灸師の技術のバラツキを最小化することができるからです。

2013年に鍼灸師2名を雇い、2014年から品川駅近くに鍼灸院を開院したのです。私は群馬にいながら経営をしていました。遠隔からの経営も大きな挑戦でした。

当時の記事「鍼灸師求人(東京都港区) はりきゅうルーム・カポス」
5fb073e6


それから数年経ち、スタッフの入れ替わりがあり、オープニングメンバーと代わって新しいスタッフ2名と学生アルバイト1名の3名で営んでいます。私は週1回、金曜日だけ施術をしています。

いっぽう、群馬では私の他に4名の鍼灸師が所属しています。私の妻は鍼灸師ではありませんが、経理や雑務などの裏方をしています。

まとめると、現在は、品川が3名、群馬が6名。9名のチームで鍼灸院とセミナーを営んでいます。けっして大きなチームではありませんが、開業当初からは考えられない組織です。私の仕事の幅も広がりました。鍼灸師、講師、経営者という3つの職種を行ったり来たりの毎日で充実しています。

以上が、最初の雇用から現在までの流れです。失敗も含めてよい経験をしてきました。すべてが糧となっています。当初と考えを変えたところもあります。その一つが新人の役割についてです。


新人の役割


昨年の春は新卒を1名採用しました。しかし研修中に突然辞めてしまいました。戦力として期待していたので残念でしたが、起こりうることとして備えなければならないと反省し、勉強になりました。そしてこの出来事をきっかけに、新人の役割を踏み込んで考えることになりました。

さっそく今春も新卒が入ってきました。鍼灸学校を卒業したばかりなので臨床(実践)の経験がありません。

以前の私であれば、臨床に出るまでは「研修期間」として、勉強や練習に時間を使えるようにしていました。「臨床に出る=戦力になる」という考えだったのです。研修期間は人材への投資と考えてコストを惜しまないようにしていました。また研修中に売上に貢献できないのは仕方ないことと考え、割り切っていたのです。理想を求めすぎて、会社の規模以上の投資になってしまったのです。

大いに反省した私は、新人の役割を考え直すことにしました。今までは大企業のマネをしすぎていたのです。小さな会社には小さな会社のやり方があるはずだと頭をを切り替えました。

そもそも、鍼灸院の仕事は施術だけではありません。患者さんが気持ちよく通えるように掃除をしたり、洗濯したりという環境を整える仕事があります。こうした仕事はメンバーが少しずつ分担しながらやっています。

これらの仕事をすべて新人に任せる、という話はありません。施術をする者にとっても重要な仕事と位置づけています。私も掃除や洗濯に参加しています。

では、新人ができることってなんでしょうか。答えは一つではありませんのでアイデア次第だと思います。すぐに着手できると考えたのは広報です。もっと私たちの取り組みを社会に向けて発信していく余地があります。



情報発信量と来院数の関係


2003年から鍼灸院をやってきて確かなのは、情報発信量と新規の患者さんの予約は比例関係にあることです。ですから、情報発信は超重要事項です。チームが大きくなればそれに応じた発信量が必要なので、伸ばしていく必要があります。私の頭はどんどん古くなっていきますし、若手の登用がこれからの鍵になります。

開業したばかりの頃は、ブログをする人が増え始めた頃で、フェイスブック(日本語版2008年~)やツイッター(日本語版2008年~)はありませんでした。インスタなんて影も形もありませんし、広告にYoutubeを使う環境も発想もありませんでした。

ネットで鍼灸院を探す人もまだ多くなく、チラシやポスティングの方がメジャーでした。費用がなかったという理由で私はほぼ無料で発信できるネットに力を注ぐしかなく、ブログをコツコツと更新しはじめました。まさにこのブログです。

第1回は2004年10月17日でした。『ツボって何だろう...』

一瞬で読める浅い記事です(^。^;)

ブログを始めたばかりは何の変化も起きませんでしたが、2005年3月には毎日のように更新をしていました。開業3年目を迎えようとする頃ですが、患者さんも増えていました。当時は、一人でやっていたので空き時間のほとんどを執筆に充てていました。ちょっとその頃が羨ましいです。


ブログの本当の価値


SNSの時代に入る前はブログに全集中で報われました。SNSやYoutubeの時代に入ってからは、時代に合わせるようにしてみました。一巡してやっぱりブログが大事と思っています。

実際にブログは廃れていません。このライブドアブログの無料プランもずっと生き残っているのでありがたいです。noteが出たとき乗り換えも検討しましたが有料にするつもりがなかったので、このブログに自分の鍼灸師人生を刻んでいこうと決めました。

過去の記事はすべて残してあります。役に立たない記事もありますし一貫性もありません。いろいろな出来事があって思考も価値観も変わっています。でも、変わらないことがたった一つあります。それは、この18年ずっと鍼灸をやり続けてきたことです。この事実は誰も覆せません。

どんなことを書いたら患者さんが集まるかのか、という視点も経営には必要な観点だと思います。しかし、私は中長期で考えるとあまり関係ないように思います。その時その時、鍼灸への想いを語るので十分と思っています。集客のことばかり考えていたら、楽しくありませんし続けられません。

自分が鍼灸師という職業を楽しむことを最優先に考えています。まだ見ぬ患者さんをイメージするより現実的で具体的で嘘がありません。私の鍼灸に対する姿勢や気持ちが患者さんや同業者に伝わることで道が拓けてきました。


広報を通じて学んでほしいこと


どんな媒体で情報を発信するとしても基本になるのは文章です。何も考えていないと何も書けません。考えているつもりでも、書けないときは考えていない証拠です。

新人さんに記事を書いてもらうと発見があります。そんなふうに見えるんだ、とか。伝えたつもりになっていたなぁ、とか。新人の目を通じて経営を見直すことができます。

また、新人さんも、書くことを通じて院の理念や方針を再確認ができます。また、患者さんの気持ちを想像する習慣もできます。

わかっているつもりを減らすことが書く目的です。書くことが苦手な人もいます。よく勘違いされるのですが、上手い文章を書く必要なんてありません。

そもそも作家ではありませんし、読み手も名文を期待しているわけではありません。文章から仕事に対する姿勢が伝わればよいのです。

スタッフに書いてもらうときに、指示しているのは「自分の目線で書くこと」だけです。文体や書式への指示はありません。この仕事を通じて自分の目を養ってくれたらよいのです。

みんな感性が違うし思考のパターンも違います。それぞれの良さを鍼灸に活かせるようにサポートをするのが私の仕事です。私自身もこのブログを通じて自分の感性を磨き、思考を整理していこうと思っています。

まだまだ私自身が勉強中です。雇用をしなければ気づけなかったことがたくさんあります。私自身の人間としての成長のために雇用を続けていきます。至らぬ点ばかりですが、これからもよろしくお願いします。


最後に当院のTwitterを紹介してこの記事を終わります。こんな感じで自由です。




twitterもよろしくお願いします。
https://twitter.com/kuri_suke

・はりきゅう養気院(群馬県/伊勢崎市)
・はりきゅうルーム カポス(東京/品川駅)
・整動協会(鍼灸師のための臨床研究会)
これからの「鍼灸の効果」の話をしよう(後編)
¸řłŤ:
ÍםÝ: <前編>はコチラ どんな現象が効果といえるのか 「鍼灸が効いた」とは何を指しているのでしょうか。どんな現象が効果と言えるのでしょうか。これがわかれば鍼灸の価値を評価しやすくなるのですが、現実はあまくありません。 鍼灸の施術後に観察できる現象こそ効果、と考え...
<前編>はコチラ

どんな現象が効果といえるのか


「鍼灸が効いた」とは何を指しているのでしょうか。どんな現象が効果と言えるのでしょうか。これがわかれば鍼灸の価値を評価しやすくなるのですが、現実はあまくありません。

