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鍼灸師のツボ日記
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要旨 田舎の鍼灸師クリ助の臨床奮闘記 群馬と東京で鍼灸院を営む鍼灸師。ツボをこよなく愛し、鍼灸の魅力を語り始めると止まらない。
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鍼灸師なのに英語を勉強してる理由
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要旨: 今回は鍼灸師の英語学習について書いてみようと思います。鍼灸師の英語なんて必要ないと言ってしまえばそれまでで、できなくても鍼灸師として生きていくことはできます。一番大切なのは、鍼灸の確かな技術です。 私は海外で講師をしたことがありますので、そのときの経験...
鍼灸師が英語を勉強してる話

今回は鍼灸師の英語学習について書いてみようと思います。鍼灸師の英語なんて必要ないと言ってしまえばそれまでで、できなくても鍼灸師として生きていくことはできます。一番大切なのは、鍼灸の確かな技術です。

私は海外で講師をしたことがありますので、そのときの経験から思ったことを書きます。また、現在行っている英語学習の方法と目的にも触れていきます。


英語より大事なこと


一番重要だと思うことから書きます。

いくら英語が上手くなっても、スキルを身に着けていないと仕事では役立ちません。私は鍼灸師なので鍼灸としてのスキルがあってこその英語です。英語がネイティブ級に上手くなってもスキルがなければ、日本で日本語がしゃべれる人と同じ立場です。

私が講師をしたのはスペインなので英語ではなくスペイン語が必要でした。スペイン語のスキルが全くないので通訳をお願いしました。スペイン語ができなくても鍼灸の技術があれば成立します。鍼灸のスキルがあったからこそ、私の話に興味をもってもらえたのです。何にもなければ、通訳を介してまで話を聞こうと思う人などいません。

語学が趣味や楽しみでない限りスキルあっての語学です。冒頭で書いたように、海外に行く予定がなく、日本語ができる患者さんのみを迎えるのであればスペイン語も英語も必要ありません。

SEIDO Acupuncture in Spain


英語をはじめた理由


ここでは私の立場から外国語を学ぶ意義や楽しさ、今回は話を英語にしぼって話をしてみようと思います。

前もってお伝えしますと、私は語学そのものにあまり興味がないのです。だから、これまで気合いを入れて勉強したことがありません。そんな私が英語を勉強しようとか書いているわけですから、人生がどう転じるかわかりません。

私が英語を始めた理由は、日本の鍼灸を海外の人にも受けてほしいからです。単純なことなんです。海外の人と交流を持ちたいとか、友達をつくりたいとか、そういう理由ではないのです。

私がやっている鍼灸を、日本人以外の人に届けたいという気持ちだけです。誤解される前に書きますと、活動拠点を海外に移す予定はありません。日本を拠点にして海外展開をしようと思っています。

「円安だからでしょ?」

と思われると思いますが、確かにこの円安は気分的に追い風です。


英語ができないので失敗


10年前の2014年のことです。

群馬で鍼灸院を経営しながら品川に鍼灸院を新設しました。品川を選んだのは、新幹線が止まる駅であることと羽田空港に近いという理由でした。

その時点で来日する外国人を意識して、ウェブサイトや問診票などを英語で用意していたのですが、英語で施術できるスタッフがいなかったので、軌道に乗りませんでした。

代表である私が英語の見本を示していませんし、努力の方向性がつくれませんでした。


外国語が得意なスタッフが集まる


時は経ち、すっかりスタッフは入れ替わりました。気がつけば、外国語が得意なスタッフに囲まれている状況です。

現在、うちのチームに鍼灸師が8名所属していますが、海外で働いた経験がある者が3名もいます。私がスペインで講師をしたことも含めたら半数の4名が海外で仕事しています。この他、大学で外国語を専攻していたスタッフも入りました。これだけのメンバーが集まることが偶然であるはずがありません。

このブログでも、何度も「日本の鍼灸を海外に」と叫んできましたし、スペインでの活動も報告していましたので、海外に興味がある人を呼び寄せてしまったのだと思います。一人ひとりに聞いたら「そうじゃない」と返ってくるかもしれませんが、都合よく解釈しておくというのも戦略です。

条件がそろっても、私が英語を勉強していなければ火がつきません。私が英語力でトップを突っ走る必要はありませんが「この人、本気なんだ」と思ってもらないと始まりません。

