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鍼灸師のツボ日記
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要旨 田舎の鍼灸師クリ助の臨床奮闘記 群馬と東京で鍼灸院を営む鍼灸師。ツボをこよなく愛し、鍼灸の魅力を語り始めると止まらない。
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達人の手の感触(札幌視覚支援学校講義録)
公開:
要旨: 去る5月21日、札幌の視覚支援学校にて講師を務めてきました。この学校は北海道立の学校です。公共の施設からお声をかけていただけたことに感激です。 以前に出版していた書籍『ツボがある本当の意味』やDVD『整動鍼』も、そのきっかけになっていたようです。出版してから数...
去る5月21日、札幌の視覚支援学校にて講師を務めてきました。この学校は北海道立の学校です。公共の施設からお声をかけていただけたことに感激です。

以前に出版していた書籍『ツボがある本当の意味』やDVD『整動鍼』も、そのきっかけになっていたようです。出版してから数年経ちますが、今でも縁を運んできてくれます。出してよかったなぁと改めて。



朝から講義があるので、前日に移動しました。土曜日は患者さんが多い日なので、できるだけ影響が出ないように午前中は限界まで受け入れることにしました。夕方の便に間に合うようにお昼を食べたらすぐに出発。



実は、この日の朝、札幌に住む妹からLINEが入っていて「義弟の痛風がひどいんだけど鍼灸って効くの?」と連絡が入っていました。「やってみないとわからないけど、痛みが和らぐ場合もあるよ」と答えておきました。

新千歳空港に迎えに来てくれた妹夫婦。ありがたい。

新千歳に降り立つのは3年ぶりくらいだろうか…。しばらく来ていませんでした。また、札幌で仕事ができる喜びを噛み締めていました。

妹宅に到着すると、義弟をソファーに寝かせ痛風で痛む場所の確認。腫れて足裏のシワがなくなっています。じっとしていても痛むほどで足をついて歩くことができません。

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そもそもですが、痛風は鍼灸で治るのかという話。治るかどうかに結論はないのですが、少なくとも痛みが和らぎ、腫れが引く可能性はあります。つまり、ラクにできる可能性は十分にあると言えます。もちろん鍼灸師の技術次第でもありますし、症状の程度にもよります。

施術を始める前から「痛風にも効くなんて鍼ってすごい!」みたいなことを言うので、「効くかどうかなんてやってみないとわからないから」と収めます。

治してやるなんて意気込んでも良いことはないのです。残念ながら気合で治るようなものではありません。ただ、どのツボにどれくらいの刺激をすれば状況が好転するのかだけを考えます。

施術前から痛みが増している状況で、施術中も痛みが軽減することはありませんでした。状況には逆らえないのです。経験上、刺激量を増やしても結果は変わりません。むしろ、負担をかけるだけです。時に身を任せることにして、妹宅をあとにしました。

翌朝。

あれからどうなったかなぁと気にしているうちに、視覚支援学校での講習となりました。気持ちを切り替えてやりますよー。

札幌資格支援学校での講習会(整動鍼)_2023年5月21日

新しいところは多少の緊張はありますが、それよりもワクワクが勝っています。臨床も楽しいけれど、仲間と技術を共有する瞬間も特別な味わいがあります。

参加者は20人超え。普段のセミナーより少し多いです。

受講者は、視覚障害者と晴眼者が混在していました。しかし、ルールとして視覚障害者に合わせて講習を進めていきます。もともと、私のことを知っていたという鍼灸師もいました。教職員の方がとてもフレンドリーでアウェー感が全くありません。雰囲気にすぐに馴染んでしまいました。

人体の連動から導く腰痛治療の最適解


今回のテーマは「人体の連動から導く腰痛治療の最適解」です。腰痛に対して腰周辺だけを診るのではなく、身体全体の連動を考えながらツボを選ぶと腰痛治療の幅が広がります。

本当にそうかどうか、みんなで受けて試してみようという試みです。何事も体験するのが理解への早道です。

参加者からデモ施術の患者役を集います。ぶっつけ本番。今回のデモはいつもと事情が違います。見えない受講者に伝わらなければ意味がありません。手を取って、手から手へと伝えていきます。

札幌視覚支援学校での整動鍼講義(手で伝えるツボの感触)


ここで衝撃が走ります。いつも感じている人の手とは明らかに違うのです。その場では口に出しませんでしたが感動していました。手も触れ方もやわらかいのです。特に、触れ始めのタッチ感が理想的でした。

目標とする手がそこにあったのです!

講師をしていると受講者さんから学ぶことが多いです。今回も貴重なものを学ぶことができました。向上心が刺激され、もっと上手くなりたいと思いました。

札幌視覚支援学校にて整動鍼のデモ施術


お昼を挟んでの4時間、あっという間でした。
手もやさしかったけど、人もやさしかった。みんなありがとう。また呼んでね。

地下鉄に乗ってLINEを開くと妹から通知が来ていました。

痛風の鍼治療のあとの報告


こんなに感謝してもらえる。鍼灸師という仕事がいっそう好きになりました。
ツボと向き合うということは、誰かの人生に関わるということなんです。ツボという小さな入り口から入るとそこには大きな世界が広がっています。私が知っているのは、この世界のほんの一部。

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はりきゅう養気院(群馬県/伊勢崎市)
はりきゅうルーム カポス(東京/品川)
整動協会(鍼灸師のための臨床研究会)
イスラエル医師団、日本の鍼治療を学ぶ
公開:
要旨: 決死のオール英語セミナー イスラエル医師団への講習は本当にすばらしい体験でした。当日の様子は、養気院スタッフブログと整動協会ブログにもあるので、このブログでは私の心境を書いていこうと思います。 この仕事は、2つの初めてが重なりました。ひとつめは英語での講習...

決死のオール英語セミナー


イスラエル医師団への講習は本当にすばらしい体験でした。当日の様子は、養気院スタッフブログ整動協会ブログにもあるので、このブログでは私の心境を書いていこうと思います。

この仕事は、2つの初めてが重なりました。ひとつめは英語での講習です。通訳がつきません。ふたつめは医師への講習です。受講者の中に医師が混じっていることはあったのですが、医師のみの受講者は初でした。

失敗しても仕方ないという覚悟で挑みました。

無責任に聞こえるかもしれませんが、この条件を気軽に引き受けられるところもないだろうと思って引き受けることにしたのです。とはいえ、スタッフを信頼しているからこそできた決断です。

私の会社は小さな鍼灸院を2つ経営しているだけの小さな会社ですが、大きな特徴があります。それはセミナー業を生業としていることです。鍼治療と活法(かっぽう)という整体術の一種をプロ向けに教えています。施術室で患者さんを施術する臨床家であると同時に、プロのセミナー集団です。事業化したのが2009年ですから、もう14年くらい経ちます。

カリキュラムを考えたり、必要な資料を準備するノウハウが蓄積できています。また、会場の雰囲気づくりなどのアイデアも持ち合わせています。もちろん私一人の力ではなく、チームで育ててきた力です。




見られて上手になる


話が脱線しますが、教えるということはライバルに手の内を明かすことですからリスクが伴います。でも、そのリスクよりも得られることの方が多いのです。「どう見られているか」を強く意識しますし、なんとなくやっていることを減らすようになります。施術の根拠をすべて説明できる状況に限りなく近づいていきます。

こうした状況が当たり前になっているので、患者さんに提供する施術もわかりやすいものになっていきます。セミナー事業での経験がそのまま臨床に役立っているのです。



語学力が集結した鍼灸師チーム


というわけで、技術の言語化に長けたメンバーが豊富な我がチームです。これに加えて語学力に長けているのが自慢です。英語ができるスタッフが二人。中国語のプロ講師が一人。そして、なんとアラビア語まで!