鍼灸の施術後に観察できる現象こそ効果、と考えるのが科学的な思考です。しかし、観察できる現象はほんの一部です。

患者さんが「スッキリしました」と言ったときの「スッキリ」には、肉体的の変化(たとえば血流量の変化)の他に心理的な変化もあります。どちらも計測するには機材も必要で普段の臨床で数量化するのは困難です。

実際のところ、患者さんに起こる変化は術者の五感でとらえるしかありません。科学的視点からしてみたら、頼りなく感じるかもしれませんが、五感による総合評価は人間の特権とも考えられます。現実的に考えれば、五感を研ぎ澄まし公平感を意識しながら効果を評価していくしかありません。

将来的には、現象を観察して科学的に評価できる仕組みを整えるべきです。そうしなければ、鍼灸だけが取り残されてしまいます。伝統を守ることは、既存の方法にしがみつくことではありません。既存の方法に疑問をぶつけながら前に進む強い意志が「伝統」を創っていくのだと信じています。


効果を判断する3つの方法


鍼灸の効果を実感できる人が少なければ、とうの昔に鍼灸は消え去っていたでしょう。2000年以上に始まって現在も行われているということは、人々が効果を実感してきたからに他なりません。科学では証明できない価値が潜んでいると考えるのが妥当です。少なくとも必要とする人がいたという事実は曲げられません。

実際の臨床の場面では、どのように効果が判断されているのでしょうか。

鍼灸の効果


①主観的な効果


患者さんが自身が得る好転感です。その場で感じられるものもあれば、施術後しばらくしてから感じるものもあります。簡単に言えば、患者さんの「効果ありました」という言葉をそのまま受け止めるということです。逆に「効果がなかった」という場合も同様です。

②客観的な効果


変化を体感できなくても検査の数値が改善している場合があります。

たとえば、突発性難聴などです。私の鍼灸院では、病院での治療と並行して行うケースや、病院での治療が終了した後に行うケースがよくあります。前者の場合、鍼灸の成果のみを取り出すのは難しいのですが、後者は数値の変化によって効果を推測できます。

苦しいのは、突発性難聴における鍼治療の効果に十分なエビデンスがないことです。現状では「効果があったかもしれない」とまでしか言えません。

③信じる効果


「効果が出ていますよ」という鍼灸師の言葉を信じて、患者さんがそれを信じるパターンです。

その場では改善した感覚がなくても1~2日経ってから症状が大きく改善するパターンがあります。こういうとき、患者さんは改善している感覚がなくても、施術者はよい手応えをつかんでいることがあります。患者さん本人が気が付かない変化を捉えているからです。

実際に、「明日か明後日には今よりも軽くなってると思いますよ」と伝えて終わりにすることもあります。その通りになれば、患者さんは「効果のある施術を受けた」と思います。予告通りのことが繰り返されれば患者さんは私たちの言葉を信じてくれるようになります。

疑い深い患者さんよりも信じてくれる方の方がやりやすいのが本音です。しかし、患者さんの信じる力に頼りすぎると、鍼灸が信仰の対象になってしまいます。医療であるならば、軽く疑いをかけられているくらいの方がちょうどいいのかもしれません。


効果の証明コスト


鍼灸の臨床において、成果一つひとつに対して効果の証明書を添付できません。現実的なことを言えば「効果が出たらしい」を「効果があった」と処理し、「効果がわからなかった」を「効果がなかった」と処理しないと進めません。

ただし、鍼灸に限った話ではありません。鍼灸に限らず治療の効果というのはあいまいです。

効果をあいまいにしているのは鍼灸ばかりではありません。病院にて、医師が「効果がないらしい」と判断すれば、薬や治療方が変更され、患者が「効果がないらしい」と感じれば、別のところに相談しにいきます。

効果の有無をきっちりさせるにはコストも時間もかかります。臨床では他に優先すべきことがあるので、そこにこだわることはできません。バランスを考えると、効果があいまいのまま残ってしまうのは仕方のないことです。

効果を体感しやすくなる臨床のコツ


ここからは臨床テクニックの話になります。ここまで読み進めていただいた方に感謝の気持ちを込めて、できるだけ客観的な姿勢で患者さんが効果を感じられるように、普段から私が行っていることを紹介します。

①痛みを感じている所や異常点に印をつける


気になるところにはペンで印をつけています。いったん別のところに目や手を移動させても、あとで同じところに確実に戻れるからです。そうすることで、施術の前後で変化を比較しやすくなります。

そもそも手の感覚はあいまいです。だからせめて位置だけでも確実にしておこうという単純発想です。ただ、大半の鍼灸師は行っていません。素人っぽく見えるからかもしれませんが、患者さんはそうは思わないと思います。丁寧に間違いなくやろうとしている姿勢と受け止めてくれます。

②痛みなどの症状を感じる姿勢や動きを再現する


どこが痛いのかを丁寧に効いても、どうしたら痛いのかの聞き取りがあまくなるケースがあります。施術直前に、無理のない範囲で症状の再現を行ってもらうようにしています。施術直前であることが重要です。そして、施術直後にも同じことことをやってもらいます。

前後をしっかり比較したい場合には置鍼(鍼をしばらく刺して待つ)ではなく、単刺(刺したらすぐに抜く)の方が有利です。なぜなら、時間経過が少ないので、ちょっとした変化にも気づけるからです。時間が経つと「さっきはどうだったかな?」と記憶がぼやけます。

また、単刺は、効果がなければすぐに次の手に移行できるので、施術時間内にいろいろ試せます。

③触診の圧を精密にコントロールする


体に痛みがあるときは触診の圧を利用します。押す圧が強すぎると「そんなに押されたら痛いに決まってる」になりますし、弱すぎると「最初から痛くない」になります。

ちょうどいい圧痛(押された痛み)を出しておくと、施術後の変化がわかりやすくなります。もちろん、前後は同じ圧であることが重要です。


④可動域を観る


たとえば五十肩の治療だとしましょう。1回の施術で完全に痛みが取れることは希ですが、1回の施術で好転することはよくあります。もし「痛みはどうですか?」と施術後に尋ねると、患者さんは痛みを再現しようとします。痛みがゼロになっていない限り「まだあります」と返ってきます。

可動域をチェックすると、最初よりも増えていることがあります。前と同じ角度なら痛みが軽減していると言えます。五十肩を痛みの症状から動かない症状に置き換えるだけで、変化を読み取りやすくなります。問題をすり替えているように思う人がいるかもしれませんが、問題を視覚化する意味があり大切なことです。

⑤変化を予告する


できるだけ変化を予告するようにしています。症状が変化した際に施術の結果がもたらしたことを認識してもらうためです。施術の精度と同じくらい予告の精度も大切にしています。言われたことが実際に起これば、患者さんは「効果によるもの」と安心できます。


さいごに


ここまでお付き合いくださりありがとうございます。長くなってしまいましたが、それでも「効果とは何か」というテーマを完結にまとめたつもりです。壮大なテーマなので、これだけで対談のテーマとして十分なくらいです。

この記事はあくまでも私の視点からのものです。もちろん違った意見もあるでしょう。いろいろな意見が触れ合うことで鍼灸はもっとわかりやすいものになっていくでしょう。

私は臨床ベースの鍼灸師ですが、研究ベースの鍼灸師と交流を深めていくことで、さらに効果を明瞭化することができると思います。科学から効果を証明する取り組みもタイミングをみてやっていきたいです。そのために十分な余裕を持てるようにしようと思います。

twitterもよろしくお願いします。
https://twitter.com/kuri_suke

・はりきゅう養気院(群馬県/伊勢崎市)
・はりきゅうルーム カポス(東京/品川駅)
・整動協会(鍼灸師のための臨床研究会)
これからの「鍼灸の効果」の話をしよう(前編)
¸řłŤ:
ÍםÝ: 7月22日(木)にルート治療の代表者である白川先生と対談をしました。とても有意義なものとなりました。 経緯についてはコチラにまとめてあります。 7月30日まで視聴できます) 「効果」の解像度を上げる 今回の記事では効果をテーマにします。理由は、対談を観た鍼...
7月22日(木)にルート治療の代表者である白川先生と対談をしました。とても有意義なものとなりました。
経緯についてはコチラにまとめてあります。