鍼灸師の外国語チーム


3割えいご


品川の鍼灸院(カポス)の患者さんの3割を外国人にするという具体的な目標を作ってシェアしています。もし、4割、5割と増えていくようでしたら、分離させることも視野に入れています。

鍼灸院の中で英語が飛び交っていれば、海外で働きたいと考えている鍼灸師が、経験を積む場所になりますし、海外から戻ってきた鍼灸師が英語力を活かせる場所になります。

そんな近い未来を思い描きながら、英語対応の準備を進めています。

こんな私の英語の面倒を見てくださっているのが、今年鍼灸師になったばかりの宮口一誠先生です。宮口先生と出会ったのは昨年の4月。ちょうど一年前です。海外に関心を持つ鍼灸師が集まる会で出会って、私が勝手に惚れ込んだわけです。

出会った当時は鍼灸師を目指す学生でしたが、すでにアメリカでトレーナーとして8年間働いていた経験があり、そのときの試行錯誤を活かしたカリキュラムで、セラピストたちに英語を教えています。


4ヶ月間の個人レッスン


今年1月から始めた個人レッスンは終盤に差し掛かっています。4ヶ月間ですからできることは限られています。短い期間で実用的な英語が身につくように、現場でよく使ういい回しを集中的に練習しています。

外国人に道を聞かれても困りますが、外国人に理学検査はできるのです。
このレッスンを通じて、英語がしゃべれるようになったかと言えばノーですが、英語の引き出しが増えたことは間違いありません。咄嗟に英語が出てくるくらいになれたらよいのですが、最初からそこに行くのは難しいので経験を積み重ねながらだんだんと。


英語で情報発信


私も、そろそろ英語圏の患者さんを積極的に受け持っていこうと思っています。ただ、来ていただかないと始まらないので、この1ヶ月で鍼灸院のウェブサイトの英語版を整備しました。英語表記をネイティブにチェックしてもらったりと基本的なところを修正。

「acupuncture tokyo」で検索しても、見つからない位置にあるので、もう少し頑張っていかないといけません。日本の鍼灸の魅力が海外にしっかり伝わったら「鍼灸院めぐり」なんてツアーが生まれるかもしれません。

acupuncture tokyo - KAPOS
< KAPOS Acupuncture in Tokyo >


超初級編の勉強会


今度、私の英語の先生である宮口一誠先生と、鍼灸師のための英語レッスンを品川で開催することになりました。私は教えるレベルではないので、運営をしながら参加者の方々と一緒に練習します。

「私の英語のレベルで行ってもいいのかなぁ」

と思われるかもしれませんが心配ありません。開催するのは超初級編です。中学英語の基本をおさらいしながら、やっていこうという方に向いています。

最初は下手で当たり前。私もまだ下手の領域です。

ちょっとでも気になる方はぜひご参加ください。海外事情の情報交換の場になると思います。私も運営する側として参加して一緒に練習します。宮口先生の個人レッスンに興味がある方も人柄を確認しにきてください。あと、私の鍼灸院で英語を使って働いてみたいと思っている方の参加もお待ちしています。

日時:6月23日(日)11:00~17:30
会場:東京/品川
対象:鍼灸師(学生も可)
定員:18名
料金:33,000円(税込)

<詳しくはこちら
AcuEigo超初級編
鍼灸師が理解しておくべきコミュニケーションの基礎の基礎
公開:
要旨: 鍼灸師はコミュニケーションが極めて重要です。異論がある人はすくないのではないでしょうか。患者さんもしっかり話を聞いてくれる鍼灸師の方が安心できると思います。こうしたコミュニケーションの重要性は鍼灸師側もかなり意識していますし、話題になることが多いです。 ...
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鍼灸師はコミュニケーションが極めて重要です。異論がある人はすくないのではないでしょうか。患者さんもしっかり話を聞いてくれる鍼灸師の方が安心できると思います。こうしたコミュニケーションの重要性は鍼灸師側もかなり意識していますし、話題になることが多いです。

ただ気になる傾向があって、コミュニケーションが話題になるのは経営が話題になっているときが多いのです。売上を伸ばすためにはコミュニケーション能力を高めましょう、という流れです。