この他に英検準2級を持つスタッフがいることが最近判明し、バイトに来ている鍼灸学生は大学でスペイン語を専攻。やばいと思うくらいの人材なのです。そんなチームを、外国語ができない私が率いているのですから、すごいと思いませんか。

という状況なので、英語で講習してと言われたときに断る理由が見つからないのです。必要なのは覚悟と勇気だけです。

ちなみに、イスラエルの母国語はヘブライ語です。英語は第二言語でバイリンガルも多いとのこと。あー、バイリンガルと聞いただけで劣等感に包まれます。バイリンガルってどんな感覚で生きているんだろう…。


イスラエル医師団の鍼治療講習(整動協会)
(写真:セミナーの会場前で待機する私たち)


当日がやってきました。会場はいつもと違って渋谷です。駅直結のマークシティ、オフィス棟の14Fにある会議室です。アウェーでは緊張感が倍増します。普段は味わえないこの空気。



英語でプレゼンスタート


定員20名でゆったりできるくらいのスペースです。オシャレでキレイ。
ここにイスラエルの医師の方々が入ってきます。ドキドキ…。

イスラエル医師団の鍼治療講習のセミナー会場(整動協会)

年齢層が高めです。聞くところによると、イスラエルでは地位の高い医師とのことです。専門分野もさまざまです。この視察では鍼灸だけでなく、他の医療も視察しているので、特に鍼灸に興味がある医師が集まってきたわけではないのです。

興味をもってもらえるだろうか…。

注力すべきは目を引きつけること。全力で挑む予定です。

最初は、私の講義。英語で準備していたスライドを見せながら、これまた準備していた原稿を読み上げます。これまでのセミナーでは原稿を読むことはなかったのですが、今回は仕方ありません。アドリブで…英語…生まれ変わらないと無理です。

イスラエル医師団の鍼治療講習_プレゼン(整動協会)

不本意すぎる英語でのプレゼンが続きます。
変な汗をかいているし、たいくつそうにしているし、英語うまく発音できていないし…。


デモンストレーションに逃げる


ということで、原稿の一部を思いっきり吹き飛ばして、早めにデモンストレーションに移ることにしました。もともと短めに考えていた座学は予定より5分早めに切り上げて、15分で終わりにしました。次はもっと上手にやってやる!

英語が得意な二人に任せるという手もあったのですが、その二人にはこれからデモのサポートという大役が待っているので、がんばっちゃったわけです。それに恥をかく見本を若手に見せておくことも大切ですから。

イスラエル医師団の鍼治療講習のデモンストレーション風景(整動協会)

デモの時間になったら、面白いように普通に息ができるようになりました。普段どおりのことをやればいいという安心感。隔週ペースで同業の鍼灸師にデモンストレーションをしているので、その経験はこういうときに生かされます。全く緊張していない。

代わりに緊張し始めたのが、通訳のために連れてきた二人です。ご存知のとおり、英語ができるからといって通訳できるわけではありません。話したことを瞬時に英語にするのは難しいことです。

日本語に逃げる


私は日本語に切り替えました。イスラエルの医師とつなげられるのは彼らしかいません。そりゃ緊張もするでしょう。

私たちが講習に失敗すれば、日本の鍼灸への期待はしぼんでしまいます。けっして大げさではなく、日本の鍼灸業界を代表するつもりで、全員がこの講習に備えていました。

実は、難しい質問にも答えられるように、最初にスマホから専用チャットに入って質問できるように準備をしていたのですが、そのチャットを使う人は誰一人いませんでした。

悪く言えば、面倒だったんだと思いますが、よく言えば、使わなくても何とか通じると思われたんだと思います。ここは、我々の士気が下がらないようにあえて後者を採用します。

イスラエル医師団に英語でレクチャーする(整動協会)


ツボは世界共通言語!?


日本人以外の方に鍼をしていると「ツボは人種が違っても同じですか?」と聞かれることがあります。結論からいうと同じです。体格や筋肉の付き方など、もちろん日本人と比べて違うと思うところはありますが、日本人と同じようにツボによる変化が見られます。

だから私は思うのです、ツボは世界共通言語なんだと。特に私にとっては大事です。共通言語であるツボがなかったら、スペインで講師をし続けることはできませんでしたから。誰に使っても想定した反応が得られるというのは、言葉が通じる安心感に似ています。

人種ごとにツボが違っていたら不安で仕方ありません。正確なツボ取りは正確な発音みたいなイメージです。正確であればあるほど伝わりやすく反応が得られます。

文法と単語をしっかり記憶していても、伝えたいことを発音できなければ会話ができません。同様に、鍼治療においても理論やツボばかり記憶しても患者さんとコミュニケーションが取れません。

精度の高いツボを使うと伝わります。

鍼灸治療をコミュニケーションと捉えると、どんな勉強をして、どんな能力を身につければ臨床に役立つのかイメージをつくりやすいと思います。

イスラエル医師団の鍼治療講習の一幕(整動協会)


鍼の細さに驚く


この講習では鍼は細くても効果があることを示すことを使命として勝手に決めていました。日本の鍼の特徴を一言で表すなら細さです。注射と比較してどれくらい細いのかをプレゼンしたあと、実際に鍼施術を受けていただきました。

ある方が鍼を抜いたあと、その点をすかさず指で圧迫しました。一瞬「なんで?」と思いましたが、すぐにわかりました。注射をしたあとの慣例的な所作です。つまり、出血を抑えるための圧迫です。

日本の鍼では、出血することは少なく、出血したとしても微量ですぐに止まります。ですから、しばらく圧迫しておく必要がありません。私のような鍼灸師にとっては日常ですが、注射と接することが多い医師にとっては、血が出ないことだけでも意外だったようです。

細いことだけ伝えても、効果を感じられなければ意味がありません。できるだけ、痛みや違和感をお持ちの方にデモ施術をするように心がけました。こういうのは一発勝負なので、再現性が高いものを行わないと、評価が下がってしまいます。「日本人の鍼は効かない」という評価は何としても避けなければなりません。

臨床とデモンストレーションでは、少し事情が異なります。臨床では患者さんご本人だけわかれば問題ありませんが、デモンストレーションでは、ギャラリーにも伝わるような施術が必要です。

イスラエル医師団の鍼治療講習の一幕(整動協会)


ヘブライ語が飛び交う


デモンストレーションの鍼を行うと、途端にヘブライ語が飛び交います。一瞬にして置いて行かれてしまいます。飛び交うヘブライ語の内容が気になって仕方ありません。
落ち着いた後、「さっきと比べていかがですか?」と尋ねました。「さっきよりいいよ」という答えを聞いて、講師陣はホッとします。そんなやりとりが何度も繰り返すうちにだんだん場の空気がよい意味で緩んできます。

質問がいろんな方向からやってきます。

「鍼の深さは?」
「効果を出すのに重要なのは?」
「内臓にも効くの?」
「精神疾患にも効くの?」
「手術した指なんだけど...」

こんなに質問を浴びるとは思っていませんでした。もし我々がヘブライ語がペラペラなら、すごいことになったんじゃないだろうかと皮算用が始まります。ヘブライ語は無理としても英語力を上げれば世界中に日本の鍼治療の魅力を届けることができるのです。

改めてそう感じた私は大興奮です。

イスラエル医師団の鍼治療講習の一幕(整動協会)


この疲労は癖になる


この日、みんなくたくたになったと思います。そうでもなかったのは、新人の吉岡くんくらいでしょう。カメラマンという役割があったにせよ、ずっとニコニコして足取りも軽かったです。自らお手伝いを志願しただけあって、今回の講習に興味津々でした。私たちの姿を見てあこがれを抱いてくれたようです。

イスラエル医師団の鍼治療講習の集合写真(整動協会)

帰りの電車は疲れているのに眠れませんでした。脳が興奮していたんでしょうね。その晩の眠りも浅かったように思います。普段使わない脳が働いたってことでしょう。この疲労は癖になりそうです。

来月は、スペインのバルセロナです!