(7月30日まで視聴できます)


「効果」の解像度を上げる


今回の記事では効果をテーマにします。理由は、対談を観た鍼灸学生さんから指摘されたからです。noteに綴られた文章は丁寧で好感が持てました。学生さんに聞いてほしいと思っていたので嬉しいです。対談をしてよかったと心の底から思います。

一部を抜粋します。
捉え方がかなり違うお2人が、対談の中で使われていた「効果」の定義というのは共有されていたのか。そこがすごく気になりました。
共有されていないで話を進めると、お互いのマウント合戦のような印象を与えかねないからです。加えて建設的な議論として成り立たないからです。
「効果」という言葉の解像度をもっと高くしてほしいなと素直に聞きながら考えていました。

(「ルート×整動鍼 対談」を見た鍼灸学生が抱いた素直な意見より)


IMG_8727


確かに対談中に「効果」という言葉が何度も出ていたと記憶しています。指摘して頂いた通り、本来であれば「効果」の意味することを定義してから話を展開する方がわかりすいです。でも、僕はあえてスルーしていました。なぜなら、これだけでも大きなテーマすぎて本題に入れなくなってしまうからです。

本題は、それぞれの治療法にたどり着くまでのストーリーを聞き出すことでした。当日はその枠からはみ出ないように話を進めていました。

実は、効果の定義は大好物のテーマです。言いたくて仕方ありませんので、このブログで伝えようと思います。対談動画を観ていなくても読み進められる内容になっていますのでご安心ください。


効果を患者さんが決めるなら


一番大きな問題は、効果は誰が決めるのか、ということです。患者さんが決めるのでしょうか。それが妥当なように思えるのですが、ちょっと待って下さい。

病院でのやりとりをイメージしていましょう。処方された薬の効果の判断は誰が行っているでしょうか。言うまでもなく担当医ですよね。医師の判断は尊重されます。

もちろん患者側としても効果の有無が感覚的にわかります。でも、その感覚はあくまでも判断材料の一部です。

このように考えると、鍼灸の効果は患者さんが決めてよいものか疑わしく思えてきます。たとえば腰痛。1回の施術で痛みが完全に取れるとは限りません。数日経って痛みが半分程度になっていたとき、患者さんは「まだ痛いです」と言うでしょう。

1回で痛みがゼロになった人の話を聞いていれば、痛みが半分程度になった程度では「効果なし」と考えるかもしれません。症状によっては数日で痛みが半分になるのは十分な好転ですので、「効果なし」と判断されると困ります。

実際にこんなやりとりがあります。

「どうですか?」

と尋ねて

「全然変わっていません」

と返されることがあります。

「では、前と同じくらい痛みますか?」

と聞き返すと、

「前よりだいぶいいんですけど、まだ痛いんです」

と返ってくるパターンは数えきれません。

患者さんは、ペインスケール(痛みの程度)を意識するとは限りませんから、施術者は意識して聞かなければなりません。実際の臨床では、つらい症状がゼロになっていなければ「効果がない」と答える方は少なくありません。患者さんの言葉は尊重しますが、実際の状況が感情の膜に包まれることがあるので要注意です。


効果を鍼灸師が決めるなら


こんどは、鍼灸師が効果を判断してよいと仮定してみましょう。この場合、患者さんの感覚は無視して、検査の結果など客観的な事実を材料に判断することになります。結果が良ければ効果ありとされます。患者さんが「まだつらいです」と言っているとしてもです。

畑が変わりますが、客観的なデータだけで効果を判定できるものがあります。ワクチンです。接種しても発症する人はいます。でも、その一例でワクチンの効果が否定されることはありません。効果は集団を対象にして統計的に判断されます。人の感覚に頼ることなく効果が判定できるので客観的です。


感想を集めても効果の証明にはならない


鍼灸の効果はワクチンのようにデータを集めて評価しようと思っても社会的な基盤がありません。客観的な証拠を示すことが難しい場合が多いため、臨床では患者さんの主観を大切にします。患者さんの訴えや感覚を尊重しなければ成り立ちません。このように考えると悪いことばかりではありません。悪い面としては、いくら患者さんから好評を得たとしても、エビデンス(科学的根拠)はないと言われてしまうことです。証明するには、統計的な処理が必要です。

鍼灸の現場では、「鍼灸はこんなに効くのだからもっと広がった方がいい」と言われることがよくあります。私も同じ気持ちです。ただ、その「効く」を証明することができない限り、ある患者さんの感想としか言えません。

ただ、その感想も大きな力を持ち始めています。今や鍼灸院もネットの口コミで評価される時代です。

鍼灸師の「効果ありますよ」より、患者さんの「効きました」の方が確からしいと考える人が多いです。もちろん、その「効きました」は効果の証明にはなっていませんが、その言葉で期待を抱きます。エビデンスが乏しい鍼灸において、良くも悪くもクチコミが鍼灸院の評価です。


感じる効果、感じない効果


効果には、感じない効果と、感じる効果に分かれます。たとえば、ワクチンであれば抗体の数値に変化が出れば「効果あり」と言えますが、その効果は感じることができません。これに対して、鍼灸では、何らかの数値が変化していても、患者さんが好転した実感がなければ「効果あり」と言っても納得してもらえません。

鍼灸の臨床では、ほとんどの場合感じる効果のみが評価されると考えてよいでしょう。つまり、患者さんの実感のみ効果として評価されます。例外も挙げておきましょう。突発性難聴は聴力が数値化できるので、変化を客観的に判断できます。ただし、厳密に言えば、変化の確認であって鍼灸の効果であるという証明は困難です。


認められない効果


感じる効果しか認めてもらえないという現実を受け入れると、どうしたら効果を感じられるのかと考える必要があります。

患者さんは身体に変化が起きても気づかないことが多いです。学生のときは、こんな視点で考えることもありませんでした。教科書通りにやれば、患者さんが教科書通りの変化を勝手に感じて喜ぶものと思っていたからです。

第一の問題は、効果を術者がよくわからないことです。たとえば、脈診というものがあります。私は、鍼灸学校の1年目から練習をはじめて、プロになってからも練習を続けていました。実際の臨床でも用いていました。

施術中に脈の打ち方は変化します。脈拍数だけでなく脈の印象が変わります。ただ、脈はさまざまな条件で変化するので、その変化が鍼灸施術によるものなのか判断ができません。変化が一過性であることも多いです。この変化は指で感じているものですから、あくまでも個人的な感想です。しかも、脈の変化は患者さん自身はわかりません。

症状との関連性もあいまいです。脈は変わったように感じるのに、痛みは全く変わっていないという状況が普通に起こります。これが第二の問題です。

ですから、脈の変化は鍼灸の効果として認めることが難しいです。

効果判定の手段として「脈診は伝統だから」では不十分な説明です。科学技術の水準が現在とまったく違う時代に行われていたことが現在でも同じ価値を持つかどうか疑問を持つべきでしょう。特にこれから鍼灸師になる学生は、脈診の意義を慎重に考えてほしいと思います。

(後編へ続く)


twitterもよろしくお願いします。
https://twitter.com/kuri_suke

・はりきゅう養気院(群馬県/伊勢崎市)
・はりきゅうルーム カポス(東京/品川駅)
・整動協会(鍼灸師のための臨床研究会)
100人連続施術「整動鍼百連」-不可能を可能にしたチームワーク
¸řłŤ:
ÍםÝ: おかげさまで「整動鍼百連」を無事に終えることができました。届いたアンケートとSNSに投稿された感想をドキドキしながら一つずつ読んでいます。予想以上に好評です! 終わったからこそ書けることがあります。今回は企画から準備までの裏話を書こうと思います。 1日100...
おかげさまで「整動鍼百連」を無事に終えることができました。届いたアンケートとSNSに投稿された感想をドキドキしながら一つずつ読んでいます。予想以上に好評です!