「技術だけではだめです。コミュニケーションも大事ですよ」

こんな台詞、鍼灸師ならどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。

現実としてコミュニケーション能力が高い人の方が売り上げているのかもしれませんし、SNSで目立つ鍼灸師もコミュニケーション能力が高いように見えます。

私はこういう話題を目にすると胸がざわざわします。どちらの言い方も、技術とは別にコミュニケーションがあるように聞こえます。

技術の中にコミュニケーションがあると考えた方がよいです。技術と切り離したコミュニケーション術は、鍼灸師が養うべきものとは違うように思います。

技術に勝るマーケティングはない


確かな技術は人を集める力があります。一人で鍼灸院を経営する小規模事業を想定した場合、確かな技術力に勝るマーケティングはないと思います。

コミュニケーションが技術力の幹であると考えています。その幹が太ければ太いほど、学んだ知識や、修練した技を活かしやすいのです。こうして考えれば、コミュニケーション能力が高い人に患者さんが集まることが自然に理解できます。

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ただし、私がここで言っているコミュニケーションとは雑談力や説明力、そして傾聴力のことではありません。では、ここからコミュニケーションを整理して、どのように取り組んでいけばよいのか考えていきましょう。

技術の幹となり得るコミュニケーションには、言語系と非言語系があります。それぞれについて詳しく説明します。ここから臨床がすごく楽になる考え方を書きますので、現場で悩んでいる鍼灸師がいましたら参考にしてください。そうでない方も頭がスッキリするはずです。ぜひ、最後までお付き合いください。


コミュニケーションの目的


幹の説明をする前に、コミュニケーションの目的をはっきりさせておいた方がよいでしょう。正解をひとつに決めることはできませんが、私の意見としては「安心感をつくること」だけを考えておけばよいと思います。

はじめての患者さんが鍼灸院にやってきて、一番最初に欲しいものってなんでしょう。もし私が患者ならダントツで安心感です。鍼灸師のすべらない話とか求めていないわけです。だから、コミュニケーションの目的を、安心感に全フリしてしまえというのが私の方針です。

「すべては安心感のために」

ということです。どういう情報のやりとりが安心感をもたらすのだろう、常に考えながら行動することです。これが正解とは言えませんが、これを目的と決めたなら、すべての言動がこの目的と合致するようにします。少なくとも矛盾しないようにします。

そして作り出された安心感が施術の土俵になります。上手なコミュニケーションは、施術の土俵として機能する安心感を生み出してくれます。では、ここから具体的に言語系と非言語系に分けてコミュニケーションの幹を考えていきましょう。


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言語系コミュニケーションの幹


相手が何を言っているか以前に、相手の声からいろいろ感じとります。同じ言葉を発しても、励ましになることもあれば嫌味になることもあります。「それはすごいですね」で試してみてください。たとえばこんな感じに。

「そりゃ、スゴいっスね~!」

「そ、れ、は、すごいですねぇ」

演技力のある人ならなおさら言いわけられると思います。


ところで『はぁって言うゲーム』をご存知でしょうか。

今言った「はぁ」は、怒ってる「はぁ」? とぼけてる「はぁ」? それとも、感心してる「はぁ」?
与えられたお題を、声と表情だけで演じて当て合うカードゲーム!

各プレイヤーは共通の台詞を与えられたシチュエーションで演じ、他のプレイヤーはそれぞれ何を演じているかを当てます。身振り手振りは禁止、声と表情だけで表現しましょう。大盛り上がりのコミュニケーションゲームです。 


内容一式(軽)
オフィシャルサイトより)

声の出し方を表情でどんな意味なのか当てるゲームです。社内研修の晩に遊ぶ定番のゲームになっています。このゲームは、まさにコミュニケーションの本質をついています。何を言うかではなく、どう言うかがコミュニケーションなんだと笑いながら学べます。

やってみるとわかるのですが、演じるのは恥ずかしいものです。言葉に感情を乗せるからです。逆の言い方をすれば、感情を抜いた言葉は恥ずかしくないのです。

人は恥じらいを隠すために平常は無感情を演じているのです。ですから、平常のまま患者さんと接してしまうと「何を考えているのかわからない怖い人」になってしまいます。対人において普通にしていることは「得体の知れない怖い人」を演じてしまっているのです。