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開業20周年の今日、これからの鍼灸師に伝えたいこと
公開:
要旨: 開業20周年 おかげさまで、本日4月13日に開業20周年を迎えることができました。最初、開業して食べていけなかったら、バイトをしながら食いつないでいこうと思っていたので、この20年目を迎えられることに何とも言えない気持ちです。嬉しいというか、ホッとしたというか。 ...
養気院 開業20周年に送られてきた胡蝶蘭


開業20周年


おかげさまで、本日4月13日に開業20周年を迎えることができました。最初、開業して食べていけなかったら、バイトをしながら食いつないでいこうと思っていたので、この20年目を迎えられることに何とも言えない気持ちです。嬉しいというか、ホッとしたというか。

開業したばかりの頃は、長男も小さかったので、スタッフルームに連れてきて妻が世話をしながら仕事をしていました。鍼灸師ではない妻は、受付や事務作業などの業務を担当していました。時々、長男が泣き出すと、患者さんは「あれ?赤ちゃん?」と不思議そうにされていました。

当時を知る患者さんが来院すると「小さい子がいましたよね」と当時の通院の話になることがあります。おかげさまで、そんな長男は高校に通うまでになりました。


子育て経営


ある意味で、鍼灸院経営は子育てと同じようなところがあります。その時期によって必要なことが変わるし、時代によって常識も変化します。東大生のお母さんの子育て術が当てはまるとは限らないように、成功者のやり方をそのまま真似しても上手くいくとは限りません。

人も鍼灸院も思い通りにはいきません。人それぞれ歩みたい人生があるように、鍼灸院にも歩みたい道があるように思います。鍼灸院の経営者で所有者ではあるとはいえ、患者さんが通う施設です。血が通っている生き物のように思います。

そう思うと、鍼灸院経営はコントロールしようと思うより、鍼灸院の声を聞きながら進みたい方に手助けしてあげる方がよいと思うようになりました。

うちのような零細企業に、一般的な企業経営を持ち込む必要はないと思っています。ましてや、背伸びしてアメリカのGAFAMを真似する必要なんてありません。というよりも、いくら背伸びをしても届かないわけで…。私が見るべきは別にあると思うのです。


売上よりも大切なこと


小さな鍼灸院を育てながら自分も一緒に成長できれば十分と考えています。ですから、会社の規模を大きくしようとは思っていません。現在、20年前に始めた群馬の養気院と、9年前に始めたカポスの2院があります。この2院を9名で営んでいます。

私にとって、ちょうどいいサイズは大きくないと思います。安定して心地よいサイズは、今より少しだけ大きなチームかもしれません。
これは、あくまでも私の場合ですので、大きな会社と大きな売上を目指す鍼灸師がいてもよいと思います。鍼灸を産業といえるほどに押し上げる鍼灸師も必要だと思います。

という事情があるので、現在はスタッフの募集を積極的に行っていません。一緒に働きたい人が現れたらチームに迎え入れようと思います。不思議なことに、うちで社会人をスタートさせるスタッフがいるいっぽう、もともと別の鍼灸院を経営していた者もいます。

私自身も含めて、スタッフが才能を活かせる場であれば、それで十分です。

ですから、売上を年々伸ばしていくという目標はありません。チームの人数に応じた売上があればよいと思います。現在の売上が十分ではないときは売上を伸ばす努力をします。スタッフに貧乏をさせたくはありませんから。


環境が人を育てる


以前は熱心にやっていた社員教育ですが、今はやっていません。我が子が勝手に大きくなったように、私が育てようと思わなくても、スタッフは勝手に育つと思うようになったからです。経営者として私が取り組んでいるのは環境づくりです。

自分で用意しようと思ったら大金がかかる環境をあらかじめ用意しておくことが経営者としての責務であると考えています。この環境はスタッフだけでなく私の成長も促してくれます。私もスタッフと一緒に仕事をしながら、また練習に付き合いながら多くの気づきを得ています。

ただ、一口に環境と言っても合う合わないがあると思います。うちが用意した環境がベストとは限りません。合った環境が別にあると思います。雇用を始めてから10年近く経つので、退職者もたくさんいます。どうしても合わない人はいます。水が合わないのは誰のせいでもありません。

私の雇用に対する意思もだいぶ変わり、以前は「栗原さんの技術を学びたいです」と学習意欲をアピールするのが上手な人を採用していました。面白いことに、例外なく3年で退職していきました。

採用する側もされる側も「研修」に重心が偏りすぎていたのです。基本は働く場です。そんな簡単なことを見落としていたことに気がついた私は、採用の方針をガラリと変えました。

アピールする学習意欲は完全にスルーして「ここで一緒に働きたいです」と職場としての環境に魅力を感じている人を採用するようにしました。すべての採用がうまくいったとは言えませんが、少しずつ噛み合ってきているように思います。

この20年は試行錯誤の連続でした。この鍼灸院の経営者という立場が私を育ててくれました。これからもそうだと思います。


これからの鍼灸師に伝えたいこと


私とは時代も違うし環境も違います。だから、私は見本になれません。私にできることがあるとすれば「試行錯誤を続けていれば何かしら見つかる」と伝えることくらいです。

このブログははじめてから18年以上経っていますが、ここに記されているのは、成功法則でもなんでもなく試行錯誤です。

ブログを始めた頃、18年後の今日を想像できていませんでした。それどころか、いつまで鍼灸師を続けていられるかくらいの感覚でした。

鍼灸で食べていける人は一握り。やめてしまう人が多いのが現実です。免許をとった人が全員食べていけるようになったらいいとは思っていません。向いていない人は向いていません。

向いているか向いていないかを判断する前に「本当にやるだけのことはやったのか」と問いかけてほしいのです。運よく成長できる環境を手に入れられる人はごくわずかです。たいていは、自分で環境を取りに行かなければなりません。待っていてもやってきません。

動けば失敗もするでしょう。というより、必ず何か失敗します。そういうものだと思って行動するしかないのです。もちろん、患者さんに迷惑をかけたり、鍼灸の信用を落とすような行為はNGなのですが、就職活動や企画の失敗は、相手に謝ればなんとかなります。誤ってなんとかなる失敗はしておいた方がよいです。

続けてさえいれば、自分なりの何かが見つかるかもしれません。とはいえ、誰もがそうであるとは限りません。あきらめて別の業種に移ることも勇気です。

とりあえず、試行錯誤をしてみなければ何にもわかりません。本当の面白さも試行錯誤の向こうにあります。


一人では何にもできない


ここまでの話、私の努力みたいな書き方になってしまったかもしれませんが、私一人ではどうにもなりませんでした。家族の支えがあって今があります。鍼灸師の仲間や業者の方々にも支えられています。

私の知らないところで味方をしてくれた人もいるはずです。今でも、私の至らぬ点をいろんな人がカバーしてくれています。感謝しきれません。

鍼灸師人生も折り返しに入っています。これまで支えられてばかりでしたが、これからは支える側になっていかないといけないと思います。

鍼灸師をいつまで続けるかわかりませんが、海外に日本の鍼灸を伝えていくという目標があるので、しばらくはやめないと思います。

開業20周年の前日に養気院のスタッフで



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ニュージーランド旅行記(4)ワイトモ鍾乳洞
公開:
要旨: (3)のつづきです。 最終日です。 この日は、あらかじめ用意していた観光です。クルマを2時間半ほど走らせて向かいます。クルマがないので、あらかじめツアーガイドをお願いしていました。 朝食を済ませてツアーガイドと合流しました。完全なプライベートツアーで、ガイ...
)のつづきです。

最終日です。
この日は、あらかじめ用意していた観光です。クルマを2時間半ほど走らせて向かいます。クルマがないので、あらかじめツアーガイドをお願いしていました。

朝食を済ませてツアーガイドと合流しました。完全なプライベートツアーで、ガイドのクルマに乗っていきます。日本人なので安心。日本語が通じるという意味で。

行き先はWaitomo Glowworm Caves(ワイトモ鍾乳洞)。ラピュタの飛行石洞窟のモデルになったと噂されているところです。ウミホタルが幻想的な光を放っているところです。

移動距離はこんな感じです。イメージ的には東京から軽井沢に向かうのに近いと思います。


オークランド市街地からワイトモ鍾乳洞へ


前日はぱっとしない天気でしたが、この日は快晴。完璧なドライブ日和となりました。道中の景色が最高すぎてテンションが上がりまくりです。


ニュージーランドの景色


都心部と住宅街を抜け、無料の高速道路に乗ったらずっとこんな景色が続くのです最高すぎです。NZの緑はホントきれい。見ていると疲れが抜けていきます。iPhoneのカメラで撮影した加工なしの写真です。

2時間半の道のりでは、ガイドの男性と話が盛り上がり、あっという間でした。日本での職歴やNZでのお仕事など教えていただきました。やっぱりコロナ禍のときはたいへんだったようです。本格的に観光業が再開しようとしていますが、人材不足が深刻だそうです。


ワイトモ鍾乳洞の駐車場


到着しました!
駐車場がだいぶ坂になっていて、いきなりアウトドア間満載です。


ワイトモ鍾乳洞の軽食屋さん


鍾乳洞のツアーまで、カフェみたいなところで時間をつぶします。予定より早く着いたので、1時間ほどあります。


テキヤキヌードル


テリヤキヌードルという、見た目が焼きそばそっくりの品があったので注文してみました。一口でわかる甘い味。この形状に甘さを求めていないので、脳が混乱します。不味くはありませんが、微妙なところです。


Waitomo Walkway


時間をつぶしきれなかったので遊歩道に。期待していたのですが3分で終わってしまいました。道なき道を進むのは危ないので引き返してきました。


Waitomo Walkway


こういう雰囲気好きいいですよね。ガイドから聞いて驚いたのですが、NZにはヘビがいないんですね。クマもいないとのこと。知ってます?