終わったからこそ書けることがあります。今回は企画から準備までの裏話を書こうと思います。

整動鍼百連チーム



1日100人施術するってどんな感じだろう?


100人施術する一部始終をライブ配信するこの企画、私の思いつきが始まりでした。

これまでどんなに忙しくても1日100人なんて診たことありません。8時間で計算してみると1人3~5分で終えなければなりません。実際の臨床では1時間に3人までとしています。ですから、普段の数倍の速度が必要です。もちろん、いくら速くても効果を感じていただけなければ意味がありません。

実現させるには私一人がいくらがんばっても無理です。参加してくださる方が混乱せずにストレスを感じることなく施術を受けるにはスムーズな動線が必要です。

不安に包まれたままチームは走り始めたのです。でも、こうも言えます。誰もが難しいとわかるから挑戦になります。当日の朝は不安が興奮にかき消され、なんだかわからない雰囲気でした。

誤解のないように書いておきますと、鍼施術は速ければよいというものではありません。この企画は平素の臨床と違って、対象は同業の鍼灸師です。

「こういう方法もあるんですよ」

という一つのスタイルをお見せするプレゼンテーションであり、パフォーマンスなのです。効果を加味しての評価ですので、効果の追求も疎かにはできません。当たり前ですが、鍼治療は効果ありきです。

DSCF7739



実現するために取り組んだ秒単位の動線


普段は、問診から施術まで私一人で担当していますが、百連では問診担当を設けました。複数の症状がある場合が多いので、施術対象の症状を絞り込んでおくためです。この結果、30~60秒くらいで触診に進むことができました。

また、主訴は一つに限定しました。普段の臨床では、同時にいくつもの症状を診ることが多いですし、それができることが鍼治療の魅力の一つです。2つ目の症状がある場合には、もう一度並んで2回目を受けていただくというシステムにしました。

整動鍼百連_問診



リスクを冒してでも伝えたい嘘のない世界


この百連は100症例をライブ配信するので、失敗も含めてすべて配信されます。都合よく良いところだけ見せることができません。私の実力が丸裸になってしまう、私にとっても恐ろしい企画です。

鍼灸業界は普段からこんな企画で溢れているわけではありません。20年以上鍼灸の業界にいますが聞いたことがありません。

ほとんどの場合、創案者や講師が壇上で技術を紹介する際には、患者役と事前に打ち合わせをしてから行います。デモンストレーションは重要なプレゼンテーションですから、ぶっつけ本番は避けるようにします。

ただ、こんな疑問が残ります。

「実際の臨床ではどうなんだろう?」

私が運営するセミナーでは、こんなふうに思われないように、受講者の中から受け手を探してぶっつけ本番でデモンストレーションをしています。

それでも、セミナーの参加者は「実際の臨床はどうなんだろう…」と思うようで、私のいないところでスタッフがよく質問されています。「普段もあんな感じですよ」と答えてくれているのですが、「そうは言っても…」と腑に落ちていない人が多い印象です。

セミナーと実際の違いを見るために、私の鍼灸院に受けに来てくださる方も少なくありません。別に、疑われていると思ってはいません。セミナー用と臨床用があるのではないかと疑うのは自然なことです。貴重な時間を割いて、大切なお金を使って勉強するのですから、当然の行動だと思います。

この企画を通して伝えたかったのは、日頃の臨床とセミナーで使っている理論もテクニックも同じであるという事実です。百連が終わった今、「ほら同じでしょ?」と堂々と言えるのです。

百連を終えたクリ助



ライブ中継の視聴者を入れると200人超え


これだけの人数に参加していただけたことが本当に嬉しいです。そもそも、臨床というものは誰かに見せるパフォーマンスではありません。施術される側も見られたくないのが普通の心理です。会場で患者役をしてくださった同業のみなさんには感謝の気持ちでいっぱいです。

少なくとも、私は200人以上に、良いところも悪いところもすべてさらけ出したのです。少なくとも「口だけのやつ」と言われることはなくなりました。もちろん、口ほどでもないという評価を下されるかもしれません。それは仕方ないことです。

とにかく大切にしたいのは裏表をつくらないことです。受講者とのこ信頼関係を築く上でもとても大切なことです。嘘でも人を動かすことはできるかもしれませんが、いつかほころびが出ます。私はこの仕事を長くやっていきたいと思っているので嘘はつきたくないのです。

整動鍼百連のライブカメラ


準備は裏切らない


百連の企画が生まれたのは3ヶ月前の4月でした。その頃もコロナ禍の出口が示されていませんから、100人集まるだろうか…と不安でした。8時間をブロック分けしていくので100人が狭い空間にギュウギュウになることはありませんが、企画名からなんとなく100人集まった様子を想像されてしまいます。

企画、宣伝、会場設置、備品の調達、配布資料の作成、協賛会社との打ち合わせを手分けして進めていきました。私は何もせず見守っていただけです。この百連がよい評価を頂いたなら、それは準備をしてくれたスタッフの手柄です。

私の手柄を一つ絞り出せば、「準備は裏切らない」ということをスタッフに経験させることができたことです。

鍼灸の臨床も準備が大切です。患者さんを診ている最中に実力が急上昇することはありません。鍼に魂を込めても実力は変わりません。逆に魂を込めなくても、それまでの実力は自然と鍼に出ます。準備は入念に本番は自然に。いつも心がけていることです。

IMG_5151



準備から本番までの様子はこちらにまとめています。



次のチャレンジは怪物との対談


すでに次のチャレンジに向けて私たちは動き始めています。詳しくは、前回のブログ「鍼灸業界に現れた『ルート治療』という怪物」をお読みください。


◎対談のライブ配信(視聴無料)

7月22日(木)19:00~20:00
視聴用URL:https://vimeo.com/event/1126241

白川対談バナー_FB



twitterもよろしくお願いします。
https://twitter.com/kuri_suke

・はりきゅう養気院(群馬県/伊勢崎市)
・はりきゅうルーム カポス(東京/品川駅)
・整動協会(鍼灸師のための臨床研究会)
鍼灸業界に現れた「ルート治療」という怪物
¸řłŤ:
ÍםÝ: 鍼灸師一人ひとりが自分の鍼灸を極めていけばいい!? 鍼治療のやり方は色々です。 鍼灸師一人ひとりの治療理念やテクニックに委ねられているのが現状です。バラエティに富んでいると言えますが、外から見ると何をするのかわかりにくいのです。外からだけではありません。...

鍼灸師一人ひとりが自分の鍼灸を極めていけばいい!?