ですから、患者さんを普通に迎えてしまうと相手は怖いのです。安心感のためには「あなたを歓迎しています」という感情をしっかり乗せた「こんにちは」が必要です。対面だけでなく電話でも同じです。

このとき、「あなたを歓迎しています」という本物の感情がなければ、わざとらしく見抜かれてしまいますので、実際に感情をつくることが必要です。

私自身、このスイッチを入れるために、「今日も大好きな鍼灸師をしていられるのはあなたのおかげです。両親に反対され諦めなければならなかった時期、仕事がなくて食えない時期もあった。でも今は毎日のように必要とされて幸せ」という感情を一瞬にして引き出せるようにしてあります。

みんなそれぞれ感情の引き出し方があると思いますので、私の例を参考にして探してみてください。

ということで、言語系のコミュニケーションの幹は感情です。

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非言語系コミュニケーションの幹


これから説明する非言語系コミュニケーションの幹も感情です。感情は表情に出ます。先ほどと同じ理由で平時の顔は「得体の知れない怖い人」です。表情や視線も言葉を交わす際に意識されるので言語系に入ると思います。

ここから観点を変えていきます。

トイレをきれいにしているかどうか、トイレをきれいにつかってもらえているかも非言語系のコミュニケーションだと言えます。清潔なトイレを使ってほしいという感情が患者さんに届き、きれいに使ってもらえると、私たちも大切にされていると感じます。これって十分すぎるコミュニケーションですよね。

部屋の温度や照明の明るさも情報です。こうしたものを一言で表すなら配慮です。清潔感が大切というのも、こうして考えるとコミュニケーションの重要な一部だからです。

ということで、非言語系コミュニケーションの幹は配慮です。

ここまでの話をまとめると、感情が乗っていない言葉をいくら並べたとしても、配慮に欠けた状況でいくら説明したとしても、相手には伝わりません。私自身も改善の余地がたくさんあります。人のことを言う前に改めるべきところはたくさんあります。


施術における言語系と非言語系


ここまでの言語系と非言語系を踏まえた上で、施術中のコミュニケーションを言語系と非言語系で考えてみます。鍼灸師ならではのコミュニケーションを展開できるかどうかが分かれ道になります。

ここまで読んでいただいた方はお分かりだと思いますが、施術に上手なトークなんて必要ありません。ニュースやSNSでネタとなる情報を集める必要もありません。施術におけるコミュニケーションの本質さえおさえてしまえばよいのです。

軸になるのが触診です。

臨床で苦戦する鍼灸師に見られるのが、触診を「患者さんの体から情報を得る行為」と捉えていることです。皮膚や筋肉に触れて状態を探っているとき、相手も探られていることを感じています。つまり、触診というのは情報を得る行為でありながら「どんなふうに触れているのか」という情報を与える行為です。

頭で理解しても強く意識しておかないと、触れた瞬間に医学知識を照合する作業に没頭してしまうのです。自然にできるようになるには練習と時間が必要です。

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触診をコミュニケーション化できるのは鍼灸師の特徴です。言ってしまえば、触診によるコミュニケーションこそ鍼灸の核心ではないでしょうか。このように、触診はコミュニケーションであると再設定すると、さまざまな課題が浮かび上がってきます。

鍼灸師は施術中に多くの言葉を発する必要がないこともわかってきます。「目は口ほどに物を言う」という言葉がありますが、手は口ほどに物を言うのです。それは、鍼灸院において患者さんが求めている会話の形だと思います。少なくとも、私はそういう鍼灸院で十分と考えて経営しています。


しゃべらなくてもいい


私たち鍼灸師は、学生の頃から患者さんとの会話が大切であると習います。そういう話をしてくれる先生はたいてい話が上手ですから、後進にも同じように会話を磨いてほしいと考えるのは自然です。

でも、あえて言います。話し上手になる必要はありませんし、トークを磨く必要もありません。無理してしゃべらなくてもよいのです。

施術に必要なことだけ端的に伝えるだけで十分です。世間話はしなくてもよいです。新人が疲れるのは施術そのものではなく、会話をしなければというプレッシャーからだったりするのです。

触診をするときは、確認の意味で「ココとココを比べたらどうでしょうか?」などという言葉がけが必要です。ネタを用意して話すわけではないので、ハードルはとても低いです。