ワイトモ洞窟でツアーの開始を待つ



めっちゃ歩いているはずなのに、70過ぎの母の脚はしっかりしています。鍼を持っていったのですが、出番がありませんでした。なんだか日本にいるときより若い。


ワイトモ鍾乳洞ツアーのポスター


ツアーのポスターです。
これから、ラピュタの洞窟でポムじいさんに会ってきます。その様子を写真をお届けしたいのですが、撮影禁止エリア。

特別な体験でした。ウミホタルが放つ光は、まさに飛行石。ラピュタの世界観を堪能し、ポムじいさんが見えた気がしました。


ワイトモ鍾乳洞のツアーを終えて


撮影がOKになったのは出口付近。様子が気になる方は、National Geographicにキレイな映像があったのでご覧ください。芸術的に仕上がっています。。

ウミホタルというのは、生物学上甲殻類に分類される生き物で、その大きさは3~4mmほどと肉眼で確認できるサイズだそうです。不思議な生き物。

NZ、最高です。


ニュージーランドの景色


もちろん、帰りも景色を楽しむことを忘れません。どんどん疲れが抜けていきます。

ガイドとお別れの時間が近づいたので「美味しいお店ないですか?」と訪ねたら、迷わず返って来たのがこのお店でした。THE OCCIDENTAL。牡蠣料理が安く食べられるということで有名だそうです。
予約がなくても大丈夫かもということで行ってみたのですが満席。

THE OCCIDENTAL



時間をズラして行ってみても満席…。他の店には空席があるのに、この店だけ異様な混み具合。噂はホンモノです。店員さんにどれくらい待つか聞いてみたら、「たぶん、とてもとても長いよ」と言われたので諦めることにしました。


ニュージーランドのオークランドの港にて


港に足を伸ばしたら建物がライトアップされていました。


オークランドの港に停泊していた豪華客船


豪華客船も停泊中。


トルコ人のやっているファストフード店


帰り道、トルコ人らしき人がやっているお店が目に入り、ここで夕食を購入することに。絶えずお客さんが入っていたので、ちょっと期待してみました。テイクアウト専門店なので二人分を購入して宿に戻りました。


IMG_5993


このチキンバーガーが激ウマ!
もうちょっと買っておけばよかった。

--

こうして4日間の短い旅が終わりました。あとは、無事に日本に戻るだけ。

翌朝は5時半に起きました。6時半から始まる朝食バイキングで朝食を済ませ、7時にはホテルを出発しました。来たときと同じ、SKYDRIVEに乗って空港に向かいます。今回はあらかじめネットでチケットを購入していたので、ドライバーに名前を言ったらすぐに乗せてくれました。

気合を入れてスマホに購入証明のQRコード用意しておいたのに…いらんのかい?


SKYDRIVE(オークランド)


もちろん2階席へ。景色を楽しみながら残りの時間を楽しみました。


発着便の電光掲示板


あ、日本語だ。


--


帰国後、母から手紙をもらいました。感謝の気持ちが綴られていました。一週間にも満たない旅ではありましたが、こんなに長く母の近くにいたのは、記憶にありません。母と二人で旅行にでかけるのは、気恥ずかしかったのですが、連れて出して本当によかったと思います。

鍼灸師になることに反対していた母。今思うと反対というよりも、「鍼灸で食べていけるはずがない」と強く反対していた父との関係が壊れることを心配して、そういう立場を取らざるを得なかったように思います。

10代の私は何が何でも鍼灸師になろうとしていましたし、とにかく鍼灸の道に進めるのなら失うものがあっても仕方ないくらいに考えていました。強情だったので父との関係はよくありませんでした。

父は私が開業してからまもなく他界しました。一緒にNZに連れて行けなかったのは残念です。

今回のNZ旅行は、私のわがままを許してくれた母への感謝の意味が大きいです。けっして一人ではここまでになれませんでした。家族の支えがあって今の私があります。まだ生意気な口を利けるほどの身分ではありませんが、今できる範囲を示すことはできたと思います。

感謝といえば、妻のことも忘れてはいません。今度は妻と二人でどこかに行きたいと思います。二人で旅行したのは2010年のイタリアが最後です。

ブログに記録を残しておいてよかったと思います。今回の旅の記録も10年後は違った角度から読み返せると思います。鍼灸とは関係のない記事を最後まで読んでくださりありがとうございます。


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はりきゅう養気院(群馬県/伊勢崎市)
はりきゅうルーム カポス(東京/品川)
整動協会(鍼灸師のための臨床研究会)
ニュージーランド旅行記(3)オークランド2日目
公開:
要旨: (2)のつづき ニュージーランド滞在の3日目となりました。 ここから読む方のために書いておくと先月(3月)の話です。 撮影した写真を振り返りながら書きます。 実は、この日オークランドでお仕事をされている日本人とお会いする予定があったのですが、事情があって流...
)のつづき

ニュージーランド滞在の3日目となりました。

ここから読む方のために書いておくと先月(3月)の話です。
撮影した写真を振り返りながら書きます。

実は、この日オークランドでお仕事をされている日本人とお会いする予定があったのですが、事情があって流れてしまいました。丸一日時間ができてしまいました。

今日は予定なし。どうしよう…


生搾りオレンジジュース


とりあえず、ホテルの朝食。あった、オレンジジュース!
元気が出てきました。

海外で丸一日予定がないなんて初めてのことです。予定が変わってしまったのは残念ですが、時間をプレゼントされたと思って前向きに。

MacBookで検索。気がついたら「オークランド 観光」などとベタな言葉を入力していました。博物館や美術館を母に提案しても反応が悪いので、「羊を観に行こう」と提案したら身を乗り出してきました。決まりです。

学生のときに羊を見たのは南島だったので、北島にあるオークランドでは無理かと思っていたらスポットを一つ見つけました。One tree Hill(ワンツリーヒル)というところです。

バスで行けそうです。

ただ、ここで難関が迫ってきました。オークランドの市街を走るバスは現金を扱っていないのです。コロナ対策として全面的に廃止してしまったようです。クレジットカードで切符を買うこともできません。乗車するには、日本で言うところのSuicaやPASMOのようなプリペイドカードを事前に用意しておく必要があります。AT HOPというらしいです。

どこで売っているんだ?