鍼治療のやり方は色々です。

鍼灸師一人ひとりの治療理念やテクニックに委ねられているのが現状です。バラエティに富んでいると言えますが、外から見ると何をするのかわかりにくいのです。外からだけではありません。実は、内からもそうです。同じ鍼灸師でも隣の鍼灸師が何をしているのかわからないのです。

病院では当たり前の標準治療。医師が違っても同じ治療をしてくれます。どこに行ってもだいたい同じであることが安心感です。もちろん、患者になってみると感じるように、医師や病院の善し悪しを感じることはありますが、標準治療という枠の中で起きている違いです。

そんな標準治療が鍼灸にはありません。このことに問題を感じている鍼灸師もいれば、興味を示さない鍼灸師もいます。鍼灸師によっては「一人ひとりが自分の鍼灸を極めていけばいい」と考えています。

私は、こうした考えと対極に位置しています。なぜなら、一人ひとりが極めていくという考え方では、情報共有がしづらくなって他者のアイデアが入り込みづらく、独りよがりのものになりがちです。その独りよがりな方法を高く評価される鍼灸師は一握りです。普通は我流です。

「一人ひとりが自分の鍼灸を極めていけばいい」というスローガンは我流を強烈に肯定してくれますから、一部の鍼灸師にとって都合がよいのです。

私は、鍼灸師には個性があってはならないと言いたいのではありません。個性に偏重すれば医療として発展していくことは難しくなるでしょう。

医療は、アーティストのように個性の勝負の世界ではありません。目立つことよりコンセンサスが重要です。


整動鍼は個性的ではないのか!?


個性の勝負ではないと言いながら「整動鍼」を創案している私は、個性で目立とうとしていると思われてもしかたありません。でも、その真には標準治療へのあこがれがあるのです。

私が考える標準治療になるための条件は次の3つです。

①誰でも理解できる理論であること
②誰でも再現可能であること
③検証が可能で発展の余地があること

整動鍼はこれら①②③を満たせるように意識しています。整動鍼を標準にしたいとは思っていません。そもそもを考えると、標準治療に特定の名前が付いていたらおかしいです。

だからといって、名前をつけず「標準化を目指した鍼灸です」と言ったら、「個人が何勝手なことを言っているんだ!」とお叱りを受けるでしょう。現状においては、標準治療を目指すとしても、何らかの名称をつけて発信していく他ありません。


ルート治療という怪物


私より若い白川勇作先生が、「ルート治療」と名付けた方法で鍼灸業界を賑わせています。その特徴は一目瞭然で、鍼をたくさん刺すのです。もちろん見た目の話であって、その裏には真があるはずです。

私から見ると、鍼をたくさん同時に刺してしまうと、③(検証が可能で発展の余地があること)をクリアできないように思います。科学的手法にはいろいろあるので、何かしらの方法があるのかもしれません。ただ、少なくとも「どのツボが効いたのか?」とツボが持っている独自の効用にたどり着くことは難しそうです。これは、あくまでも私の個人的な感想です。私が提唱している、ツボ一つ一つの意味に迫るスタイルとは違うものの価値は安易に否定はできません。

実際、ルート治療のセミナーを受講して実践している鍼灸師は全国にいます。整動鍼のセミナーでも話題になることがあります。

ルート治療と整動鍼は、似ても似つかない方法です。しかし唯一の共通点があると思うのです。それは、従来の常識とは違った視点から効果を引き出そうとしていることです。整動鍼もよく批判されますが、ルート治療もよく批判されます。私も批判している人の一人です。「あんなに刺してしまってはツボの効果がわからない」という立場です。


正義感という暴力


批判することも、批判されることも、悪くありません。何かを始めるには批判がつきもので、何かを始める人はその覚悟があります。やってはいけないのは、批判したいからといって、人格を攻撃したり、揚げ足を取ったりすることです。

卑怯だと思うのは批判が集中し、相手が反撃できないとわかっているときに、ここぞとばかりに正義感という棍棒で殴りかかるような行為です。私は、そんな一人にはなりたくありません。

私も批判されやすい立場にありますし、実際にある人から正義感の棍棒で殴られ続けていた時期があります。だから批判されている人の立場や気持ちが少しわかります。

白川先生も私も、鍼灸業界においては異教徒のような存在です。批判されるのは、批判する側に「鍼灸はこうあるべきだ」という信仰があるからではないでしょうか。

信仰心が強い人ほど、自分の信仰とそりが合わないものを「宗教的だ!」と批判したくなるのです。自分も気をつけなければなりません。

批判したいなら技術論の枠から出るな、というのが私の考えです。


ルート治療の創案者の白川先生に会いに行く


なんだかんだいって、会いに行くのが一番早いです。ルート治療の白川勇作先生が鍼灸院を構える博多に行くことにしました。白川先生は、私の日頃のSNSでの発信からルート治療を否定的に思っていることに気づいていたらしいのですが、私の申し出を快く引き受けてくださいました。

7月22日(木)に博多に飛ぶことにしました。白川先生から直接話を聞ける機会はなかなかありませんから、対談の様子を無料で配信する予定です。


◎対談のライブ配信(視聴無料)

7月22日(木)19:00~20:00
視聴用URL:https://vimeo.com/event/1126241

白川対談バナー_FB


twitterもよろしくお願いします。
https://twitter.com/kuri_suke

・はりきゅう養気院(群馬県/伊勢崎市)
・はりきゅうルーム カポス(東京/品川駅)
・整動協会(鍼灸師のための臨床研究会)
ついに実現した夢の細鍼管!
¸řłŤ:
ÍםÝ: 鍼管とは 鍼管(しんかん)というのは、鍼を刺す際に使う管のことで、日本で考案された道具です。もともとは金属のみですが、最近はプラスチック製が主流です。 この道具を使うことで、細くて柔らかい鍼を無痛に近い感覚で刺すことができます。この鍼管のおかげで患者さん...

鍼管とは


鍼管(しんかん)というのは、鍼を刺す際に使う管のことで、日本で考案された道具です。もともとは金属のみですが、最近はプラスチック製が主流です。

鍼管を使った切皮


この道具を使うことで、細くて柔らかい鍼を無痛に近い感覚で刺すことができます。この鍼管のおかげで患者さんはあまり痛くない鍼を受けることができるのです。

この道具のすごいところは、どんな鍼灸師が使っても痛みが軽減できることです。極端に言えば下手でも痛くないのです。ですから、日本の鍼灸師の9割以上が鍼管を使っていると思います。


鍼管の問題点


日本人のすばらしい発明ですが欠点がないわけでもありません。なんでもそうですが、メリットがあればデメリットがあるわけです。デメリットは刺鍼点がズレることです。

鍼管は持ち手(鍼柄)が管を通るように出来ていますから、その分の内径が必要です。鍼柄が太くなるほど内径を大きくしなければなりません。メーカーによっては持ち手がプラスチックであることもあり、内径がだいぶ大きくなっています。つまり、鍼柄の直径の分だけズレを生んでしまうのです。

鍼管の太さの比較
(過去記事:「理想の鍼をメーカーに特注したい!」より)


鍼管の理想と現実を比較する


鍼灸師によってツボのサイズ感はまちまちで、正解というものがありません。ですから、鍼管の内径に問題を感じるのは個人的な見解です。しかしながら、私は個人的な感覚として、そのズレが大きな問題だと思っていました。私と同じ問題意識を持つ鍼灸師もいて、鍼管を使わずに刺鍼しています。ただ、痛みが出やすいのでテクニックを磨く必要があります。

「鍼管がなければ切皮(鍼先が皮膚を通る最初の段階)ができないのは下手な証拠」

という鍼灸師もいるのですが、私はこの論理には賛成できません。痛みを感じにくい鍼管をせっかく日本人が考案したのだから積極的に利用すべきだと考えています。


安心感か、精度か!?


実は、内径から生じるズレはディスポーザブル(使い捨て)の鍼の問題なのです。ディスポーザブルの鍼は基本的に「鍼+鍼管」がセットになっていて、使用するとどちらも廃棄します。

鍼管だけ、滅菌して何度も使うステンレス製にするという手もあります。職人がつくった、内径をギリギリまで絞り込んだものがあります。滅菌して使うわけですから、実質的に感染リスクはありません。

私個人の意見では「滅菌されているならいいんじゃない」と思うのですが、使い捨て以外は心配なので嫌という人もいます。というわけで、ディスポーザブルの鍼管を使っています。

私が鍼灸師になって20年になりますが、その間、ディスポーザブルにすると刺鍼のズレが気になるし、滅菌して使うステンレス製は患者さんの目が気になる、という状態がずっと続いていました。現存するディスポーザブルの中でもっとも内径が小さい鍼管を使うことで妥協し続けてきたのです。

その不満が2016年にこの記事(理想の鍼をメーカーに特注したい!)で爆発しました。合わせて読んで頂けると嬉しいです。


ついに理想の鍼管ができた!