触診に伴う会話にも上手下手は生まれます。とはいえ、クリエイティブな発想が必要ではなく、もともと用意してある言葉をタイミングよく発するだけですから、ルールさえ守れば大きな差になることはありません。


説明をがんばってもリピートしない


私たち鍼灸師の間で共有されることがある「2回目の予約がないんです…」という悩み。こういうとき、技術が足りないのか、説明が足りないのか、という思考に陥りやすいです。どっちも違うと思います。「不足」が招いているのではないと思います。

基本的に患者さんは話を聞きに来ているわけではないので、施術者がしゃべるほど違うものを提供されているような気分になります。

「しゃべってよいのは患者さんだけ。私たちは必要なこと以外はしゃべってはならない」

これくらいに思っておいた方がよいです。

極端に思えるかもしれませんが、しゃべりが上手でなければいけないという思い込みをぶち壊すにはこれくらいでちょうどよいです。

患者さんとの間で必要なコミュニケーションは「おしゃべり」の中にはありません。むしろ、施術中は余計なことを言わないことに細心の注意を払うべきです。ついつい、自分がしゃべりたいことをしゃべってしまうものです。

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患者さんを迷わせないための言葉


患者さんは常に迷っています。藁にもすがる思いでやってくる人が多いです。「本当に鍼灸で治るのだろうか」「私と同じような人は通っているのだろうか」「何回くらいで治るのだろうか」「鍼は痛くないだろうか」、こんなふうに患者さんはいつも迷いの中です。

私は、どうしたら患者さんが迷わないだろうか、という視点から言葉を選ぶようにしています。施術中だけではありません。はじめての方がやってきたときは、まずどこに行けばよいのか、何をすればよいのか、何をされるのかわかりません。その迷いの時間が短くなるように心がけています。

キョロキョロされる前に「そちらにおかけください」と言いますし、座ってから「どうするんだろう?」と思った瞬間には「こちらの問診票に記入をお願いできますか」と声をかけられるようにします。

もちろん、こんなことは当たり前と言えば当たり前ですが、受付担当がトイレに行っていているときや、電話中に新規の方がお見えになったときなど、イレギュラーな場面は必ずありますから、普段から準備しておかないと的確な言葉は出てきません。

施術のときも、患者さんは迷っています。鍼をされたところが痛い気がするけど我慢した方がいいのか言った方がいいのか、わかりません。痛いとしても、問題のない痛みで10秒だけとわかっていたら我慢できるかもしれません。

あまり痛くなくても、それがいつまで続くのかわからなければ不安になって我慢できないかもしれません。
痛くない方が患者さんが安心するとは限らないわけで、どういう意味を持つのかわからないことが嫌われるのです。

患者さんは、鍼をされたときの違和感が気になっているのに、ツボの効果の話をされたら、その説明がいくら正しく有益な情報だとしても、二度目は遠慮したくなるでしょう。

このように考えているので、私は「患者さんを迷わせないように」というルールから出てくる言葉を最優先にしています。

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マッサージが上手だと触診も上手なのか


鍼灸師の間でも答えは真っ二つに分かれているので、ここには私の意見を書きます。私は、マッサージが上手だからといって鍼の触診が上手とは言えないと考えています。

人の体に触れたことがない人よりも、マッサージ経験がある人の方が触れることに慣れているというのはあります。また、マッサージを受ける人が気持ちよく感じているか、相手から好まれるような圧やリズムを意識しているので、それも好印象になると思います。

私は鍼灸師向けの勉強会を10年以上も続けていますが、その経験から確かだと思うことがあります。普段から業務でマッサージしている鍼灸師は、触診のときに揉むような動きが入りやすくなります。この無意識の動きがツボを探すときに邪魔になってしまうことがあります。

鍼灸における触診とは、刺鍼をする前のシミュレーションでもあります。刺した鍼は内部で自発的に動くことはありません。指でモゾモゾするように鍼が動くことは絶対にないわけです。触診と事前の触診は、同質なものでなければなりません。これが私の意見です。

鍼には鍼の手の使い方があります。ただ、それを教えてくれる先生は少なく「鍼が上手くなりたかったら、とにかく揉め」とアドバイスされてしまいます。いろいろな考え方があるので間違いとは言い切れませんが、私は、鍼灸師は鍼灸に特化した手の使い方を追求した方が近道だと思います。マッサージの練習をしていれば鍼が勝手に上手くなるというのは本当に幻想です。