検索したら、海岸沿いを散歩した際に見かけた駅、Britmart station(ブリトマート駅)で売っていることがわかりました。駅には見えない。


ブリトマート駅(オークランド)


構内の窓口で「AT HOPはここで買えますか?」と聞いたら、すぐに用意してくれました。最初にチャージが必要なので、とりあえず10NZドルチャージ。母と二人で20NZドル。カードそのものが10NZドル。

AT HOP(オークランド)


知らなかったのですが、英語ではチャージすることを「Top up」と言います。「Charge」かと思ってた~。こうした違いに気がけるのも旅の面白さ。普段の当たり前がどっかに行ってしまう感覚、久しぶり。

ワンツリーヒルで羊を眺めながら1日過ごせるとは思えませんが、時間が読めないので他の予定は入れないことにしました。行きあたりばったりでもいいかなと。

AT HOPのアプリがあるのでスマホに入れてみました。こんなふうに経路が表示されます。スクショはないのですが、GPSで位置情報を拾って車のナビと同じように現在位置を地図上に示してくれるので、観光客の私たちにはわかりやすかったです。

ちなみに、日本のように停車駅のアナウンスはありません。されたとしても、わからないです…


AT HOP スマホアプリ


地元の人に混じってバスに乗る楽しさを味わえます。十分スリルがあるアトラクションです。

バスはこんな感じ。2階席があるんですよ。もちろん2階席へ。母と意見がぴったり。旅を通じて、性格がけっこう似ているんだと気がつきました。まさかの母似。

オークランド市バス


乗るときのピッは Tag on(タグオン) で、降りるときにピッはTag off(タグオフ)。言い方は国や地域によって違うらしく、調べたら次のパターンがあるようです。

 ①Tag on, Tag off
 ②Touch on, Touch off
 ③Tap on, Tap off


オークランド市バスのタッチボード(Tag off)


ちなみに、ここまで現金が必要な状況は一度もありませんでした。この旅を通じて最後までなかったです。むしろ、このバスのように現金が使えないことに注意が必要でした。


オークランド市バスの車内


話がそれてしまうのですが、車椅子のマークが着いた優先席での光景。帰り道のことですが、20代くらいの男性と70代くらいの女性が同時に乗り込んできました。

普通席が埋まりかけていたので、男性が優先席の座面を下げて腰掛けました。そのすぐ後にやってきた女性が座ろうとしたら、スッと手を出して椅子を下げてサポートしていました。自然な所作だったので、知り合いかなぁと思ったらそうではありませんでした。その紳士っぷりに酔わせてもらいました。

しばらくして松葉杖をついた20代くらいの男性が乗ってきました。すると間髪入れず、ドライバーが「その席空けてね!」と大きな声で、ちょっと怒っているような口調で言い放つと、紳士な男性はさっと席を譲りました。

たぶん怒っているわけではなく、単に「その席が必要な人が来たよ」と知らせただけなんだと思います。空いているものは遠慮なく使い、譲るべきときにはすぐに動いた青年の行動が印象に強く残りました。



行きの話に戻ります。うっかりして、予定していたバス停を1つ通り過ぎてしまいました。そうしたら、たまたま中医学の大学がありました。鍼と漢方薬を教えるところのようです。

New Zealand College of Chinese medicine


運営しているのは中国人だと思います。「中医学」というのは、大きく2つの意味があり、広義では東洋起源の伝統医学のことで、狭義では中国が国策でまとめた学術体系で近代のものです。

いずれにしても、中国が世界のいたるところで鍼灸や漢方薬の標準化を先導しています。日本の鍼灸師という立場としては、日本にも優れた技術がたくさんあるので、その価値を世界に伝えていけたらと思います。

Mazda3(Jananese car) in NZ


ちなみに、クルマは日本車が一番多かったです。


オークランド住宅街の道路


観光客が一人もいない住宅街を歩いて、ワンツリーヒルに向かいます。最寄りのバス停からも数キロの距離があります。


オークランドの高級住宅街


気がつけば高級住宅街に。こんなところがオークランドの市街地から20分くらい走るとあるわけですよ。一軒一軒の広さ、わかります? 本当に広い。しかも、どのお宅も平屋です。

単純に日本と比較はできません。日本と人口が違いすぎます。NZの国土は日本の3/4であまり変わりません。ですが、人口は約500万人で福岡県と同じくらいなんです。

つまり、誰もいない日本列島に福岡県民が散らばったくらいの人口密度です。街が清潔で治安もいいのだから、住みたくなる人の気持ちがよくわかります。

実は、この高級住宅街の行き止まりがワンツリーヒルです。ここを数百メートル進むと、こんな景色です!


ワンツリーヒルの牛


見てください。このスゴさをいろんな人に伝えたくなります。都心から30分で来れちゃうわけですよ。逆に、のどかなところから30分で都会に出られちゃうわけです。


ワンツリーヒル(オークランド)


人がいない瞬間を狙って撮ったわけではなく、ずっとこんな感じで、いつ撮っても母しか写りこみません。


ワンツリーヒルの記念碑の前で


寂しいくらい人がいません。入場料もありません。タダでこの借り切り状態。


ワンツリーヒル


こういう景色を、勝手に「THE NZ」だと思っています。公園の中に国があるような美しさがあります。ただ、もう一つの「THE NZ」の羊に会うことができませんでした。遠目から数頭目にしただけで戯れることはできなかったのです…。仕方ないけれど、十分にNZを味わえているのでお腹いっぱいです。


ワンツリーヒルに喫茶店


ゆっくり散歩していたら14時を過ぎたので、この喫茶店で食事をとることにしました。お店で注文するときにも思ったのですが、おだやかな人が多いと思います。こんなところにいたら、そうなるか。


ワンツリーヒルの変な木


道中、わけのわからない木があったので記念に撮ってみました。


オークランドの交差点になる歩行者専用の信号ボタン


公園を出てバス停に向かいます。2kmくらい歩いたかもしれません。地元の人しかいない住宅街を散歩するだけで十分に観光になります。

母の万歩計は2万歩を超えています。オークランド市街に戻り、美術館を訪ねてみたら、16時を過ぎていて17時の閉館まで残り少なかったのであきらめました。


オークランドの変な木


やっぱり変な木が多い。

歩き疲れた二人は、飲食店を探すのが面倒くさくなってしまい、港近くの商業ビル中に。そのフードコートでラーメンを注文しました。日本円にすると1,200円くらいだったかな。


オークランドのだるまラーメン


日本のラーメンに味はそっくりです。あとは、値段と量とチャーシューの厚みの問題だけです。その辺は、個人個人の事情によると思います。

腹を満たしたところで、本日の旅は終わりです。明日は最終日です。景色がスゴかった。

つづく…(


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ニュージーランド旅行記(2)オークランド1日目
公開:
要旨: (1)のつづき ニュージーランド(以下NZ)2日目は、ネルソンからオークランドに移動です。前回の記事で空港でブランチのサンドイッチを食べたところまで書きました。 ここネルソンから再び飛行機に乗って移動です。1日でネルソンを発ってしまうのは寂しいのですが、ネ...
)のつづき

ニュージーランド(以下NZ)2日目は、ネルソンからオークランドに移動です。前回の記事で空港でブランチのサンドイッチを食べたところまで書きました。

ここネルソンから再び飛行機に乗って移動です。1日でネルソンを発ってしまうのは寂しいのですが、ネルソンの周辺を観光するにはクルマがないと不便そうなので、こうしたスケジュールにしました。

実際、タクシーで移動する手段がなく、Uberも普及していませんでした。日本やイギリスと同じ右ハンドルなので、レンタカーを借りてクルマの旅も悪くありません。NZの旅をより満喫することができそうです。もうちょっと長い休み(せめて2週間くらい)が取れたら、挑戦してみようと思います。

帰国して調べてみたら、日本の自動車運転免許があれば、NZで運転するまでの手続きはそんなに大変ではなさそうです。在オークランド日本総領事館に詳しい情報がありました。実は、NZの最終日はクルマで旅をしました。詳しくはそのときに。


ニュージーランド(国内線) ネルソン


雨が降る中、来たときと同じ飛行機に乗り込みます。やっぱり手荷物検査がありません。バスに乗り込むようなノリです。空の上の「何か」が気にならない方でしたら、NZの旅を気軽にしてくれます。

オークランド空港に着きました。いい天気です!