2021年は特別な年です。なぜなら、理想の鍼管がついに発売されることになったからです。実は、理想の鍼管づくりに向けたプロジェクトは2年前には動き出していて、試行錯誤を経て完成したのです。私の手元には外に出ることはない試作品もあります。開発に尽力して下さった、ユニコ(日進医療器株式会社)さんには本当に感謝しています。いろいろなメーカーにお願いして、耳を傾けてくださったのはユニコさんだけでした。

鍼灸師になってずっと妥協してきた問題を解決してくだったユニコさんに、この感謝の気持ちを何と表したらよいのかわかりません。とにかく、ありがとうございます。めっちゃ嬉しいです!

細鍼管(ユニコ)


これがその鍼管です。鍼柄がギリギリ通る内径になっていて、外径も小さめになっています。現在のところ、業界最小径の鍼管です。「理想」に近いと思いませんか?


鍼管が皮膚に触れた時にチクチクしないように、丁寧に面取りもしてあります。この処理が本当に大切です。

せっかくなので、既存のあるメーカーの鍼管と比較してみました。

鍼管の直径が違いすぎる


出来心でやってしまいました。

鍼管の中に鍼管が入る


細鍼管 2021年7月12日発売!


細鍼管パッケージ(ユニコ)


これがパッケージです。製品は「鍼+鍼管」の個包装セットです。現在、寸3-1番(0.16mm×39mm)のみです。シリコン加工していないタイプです。この製品がたくさん売れたら、バリエーションが増えると思います。だから、なりふりかまわず宣伝しています。

ちなみに、売れても私にロイヤリティは入りません。この細鍼管を使えるだけで利益として十分です。今まではお金をいくら積んでも買えなかったのですから。

私が主宰する整動協会のロゴも入っていますが、会員でなくても鍼灸師なら誰でも購入できます。学派や流派を超えて使って頂きたいです。

どんな方法であれ、刺鍼の精度が高くなれば施術効果が上がりますから、鍼灸業界全体にとっても、この鍼管が普及することには大きな意味があります。

私は、細型の鍼管が世界のトレンドになると信じています。この製品を一度でも使うと細型のメリットに気がついてしまいます。精度を大切にする鍼灸師なら手放せなくなってしまうでしょう。普及するまで、出会う鍼灸師全員に「一度使ってみてください」と言い続ける覚悟です。

肝心の購入方法ですが、まだわかりません。発売元のユニコさんが発表したら、このブログに書き加えます。


細鍼管で100人連続施術「百連」


「細鍼管」の発売日の前日である7月11日(日)に、この鍼管を用いて100人連続で施術するイベント「整動鍼 百連」を予定しています。対象は鍼灸師と鍼灸学生です。この細鍼管を受け手として体感していただくことができます。

100人連続といっても、100人が同時に会場に入るわけではなく、時間帯を分けて順番に入りますので密にはなりません。感染対策に気を配って行います。細鍼管と整動鍼に興味のある方もぜひお申し込みください。

ユニコさんに協賛して頂いているので、参加者の皆様には「細鍼管」のサンプルを差し上げます。6月22日現在、若干の空きがあります。 

現場に足を運べない方のために、当日の様子はライブ配信しますので、オンライン参加も可能です。

どちらも無料です。お待ちしています。

詳しい情報はコチラです。
整動鍼「百連」(2021年)



twitterもよろしくお願いします。
https://twitter.com/kuri_suke

・はりきゅう養気院(群馬県/伊勢崎市)
・はりきゅうルーム カポス(東京/品川駅)
・整動協会(鍼灸師のための臨床研究会)
後悔しない雇用(2)スタッフを雇っても孤独からは逃れられない
¸řłŤ:
ÍםÝ: 孤独を理由に雇用してはダメ 「一人鍼灸院は孤独だから人を雇いたい」とお考えなら、絶対に雇用しない方がよいです。なぜなら、もっと孤独になるからです。 そもそも、孤独でない経営者なんているのでしょうか。断言しますが、一人鍼灸院であっても従業員がいても経営者は...
スタッフを雇っても孤独からは逃れられない


孤独を理由に雇用してはダメ


「一人鍼灸院は孤独だから人を雇いたい」とお考えなら、絶対に雇用しない方がよいです。なぜなら、もっと孤独になるからです。

そもそも、孤独でない経営者なんているのでしょうか。断言しますが、一人鍼灸院であっても従業員がいても経営者は孤独と付き合っていかなければなりません。その孤独は決断の責任を取るという立場から生まれるものです。経営者の言い訳を許してくれる人はいません。これが孤独を感じる理由です。けっして、人が近くにいないから孤独を感じるのではありません。


寂しさと孤独は違う


孤独を感じている人が都会に出ても孤独です。人がたくさんいるのに孤独を感じます。むしろ孤独感がどんどん増していきます。なぜでしょうか。そこにいるのは“わたし“を理解してくれる人ではないからです。

人がいない時に感じるのは寂しさです。理解してもらえないときに感じるのが孤独です。寂しさと孤独は心の中で区別するのが難しいです。本当は孤独を感じているのに、賑やかさを求めてしまうのです。いくら賑やかになっても理解者がいなければ孤独は続きます。

孤独を和らげる理解者はたくさん必要ではないと思います。自分を深く理解してくれる人が一人でもいれば孤独を感じません。私はそうです。


孤独を感じたら


一人で経営していて孤独を感じたら、まずやるべきことは雇用ではなく理解される努力です。家族や友達に仕事で実現したいとことを正確に理解してもらうことが優先です。

この努力を怠り雇用してしまうと孤独感が増します。それは都会に出て孤独感が増すのと原理とたぶん同じです。「理解されていない」という状況が際立ってしまうのでしょう。

何を隠そう、私自身が「理解されていない」という状況に苦しんでいた時期があります。今だって、100%理解されているなんてことはありません。どんなに近くにいても、別の人間であるわけですから、私のことはわかりません。自分のことだってわからないのに、誰かが100%理解してくれるなんてありえません。これはポジティブな割り切りです。誰かに抱く期待感を適度にチューニングできれば孤独を感じにくくなります。


孤独にさせない


雇用において重要なのはスタッフを孤独にさせないことです。経営者の孤独問題は二の次三の次くらいにしておくくらいでなければ上手くいきません。スタッフを孤独にさせない方法は一つしかありません。スタッフを理解することです。

言うは易しです。理解したつもりになっている場合が多いです。理解できたら理解を示すところまでやらないと意味がありません。理解しようとしている姿勢が伝わってはじめて孤独を和らげる効果になります。

これは患者さんに対しても同じです。理解をしようとしている姿勢を伝えることで患者さんを孤独にさせないように努めています。


提案の扱い方


スタッフが増えれば増えるほど、全員の意見が一致しづらくなります。でも、経営者は決断をしなければいけません。それは誰かの提案を不採用にするということです。チームづくりという視点からいえば、採用した提案よりも不採用にした意見や案の扱いの方が重要です。雑に扱えば、誰も提案しなくなってしまいます。振り返れば反省ばかりです。


理由なく雇ってはいけない


患者さんが増えてくると、どこからともなく「そろそろスタッフを雇ったらどうですか?」という声がやってきます。無視した方がよいと思います。雇用のための雇用では目的を見失って迷子になります。「忙しいから」と「孤独だから」であれば、雇用で解決することはありません。

個人的には、一人では実現できない目的ができたとき、特別な事情が発生した場合だけ雇用を検討すればよいと思います。

雇っていると「すごいね」と言われることがありますが、雇用したからといって鍼灸師としてのランクは1ミリも上昇しません。


個人的には雇用して大正解


雇用せずに経営するという道もありました。スタッフが辞めていったとき「これでおしまい」と一人に戻ることもできました。選んだのは雇用し続ける道です。チームがなければできない仕事を知ってしまったからです。道は半ばです。これからチームの真価が問われます。

人間的にも雇用しなければ気づけないことがいっぱいあります。ダメダメな自分と向き合えるので心の成長のきっかけになります。

嫌な経験もしてきました。嘘をつかれたり、約束を破られたり、引き抜かれたり、突然いなくなったりと...。そのときはダメージがありますが、起きた意味を丁寧に考えていくと、これからすべきことが見えてきます。雇用を続けるという強い意志がある限りすべてが学びとなります。

雇用して収入が増えるかどうかは人それぞれでしょう。売上が順調でもパンデミックが起これば一瞬にしてマイナスに傾きます。小回りの利く個人の方が窮地をしのぎやすいと思います。昨年はたいへんでしたが、お金の勉強をするよいきっかけになりました。

雇用すべきかどうか。

正解は人それぞれです。タイミングもあると思います。ただ、一つだけ自信をもって言えるのは、雇用は孤独の解消にはならないということです。

つづく...


twitterもよろしくお願いします。
https://twitter.com/kuri_suke

・はりきゅう養気院(群馬県/伊勢崎市)
・はりきゅうルーム カポス(東京/品川駅)
・整動協会(鍼灸師のための臨床研究会)
後悔しない雇用(1)自分が病気や怪我をした時のために雇用すると失敗する理由
¸řłŤ:
ÍםÝ: 自分が病気や怪我をしたときに不安だからと理由で雇用してはいけない 一人で鍼灸院をやっていると「自分に何かあったら…」と思うと不安なので雇用して収入を安定させたいという話をあちこちで耳にします。私はこういう話を耳にするたびに、強烈な違和感を抱きます。 自ら...
後悔しない雇用(第1回)


自分が病気や怪我をしたときに不安だからと理由で雇用してはいけない


一人で鍼灸院をやっていると「自分に何かあったら…」と思うと不安なので雇用して収入を安定させたいという話をあちこちで耳にします。私はこういう話を耳にするたびに、強烈な違和感を抱きます。

自らの経験から断言できます。雇用しても経済的な不安は減りません。むしろ、不安材料は増えると思っていた方がよいです。

誤解しないでください。この記事は「雇用はやめた方がいい」と言うために書いているのではありません。「経済的な不安を解消するために雇用する」という考えで進むと失敗する可能性が高いことを、自らの経験から伝えたいのです。ストレートに言えば、雇用は経営者の不安解消の術にならないことを知ってほしいのです。


一人と二人では異業種


私は経営者としてまだまだですし、雇用してからの経験は7年しかありません。でも、これだけははっきり言えます。雇用する前と後では別世界です。鍼灸師を一人雇うだけでも、違う業種の仕事を始める覚悟が必要です。


彼の言う通りです。

どんなに想像力豊かでも雇ってみなければわからないことがあります。経験してきた者として厳しいことも書きますが、雇用で失敗して不幸になる鍼灸師が一人でも減るように、愛をもって自らの経験で得た教訓を惜しみなく出します。私のことが好きでも嫌いでも、将来雇用をお考えなら続きを読んでみてください。


スタッフに200%がんばってもらうつもり?


「一人で鍼灸院をやっていたら自分に何かあったら収入がゼロになるから鍼灸師を雇って大丈夫な状態にしておきたい」という考えは、一方通行な考え方です。

たとえば、一人雇って施術者が二人の鍼灸院になったとしましょう。そして、順調に患者さんが2倍になるという理想を想定してみます。この時の売上は2倍になっているわけですから、雇用したことでよかったなぁと思う状態です。

この順調な状態から、経営者が怪我をして施術ができなくなったと仮定します。一ヶ月くらいで復帰できれば問題は起こらないでしょう。しかし、半年以上お休みしなければならない怪我や病気だとしたら…。

お休みの間、雇っている鍼灸師(スタッフ)が100%がんばっても売上は半減ですよね。もし、今まで通りの売上にしなければならないとしたら200%の負担をスタッフに求めなければなりません。現実的に難しいです。負担の上乗せはせいぜい2割ではないでしょうか。そのスタッフのがんばりによって増えた売上を経営者がそのまま持って行くわけにはいきませんよね。

となれば、どのみち雇用しても自分がダメになれば売上は半減し、自分の取り分を確保することはできません。数人まとめて雇えば事情が変わりますが、その場合は固定費がいきなり数倍になりますし、スタッフを誰がまとめていくのか、という別の重い課題が降ってきます。むしろ経済的な不安もそれ以外の不安もケタ違いに増えてしまいます。


経営者に何かあって不安になるのはスタッフの方


経営者がある自分が施術できない状態になれば、自分が不安になるようにスタッフも不安になります。復帰の目処が立たなければ将来が不安になって、安心できるところを探すために退職するかもしれません。

責任感の強いスタッフであれば、「私ががんばっている間にゆっくり休んでください」となるかもしれません。だとしても、そこに頼るというのは違うと思いませんか。そもそも、スタッフは経営者の予期せぬ不幸に備えて働いているわけではないですよね。

ずばり言えば、経営者が体調を壊したらスタッフはやめていくでしょう。経済的な拠り所にしようと思って雇ったスタッフは、頼りたい時にはいないのです。


スタッフの不安を軽減するのが経営者の仕事


「何かあったら助けてもらえる」というのは、スタッフ側のメリットです。スタッフが病気や怪我をしても、経営者が穴埋めをできれば復帰を待つことができます。何かあってもすぐに職を失いません。雇用保険に入っていれば仕事ができなくなっても収入が途絶えません。

改めて書きますが、スタッフの存在は経営者の経済的な安心材料にはなりません。むしろ、スタッフの収入に責任を持つ立場になるわけですから、不安材料は増えると言った方がよいでしょう。


自分が不安なら保険に加入しよう


私は個人事業の時代から保険に加入しています。いわゆる生命保険やがん保険のことです。きっかけは息子が生まれたことです。自分に何かあったらこの子はどうなるんだろう...と思ったら心が不安でいっぱいになったからです。

現在は、個人と法人(経営する会社)で数種類の保険に入っています。私に何かあっても家族とスタッフの収入がプツっと切れないように備えています。

この記事は保険をすすめる目的ではないので、商品については書きませんし、質問されても答えません。経営者向けの保険は検索すればたくさん出てきます。

「病気や怪我が心配なら、雇用じゃなくて保険でしょ!」

と思うのです。雇用を不安解消の道具にしてはいけませんし、不安が増えることがあっても減ることはないと断言できます。不安材料が増えてもいいという覚悟がなければ雇用は諦めた方がよいとアドバイスします。

そもそもな話として「一人では不安なので雇用したい」という人の所で働きたい人はいるでしょうか。職場を探している人から見ても、経営者の不安が雇用の理由というのは的が外れていることがわかると思います。

次回は、孤独だからという理由で雇用するともっと孤独になるという話を書きます。
つづく…

twitterもよろしくお願いします。
https://twitter.com/kuri_suke

・はりきゅう養気院(群馬県/伊勢崎市)
・はりきゅうルーム カポス(東京/品川駅)
・整動協会(鍼灸師のための臨床研究会)
不安をつくらない技術
¸řłŤ:
ÍםÝ: 臨床にデビューできる条件 ある鍼灸師から「研修した鍼灸師をデビューさせる時の基準ってなんですか?」と聞かれたとき、 「患者さんを不安にさせないレベルに達したら臨床でデビューさせます」 と答えました。 私を知っている人ほど意外な表情を浮かべます。普段セミナ...
不安をつくらない技術