実は、オークランド国際空港(国内線ターミナル)からオークランドの中心街までの移動をどうするかよくわかっていません。前日の夜にネットで調べてバスがあるらしいくらいまでの情報です。

SKYDRIVE(スカイドライブ)というらしいので、国内線の出口から出てきて、どこだろうとキョロキョロしていたらすぐに見つかりました。


ニュージランド・オークランドのシャトルバス=SKYDRIVE


チケットはネットで買うみたいな情報があったので、必死にスマホで調べて購入しよう思ったら、発車待ちのバスのチケット販売は締め切っていて買えませんでした。

ドライバーらしきおじさんからチケットを購入している人がいたので「買えますか?」と聞いたら、すぐに売ってくれました。カード決済で一瞬でした。


SKYDRIVEの2階席


出発すると、国際線ターミナルに立ち寄りました。ここで数分。あとは、ただ乗っているだけ。情報によると40分くらいで着くとのこと(移動時間は30分くらいでした)。

SKYIDRIVEからの眺め


2階席を選びました。景色が最高です。


スカイタワー(NZ)


見えて来ました。大きな塔が。スカイタワーというらしいです。名前が日本のスカイツリーに似ていますが、シルエットもちょっと似ています。スカイタワーの方が古くて、1997年に建てられたようです。高さは328mとのこと。333mの東京タワーとほぼ同じですね。

ただ、オークランドは東京の23区ほど高い建物がないので、どこからでもスカイタワーが見えます。ですので、私の中でオークランドの街のイメージは「オークランド=スカイタワー」です。

乗ってきたSKYDRIVEは、そのスカイタワーに到着します。だからSKYDIRVEなんだと思います。

ニュージーランド・オークランドの市街地


時間は15時になろうとしていました。とりあえずチェックインしてしまおう、ということで予約したホテルに。スカイタワーから数百メートルの距離。めっちゃ近い。ガラガラとスーツケースを引いて歩いていたらありました。スマホの地図は本当に便利です。ちなみに、写真に写っているのは母です。

ホテルのフロントに着いてチェックインしようと思ったら、担当のお姉さんが「カードをください」みたいなことを言ってきたので、「じゃなくて、部屋のカードはこっちがもらうんだけど...」と英語が理解できなくてパニくっていたら、デポジットのことだとわかりクレジットカードを預けました。

久しぶりの海外すぎて、デポジットという仕組みがあることをすっかり忘れていました。海外だと、何かあった場合にすぐに請求できるように保証金代わりにカードを提出するのが一般的です。

英語はボロボロだし、勘もだいぶ鈍っています...。

荷物を預けたら、散歩にでかけました。お腹が空いているのでお店を探してみたら、開いている店があまりありません。日曜日だからのようです。

目に入ったのがデニーズ。あのデニーズです。一緒にいる母が「ここでいい」というので入ってみました。日本とどう違うのか、母もそんな感じで興味津々です。


オークランドのデニーズ


お店のシステムは日本のファミレスそっくりです。ただ、メニューを見るとぜんぜん違います。


ニュージーランドのデニーズのメニュー


一つ一つお値段が高いので、インフレのせいなのか量の問題なのかわからなかったので、手頃なお値段がついている野菜バーガーが注文しました。それでも、日本円にすると千円以上。新鮮なレタスが挟んであることを勝手に想像していたら、完全な別物でした。

ニュージーランのデニーズの野菜バーガー


ハンバーグの代わりに、じゃがいもか何かを揚げたものが挟んであって野菜感なしでした。別にヘルシーって意味じゃないんだよね、と納得。思わぬ高カロリーを口に運んで、ぼーっとタワーの方を眺めていたら人が落ちてきました。

目を疑う光景でした。よく見るとワイヤーが付いていて下の方で勢いがなくなっています。事故じゃありません。スマホで調べてみたらバンジージャンプのようです。行ってみることにしました。

営業が終わってしまったのか落下地点にスタッフも人もいませんでした。残念。この残念は、やってみたかったという意味ではなく、近くで見物したかっただけです。

時計は午後5時を回っていました。この季節、午後8時くらいまで明るいので午後3時くらいの感覚です。なんか、もったいないので周辺を散歩することにしました。

オークランドの協会

英国国教会


IMG_5724


日本では見かけなくなってしまったサークルK。日本では2018年に消えちゃいました。

オークランドの港


港に足を伸ばしてみました。宿のホテルから徒歩10分で港です。


オークランド市街地あ


街を散策したあと、スーパーで買い物。日本では見かけないキウイフルーツとアロエベラのミックスジュース。意外にも母がたいそう気に入ってしまいました。

キウイフルーツのジュース


そして、オレンジジュース。スペインに行ったとき、オレンジジュースが美味しすぎて毎日飲んでいました。NZでは日本と同等クオリティで美味い!

オレンジジュース


つづく…(

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ニュージーランド旅行記(1)ネルソン
公開:
要旨: ニュージーランド(以下NZ)から帰ってきました。記憶が薄れないうちに旅の様子を報告しようと思います。前回の記事で書きましたが、今回の旅は母と二人旅でした。高校2年生のときにした約束をようやく果たすことができました。 英語ができるわけでもない私が、英語力ゼロの...
ニュージーランド(以下NZ)から帰ってきました。記憶が薄れないうちに旅の様子を報告しようと思います。前回の記事で書きましたが、今回の旅は母と二人旅でした。高校2年生のときにした約束をようやく果たすことができました。

英語ができるわけでもない私が、英語力ゼロの母を連れて旅をするというのは、一人より緊張する状況でした。私がミスをしたら母を巻き込んでしまうからです。どんなところに苦労したか、どんなふうにやりきったか、生々しい実情も交えながら旅を振り返ってみようと思います。


旅の準備、心の準備


出発の2ヶ月前になってから動き始めました。ツアーではないので自力で飛行機と宿を用意しなければなりませんでした。日程がタイトで実質4日間(3/4~3/7)しかないので、観光地は2ヶ所に絞り込みました。一ヶ所はネルソン。もう一ヶ所はオークランドです。

初日はネルソンで残りの3日間はオークランドという行程です。観光地はどこを選ぼうかとか、向こうでの移動手段はどうしようか、宿はどうしようか、と頭を巡らせていました。

個人旅行をサポートしてくれるところはないか検索したらありました。プランを作成してくれたり、チケットの手配をしてくれるサービスがあります。現地で困ったときに助けてもらうこともできます。今回の旅は何より心の安全が大事。今回は母が一緒なのでトラブルを楽しむ余裕はないのです。

今回依頼したのは、グローバルネット ニュージーランドという会社。他社と比べて手数料が魅力的でした。予算や条件を伝えてホテルを予約してもらいました。観光地へのツアーも探してくれました。だいぶ、時間の節約になりました。

繰り返しになりますが久しぶりの海外で、母と二人という条件。出発前からけっこうソワソワしていました。しかも英語圏に行くのはほぼ初めてです。高2のホームステイ以来です。

ニュージーランド航空


ニュージーランド着



北島にあるオークランド国際空港に到着したら国内線でネルソン行きに乗り換えです。国内線がみつからないと思ったら別の建物でした。国際線のターミナルを出て出て660mほど歩いて移動しなければなりませんでした。乗り継ぎの時間は十分に合ったので慌てる必要もなく移動できました。

オークランド国際空港の国内線行きの案内


驚いたのは、国内線では手荷物チェックがないことでした。新幹線に乗るような感覚で出発前の30分前に空港に着けば間に合いそうな感じです。

小型のプロペラ機に乗って南島のネルソンに向かいます。機内はアットホームな感じでした。海外からの観光客は少なく、NZの人が多い印象でした。

オークランド空港の国内線のプロペラ機


ネルソン着


ネルソン空港

ネルソン空港に着くと、だいき先生が迎えに来てくれました。あとでだいき先生から教えてもらったのですが、ネルソンでは配車サービスのUberは使えないそうです。いざという時のためにUberを使う予定でアプリをインストールしていたのですが...。

ネルソンは人口10万の静かなところ街です。クルマがないと自由に動けません。日本の観光地でイメージするなら、軽井沢に新幹線で着いてそこにアウトレットがない感じですかね。

ちなみに、ネットはキャリアのソフトバンクの「海外あんしん定額」に事前に申し込んでおきました。オークランドに付いたときに、ソフトバンクかSMSメールが届き、その指示に従ったらすぐに使えるようになりました。空港の無料Wi-Fiもあるので現地に着いてからネットが繋がらなくて困るということはありませんでした。


鍼灸院訪問


さっそく、だいき先生のNelson Shinkyu Acupuncuture Clinicにおじゃまさせてもらいました。なんかもう雰囲気がリゾート。この雰囲気を日本では出せません。

ネルソンのビーチを散歩。この近くに住めるだけで毎日が幸せになりそうです。


宿の部屋に戻ると、突然ドアをノックする音が聞こえたので、出てみると宿のオーナーでした。日本語で話しかけられて驚きました。日本語が上手だと思ったら日本人でした。話の流れで、翌日は空港まで車で送っていただけることに。自家用車でやってくる宿泊客がほとんどだと思うので、私たちのように移動手段がないお客さんは珍しいのかもしれません。

ちなみに、宿はChelsea Park Motor Lodgeというところです。


夜のボロネーゼ


夜は地元で愛されるイタリアンへ、だいき先生に連れて行ってもらいました。ネルソンでの開業や豪華客船での仕事など、根掘り葉掘り聞いてしまいました。実際に行って会って話すといろんなネタが出てきます。楽しい時間でした。



群馬とネルソン


翌朝、オーナーの車に乗り込って空港までの移動が始まりました。

空港に向かう移動中に聞いたのですが、オーナーは20年前からオークランドに住んでいて2年前まで客室乗務員をされていたそうです。ところが、コロナ禍を機に仕事がなくなり宿泊業に転職されたそうです。事情を知らない者が訪れるとNZはパンデミックの影形もなく、普通に動いているように見えるのですが、人々の中には刻まれていることがたくさんあるようです。

社内で話が盛り上がり、群馬の出身の方だと判明。こんなことってあるんですね!