臨床にデビューできる条件


ある鍼灸師から「研修した鍼灸師をデビューさせる時の基準ってなんですか?」と聞かれたとき、

「患者さんを不安にさせないレベルに達したら臨床でデビューさせます」

と答えました。

私を知っている人ほど意外な表情を浮かべます。普段セミナーで技術指導をしているので、技術を基準にした判断をしていると思われている気がします。

もちろん、技術レベルは大切にしています。でも、どんなに知識が豊富であっても、ツボの位置が正確にわかったとしても、患者さんが不安を感じていたら、よい結果にはなりません。

患者さんは、「体をあずけても大丈夫だろうか?」と判断するとき、術者の話し方や態度を見ています。それは理屈で説明しにくいかもしれません。人間も動物の一種として危険性を直感的に瞬時に判断する能力が備わっていますから、そんな機能が私たち鍼灸師に対しても使われているはずです。

ですから、技術的以外の部分も臨床で重要視しています。ですが、こういう部分にセミナーでフォーカスすることは滅多にありません。臨床ではとても大切なことではありますが、指導するとなったら欠点を指摘しなければなりません。きっと楽しいセミナーではなくなってしまいます。


不安をつくらないから安心が生まれる


この記事のタイトルをみて、なぜ「安心をつくる技術」ではなく「不安をつくらない技術」なのだろうかと思った方かもしれません。この記事で一番伝えたいことをタイトルにこめてみました。

日頃から臨床(施術)は、自分を含め減点方式で評価しています。なぜなら、臨床で加点しようとする心理は欲を生むからです。臨床では欲が敵になります。患者さんに「よくなってほしい」という気持ちだけで十分で、それ以上の感情は欲になってしまいます。

それは「よい評価を得たい」という感情であり、患者さんの気持ちに寄り添えなくなっている状態です。

がんばることもよくありません。臨床には用意してあるものしか持ち込めません。本番で120%の力が出るわけではありませんし、運良く出てもまぐれですから再現できません。そもそも臨床には減点要素がたくさんあって100点を取るのが難しいです。

臨床はいかに減点されないようにするかを考えています。

一番大きな減点要素は鍼灸師の健康状態です。どの仕事もそうですが、健康でなければよい仕事はできません。精神も安定しません。鍼灸師が不安定であれば患者さんに不安が生まれます。

次に、鍼灸師の言動です。私たちの発する言葉やしぐさ、すべて患者さんに伝わっています。ささいなことに発した「あっ」という言葉が患者さんを不安にさせてしまうこともあるでしょう。私も自分が気が付いていないだけで、患者さんを不安にさせてしまう言動をしているはずです。


行かない理由をつくらないという経営


鍼灸の効果はテレビやSNSを通じて拡散されているので、患者さんが鍼灸院に行かない理由は「不安だから」だと考えています。不安が期待を上回ってしまえば、鍼灸院に行くことはありません。

鍼灸院に足を運ぶ方も不安がないわけではないでしょう。「勇気を振り絞って来ました」という方が少なくありません。そういう方に「安心ですよ」と伝えても、あまり意味がありません。安心は売り込むものではなく、患者さん自身の中で生まれる感情ですから。

不安は不安材料があるから生まれます。私たちにできることは、その不安材料を丁寧に取っていくことだけです。不安材料が見当たらなくなった状態が「安心」です。安心づくりを、ケーキにデコレーションしていく作業のように考えないようにしています。

私は経営者でもあるので、利用してくださる方が多いほど嬉しいです。経営者としても重視しているのが「不安をつくらない」ことです。不安材料を探して削るようにしています。技術や鍼灸師の人柄はプラス要素ですが、いくらそこを磨いても、不安を感じる鍼灸師であったり鍼灸院であれば患者さんが来てくれません。


不安をつくらない技術


私が特に意識しているのは、目と声と間(ま)の3つです。

①目)患者さんを真っ直ぐ見る


「目は口ほどに物を言う」ということわざがあるように、人は相手の目から多くの情報を読み取ることができます。技術的に向上しても、目が泳いでいれば「自信がないのかしら」と思われてしまいます。自信なさそうな鍼灸師に身をあずけたいと思う人はいません。

謙虚さは必要ですが影で必要な心構えであって、患者さんの前で出しすぎはよくないと思っています。「まだまだ未熟者なので…」という態度は患者さんを不安にさせてしまいます。どんなに技術を磨いても上には上がいるのが技術屋の世界です。最高は約束できません。

その時点におけるベストを尽くすしかないのですから「今ある技術を出し尽くします」というメッセージを患者さんに伝えるべきだと思います。患者さんの目をしっかり見ることで、その気持ちが伝わりやすくなります。

自信というのは「何でもできる」ことを根拠にするものではなく、「できること」の範囲を知ることで生まれる感覚だと考えています。つまり、「できること」と「できないこと」をしっかり区別できることが自信の根拠になるのです。


②声)はっきりと発声し即答する


私は滑舌がよくないので、発声に気をつけています。モゴモゴしたしゃべり方では伝わりにくく、伝わらないということは不安になります。時には即答が難しい質問をいただくことがあります。

答え方に迷って考え込んだりゴニョゴニョと話してしまうと患者さんに余計な不安を与えてしまいます。私は、難しい質問だと感じたら、体裁よく答えようとせず「難しい質問ですね」と即答してしまいます。必ずしも、どんな質問に対しても手を動かしながら答える必要はないと思っています。

難しい質問への対策として私が推奨するのは、「はっきりと発声する」というルールを自分の中につくっておくことです。はっきりした言い方しか許されないと決めておくことで、わからないときは「わからない」と答えるしかありません。または「難しい質問なので時間をください」と言うこともできます。

私の経験では、答えられないことがあっても、それが理由で患者さんは離れていきません。しかし、不安を感じたら離れていきます。

自信ができたらはっきりと発声するようになると考えていたら、それまでの患者さんはその様子を見て不安になり離れていってしまいます。自信がつくどころか、自信がどんどん落ちていきます。はっきりと発声することで患者さんは安心し、施術を継続的に受けてくれるようになります。そうなると結果が出る機会も増えて自信がつきます。


③間)適度な距離感


もっともセンスが問われるところかもしれません。「適度」としか表現できない距離感は、患者さんの性格にもよりますし、年齢によっても変わります。初回と2回目以降でも異なります。術者のキャラクターによっても異なります。総合的に判断してその時その時の距離感をつかむしかありません。

ここでいう距離感とは、患者さんとの物理的な距離だけでなく心理的な距離も含みます。近づきすぎて馴れ馴れしすぎたら「なにかあるのかしら」と不安になります。離れすぎていたら他人事のように扱っていると思われ「ちゃんと親身になって診てくれるのかしら」と不安になります。

考えてやることではないという意見もあるでしょう。できている人にとっては当たり前の感覚かもしれません。生まれ持ったセンスを否定できません。と言いつつも、普段から意識することで距離感は磨けるものと信じています。

日本語の「間」という言葉は本当に便利です。物理的な距離、心理的な距離、そしてタイミングまでを同時に含むからです。間を制する鍼灸師が臨床を制すると私は思っています。


twitterもよろしくお願いします。
https://twitter.com/kuri_suke

【よろしければ投票してください】
応援クリックありがとうございます(1日1クリック有効)。
ランキングサイトにエントリーしています。
  

ĽľĽ¤ĽČĆ⸥ş÷
žÉžőĄ˘ÉÂĚžĄ˘°ĺłŘÍѸě¤Ę¤É