空港でブランチを食べようと思ってサンドイッチを購入。2種類のサンドイッチを1つずつ頼んだつもりが1つしか出てきません。英語がちゃんと伝わっていなかったのです...。仕方なく母と二人で一つのサンドイッチを分けることに。一杯のかけそば、ニュージーランド版です。

つづく...(

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クリ助、ニュージーランドに旅立つ
公開:
要旨: 母を連れてニュージーランド(以下、NZ)に旅行に行くことになりました。 そのため、3月3日~8日は仕事をお休みさせていただきます。ずっと機会を探していて、思い切ってチームに留守番を任せてしまうことにしました。 実は、高校生のときにした約束を果たすためです。本...
クリ助、ニュージーランドに旅立つ


母を連れてニュージーランド(以下、NZ)に旅行に行くことになりました。
そのため、3月3日~8日は仕事をお休みさせていただきます。ずっと機会を探していて、思い切ってチームに留守番を任せてしまうことにしました。

実は、高校生のときにした約束を果たすためです。本当は父も連れて行きたかったのですが、残念ながら10年ほど前に他界しているためできなくなってしまいました。

実は、NZは高校生のときに行ったことがある思い出の国。はじめて踏んだ外国の土地がNZでした。ホームステイで3週間滞在したことがあります。前すぎて、当時のホストファミリーとは連絡も取れません。

そもそも、母と二人旅ということ自体が初めてで、そわそわしています。妻や子供たちも連れて家族旅行にするのがベストなのですが、それは別の機会にとっておき、今回は母が主役です。鍼灸師になれたのも母のおかげですし。

この旅では、もう一つ重要なミッションがあってネルソン(南島)で活躍しているだいきくんに会います。話したことはあるのですが、まだ面識がありません。彼がNZで開業するという情報SNSで知り、それならば応援しようとクラウドファンディングで応援していました。

NZに鍼灸クリニックをつくりたい


最初に掲げていた日本人雇用を約束通りやっているのですごいです。日本人が海外で活躍できる場をつくっていこうという意気込みを尊敬し、その実行力を尊敬しています。

実は、母にサプライズを用意しています。NZでの鍼灸施術をプレゼントする予定です。知り合いにつなげていただいて、オークランド(北島)の鍼灸院で受けられることになりました。こんな機会は滅多にないので、私も受けてきます。楽しみすぎる。

ちょっとした観光もしてくる予定なので報告する予定です。
あ~楽しみだなぁ。というか早く準備をしなければ!

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リピート対策は必要ない
公開:
要旨: 最近、こんなツイートをしました。 通いたい人が患者さんとしてやってくるわけなので、リピート対策が必要な理由がわからない。— クリ助@鍼灸師 (@kuri_suke) January 21, 2023 集客コストの罠 経営関係のセミナーに行けば、必ず話題になるリピート対策。いわゆる「治療...
リピート対策は必要ない


最近、こんなツイートをしました。


集客コストの罠


経営関係のセミナーに行けば、必ず話題になるリピート対策。いわゆる「治療家」を対象にしたコンサルタントも、集客と合わせてリピート対策をサービスの柱にしています。考え方としては「コストをかけて集客した患者さんがリピートしてくれないと採算性が低くなるので、しっかりリピート対策もしましょう」というものです。ザル状態を嫌うわけですね。

この考え方には、お金をかけたのだから取り返さなければいけないという魂胆があります。いわゆる治療院というものはビジネスですから、コストをかけたら回収しなれば事業は継続できません。経費ゼロで経営はできませんから、ザル状態にしない工夫は大切です。私も例外ではなく、経営する鍼灸院がザルであれば廃業です。


技術屋思考の安定経営


しかし、うちはリピート対策なるものはゼロです。それにも関わらず、群馬の鍼灸院は20年、東京の鍼灸院は9年、続いています。私の考え方が正しいと言うつもりはありませんが、一つの考え方として参考になると思うので書くことにしました。

私は経営のプロではなく技術のプロです。そんな技術屋思考だからこそ、集客やリピートなどのマーケティング用語を気にすることなく安定的に経営できる考え方にたどり着けたのだと思います。

最初から、今のような考え方にたどり着いたわけではありませ。きっかけは、同時期に鍼灸師になり、同時期に鍼灸院を開業した、福岡の女性鍼灸師との出会いでした。彼女と出会うまでは「集客+リピート」という一般的な考え方でした。というより、そういう考え方を一生懸命学んで経営を安定させようと躍起になっていたのです。当時のことは鮮明に覚えいていますが、あれからだいぶ月日が経っているので昔話になってしまいました。

とはいえ、今でも通じる普遍的な考え方であると思うので、全く色あせていません。むしろ、月日が立てば経つほど、この考え方が自分に合っていると確信が持てるようになっています。


鍼灸院は数ある選択肢の一つ


開業して間もない鍼灸院に来た彼女は「患者さんは健康になるために鍼灸院にこだわる必要はない」といった話をしました。細かな言い回しは忘れましたが、鍼灸院は手段の一つでしかないと俯瞰的に見ていることに衝撃を受けました。

あたりまえの話なのですが、鍼灸院を経営していれば「通うことで健康になる」という定義にはまってしまうのです。知らず知らずのうちに鍼灸師目線、経営者目線になっているのです。患者さんの気持ちがスッキリするなら映画でもかまわないわけですし、旅行に行ったりすることも気分転換になります。温泉につかることで疲れが飛んでしまうかもしれません。

鍼灸なんて無数にある選択の一つで最適解とは限りません。鍼灸師になったばかりで鍼灸院を経営したばかりの彼女が、最初からこの領域にいたことに私は大きな衝撃を受けました。自分目線、自分都合で考えていたことが恥ずかしくなりました。


本当は予約したい


それを機にリピートしてもらおうと考えるのはやめました。最初はうまくいかず患者さんが減りました。しかし、ある患者さんの一言が転機となり患者さんが増えることになったのです。それは「次いつ来ればいいのかわからなかったので予約しづらかったです」というものでした。

「また来たければ予約するでしょう」と初診が終わったら放っていました。やってみてわかったのは、それはただの不親切というもの。どれくらいのペースでどれくらいの期間通院するのがベストなのか、患者さんにしてみたら必要な情報です。それを放棄してしまってはいけないのです。

それに気がついてから「どれくらいのペースでどれくらいの期間」という目安は伝えるようにしました。中には「そんなに通えないので月1回でもいいですか?」という方もいらっしゃいます。そういう方は、きっぱりお断りするようにしました。


できないことはできない


常識的に考えて、怪我や病気や月1回の施術で改善するわけがありません。中には神がかった腕を持つ先生がいるかもしれません。だとしても、そんな腕に短期間でなるのは無理ですし、将来的にも難しいです。今もそんな腕はありません。「どうしても月1回しか…」という方には、そういうことが可能なところを探してもらうようにしています。

どんな要望にも答えようとするのではなく、自分の技量に合わせて正直に提案をすることに徹したのです。その結果、私が達したのは週2回の施術です。改善状況を見て週1回…と間隔を伸ばしていき終えます。

私の腕では週2回がもっとも短期間で回復します。他のスタッフでもそうです。つまり、少ない費用で短期間でよくなるので患者さんの便益が高いのです。私はそう思うので正直にそれを伝えます。


LTVは高いほどよいのは本当か?


一般的に、治療院経営の専門家はLTV(Life Time Value)を上げることを推奨します。日本語では「顧客生涯価値」と言われています。この数字は「単価×通院回数」で決まります。ですから、高単価で通院回数を増やすような経営戦略が有利になります。

私の考えはこれと全く逆です。LTVは低いほどよいのです。福岡の彼女もそうでした。鍼灸院でお金を使い切ったら、趣味や嗜好品にお金をかけられなくなってしまうという考えでした。患者さんの人生にとって、鍼灸院に通い続ける人生がベストであるはずがありません。

「LTVが高い=よい経営」という常識があって鍼灸院にも浸透しています。私は疑うべきだと思います。この考え方は「一人の患者さんからたくさんいただく」という思想であることを忘れてはいけません。「多くの患者さんから少なめにいただく」というやり方だってあるのです。

私の経験から強調したいのは、LTVが下がるほど紹介が増えるという事実です。

「1ヶ月通ったら良くなったよ」という声と「1年くらい通ってるよ」という話があったとしたら、どっちに興味が湧くでしょうか。前者であることは明らかです。支払総額が低い方ほど敷居が低くなります。LTVが下がると紹介が増えるのです。

紹介で来院した方は「短期間に集中して通った」という話を来ているわけですから、ご自身も同じように考えます。週2回と伝えても驚くことはありません。


技量を上げる努力が実を結ぶ


ここまでの考え方をまとめます。

①コストのかかる集客がリピート対策を生む
②自分の技量に合わせて必要なことを伝える
③LTVが下がると紹介率が上がる

お気づきになったでしょうか。③が実現できると集客コストが下がるので①の状況にはならないのです。リピートを仕掛ける必要は発生せず、通うつもりの患者ばかりが集まります。それができない人には、他を探していただくのです。

中には「仕事が忙しくて…」と通院を拒絶する人もいます。それはそれで仕方ありません。本当に鍼灸が必要と思えば、仕事の調整をして時間をつくります。「仕事が忙しくて…」と言われたら、生活スタイルを崩してまで通うところではないと思われているだけなのです。そう思われない技量を目指すだけです。

施術に価値を感じてもらえなければ、ここまでの話は机上の空論になります。だから、技術屋として技量を上げることに力を注ぐしかありません。集客やリポート対策の講習を受けることもよいのですが、技量によって解決してしまう事実があることも知ってほしいと思います。

仮に技量があっても、その技量が患者さんに伝わっていなければないのと同じです。ですから、技量が伝わるように施術の中で工夫することも大切です。

このあたりの話は別のテーマになるので今回は割愛しますが、

①ビフォーアフターを伝える
②即効性を意識する

ことが大切であるように思います。いくら上手くても、患者さんが確認しようのないものは残念ながら評価されません。若手の鍼灸師は優先順序を間違えないようにしてほしいと思います。


患者さんがリピートしない理由


最後に、もう一つ大切な話を書きます。「患者さんはそもそも通うつもり」という前提で経営すると、経営安定に大切なのは「やっぱり通うのをやめよう」と心変わりをさせない努力です。

通うつもりの患者さんが通院をやめるのは、それなりの理由はあるはずです。タオルの柔軟剤の匂いが気になって通うのをやめた方がいらっしゃいます。それ以来、柔軟剤を使用しない洗濯に変えました。鍼灸師の言葉が通わない理由になることもあります。

私は、通わない理由を探して改善することに集中しています。通ってもらうために、色々なことをプラスしていくのではなく、通いたくない理由をマイナスしていくのです。不安なときは足したくなるものですが、引いた方が上手くいくかもしれません。

技術的にも同じことが言えます。経営がうまく行っていないときは、いろいろな技術に目が行きますが、本当に必要なのは今の技術を追求することかもしれません。やりきっていなければ、その技術の長所も短所もわかりません。

「何でもできる」は「何にもできない」と同じです。

肩甲骨と背骨のふか~い関係
公開:
要旨: 僧帽筋と肩甲挙筋が面白いほどわかる動画 面白い動画がツイートされていたので紹介します。 この動画を見てください。英語ですが内容がわからなくても肩甲骨と脊柱との間には密接な関係があることを確認していただけたら十分です。直感的にわかる、すばらしい動画です。 ...
肩甲骨と背骨のふか~い関係


僧帽筋と肩甲挙筋が面白いほどわかる動画



面白い動画がツイートされていたので紹介します。

この動画を見てください。英語ですが内容がわからなくても肩甲骨と脊柱との間には密接な関係があることを確認していただけたら十分です。直感的にわかる、すばらしい動画です。



頚椎と胸椎はぜんぶ肩甲骨と連動している


具体的には頚の7椎と胸の12椎です。合わせると19椎が“直接的に”肩甲骨とつながっています。こうして構造を見ると、肩甲骨を動かすということは脊柱を動かすということなのです。こうした知識は鍼灸を行う際にとても役立ちます。背骨のすぐ隣りには夾脊穴というツボが並んでいますが、こうしたツボを刺激すると肩甲骨にも作用が及びます。

忘れてはならないのは、肩甲骨は腕と体幹をつなぐところであることです。私は、肩甲骨を腕の付け根として考えています。解剖学的には誤りですが、そのように体を観た方が調整には有利です。具体的には、五十肩を診る際には肩関節の問題と考えるよりも、肩関節も含む肩甲骨の問題と考える方が解法が見えてくるのです。

腕、肩、肩甲骨、そして脊柱の連動を観ることがとても大切です。


肩甲骨周りが軽いと心も体も軽い


脊柱は健康に大きな影響を与えます。脊柱の中には脊髄などの大事な神経が通っていますから、全体にとって極めて重要なところで、健康状態を左右します。その脊柱に肩甲骨は連結されているわけですから、肩甲骨の状態で全身の健康状態を占えると言いたくなります。

実際、肩甲骨が体調に及ぼす影響は多くの方がが実感されているのではないでしょうか。肩甲骨周りが軽いと体も心も軽くなりませんか?


動画の和訳


動画の内容が気になる方のために、台詞とその和訳をおまけとしてつけておきます。うちのチームの小堀くんがやってくれました。

OK, so we are gonna talk about the rotation of the scapula.

Here we have the vertebral column from C1 to T12.
There is a base of the skull. We have the nuchal ligament all the way to C7.
And here we have the scapula medial border there. Spine of scapula, and acromion. OK?

Trapezius is in black, remember the origin point is base of skull, nuchal ligament and spinous processes of C7 to T12.
And we have levator scapulae in white. Origin is transverse processes of C1 to C4. And attaches on the medial border of scapula, above the spine of the scapula.

So in terms of rotation of scapula, if the levator scapulae was contracted, we can see that there is downward rotation of the scapula, right? The Glenoid cavity is going downward. That inferior angle is medially rotating.

Prepare back to anatomical position.

And we contact the upper fiber of trapezius, so pull on those. We can see that there is upper rotation of the scapula. Glenoid cavity is moving up, lateral rotation in terms of inferior angle of the scapula.
Even if we contract the lower fiber of trapezius, we can still see the upper rotation of the scapula. The Glenoid cavity is going up, inferior angle has laterally rotated.

では、肩甲骨の回転について説明します。ここにC1からT12までの椎骨があります。
頭蓋骨の底面があります。C7まで、ずっと項靭帯があります。
そして、肩甲骨。内側縁はここ。肩甲棘に、肩峰。OK?
僧帽筋は黒色で示しています。起始点は頭蓋底、項靭帯、C7からT12までの棘突起でしたね。

そして肩甲挙筋は白色です。起始部はC1~C4の横突起です。肩甲棘より上の肩甲骨内側縁に停止しています。

肩甲骨の回旋ということで、肩甲挙筋が収縮していた場合、肩甲骨の下方回旋が見られますね。関節窩は下向きになります。下角は内旋しています。

解剖学的な位置に戻します。

僧帽筋の上部線維を収縮させます。肩甲骨の上方回旋を確認することができます。関節窩は上向きになり、下角は外旋します。
僧帽筋の下部の繊維を収縮させても、肩甲骨の上方回旋が確認できます。関節窩は上を向き、下角は横方向に回転しています。


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