具体的なところは動画でなければお伝えするのが難しいので、ここではここまでにしておきます。



コミュニケーションが苦手なのは勘違い


会話が苦手な鍼灸師もいます。「なんで鍼灸師になったんだよ?」と言わないでください。困っている人の助けになりたいと知識を蓄えながら、技術を磨いているのです。実際、すごく真面目で優しくて気遣いもできるのに、人気のない鍼灸師がいたりします。原因はちょっとコミュニケーションが残念なだけです。

何を隠そう、私自身が会話が苦手なタイプです。鍼灸師だから患者さんと会話ができるだけです。言ってみれば、鍼灸師という立場とスキルを使ってコミュニケーションができるように振る舞っているだけです。

たとえば、患者さんの背中側に立てば、患者さんと目を合わせずに会話ができます。頚や肩を触診しながら話をすれば自然です。美容師さんと似ていますが、正面に鏡がないので目が合うことがありません。患者さんが目を合わせられないシャイな人なら、私の方から背中に回って触診しながら話を続けるなんてこともあります。

また、この記事に書いてきたように会話上手を目指す必要はありません。施術に必要な意思疎通ができればよいのですから。ここでもう一つ大事な概念をお伝えすると心理的安全性です。患者さんが抱く「ここなら安心」という感覚であったり、鍼灸師の心の余裕のことです。

余裕というのは心の強さではなく設定で変わります。幅50cmの板の上は普通に歩けるのに、100mの高さに渡された幅50cmの板の上を汗一つかかず歩ける人はほとんどいません。幅50cmと条件は同じでも、設置してある場所が違うという設定を変えるだけで、できることが突然できなくなります。

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コミュニケーションも同じです。苦手意識がある人は設定が適切ではないのです。だから、設定を変えたらコミュニケーションが突然上手くなります。

こうした設定を学べる機会を作りました。最後の告知をさせてください。コミュニケーションのセミナーに参加することに抵抗がある人には特におすすめです。

詳しくはこちらをご覧ください。
特別セミナー『鍼灸師のコミュ力の高め方

日時:6月30日(日) 東京/御茶ノ水
講師:松浦哲也、栗原誠

鍼灸師のコミュニケーション能力を高める方法


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ツボの大きさは本当に500円玉サイズなのか?
公開:
要旨: 私の技術に対するモットーは再現性です。そんなの当たり前じゃないかと思われるかもしれませんが、ここに至るまで長い試行錯誤や葛藤があったのです。 説明するには学生時代まで遡る必要があります。できるだけ簡潔に書きますのでお付き合いください。 ツボは曖...
500円玉サイズ

私の技術に対するモットーは再現性です。そんなの当たり前じゃないかと思われるかもしれませんが、ここに至るまで長い試行錯誤や葛藤があったのです。

説明するには学生時代まで遡る必要があります。できるだけ簡潔に書きますのでお付き合いください。


ツボは曖昧で人によって違う?


鍼灸の学校に入って一番驚いたのは、ツボは人によって位置が違うと教わったときです。どんな先生に聞いても、学校の外でやっている勉強会に言ってもみんな同じ答えでした。決まったツボの位置に鍼をすれば同じ効果が現れると思っていた私は困惑し、将来が不安になりました。

入学前に期待していた鍼灸よりずっとあいまいな世界だったのです。また、先生によって理論も違います。同じ学派の中でも先生によって考え方が異なり、鍼灸師の数だけ理論と方法があると感じたのです。選択肢があまりにも多く、何を選べばよいのか途方にくれました。とはいえ、何も勉強しないわけにはいきませんから経絡治療系のところや、中医学系のところに通って勉強していたのです。


名人の世界はどこにある?


一本の道筋が欲しかったので、共通言語が比較的しっかりしている中医学系の方に進んだのです。ただ、カルテの上では納得できても、実際の臨床となると名人ならではの世界が待っていて、カルテから患者さんに目を移した瞬間から扱いようのない何かを感じてしまったのです。それが何であるかはっきりすれば、己を磨くことによって上がっていけるのですが、それが何だかわからいのです。

それを人間性で説明する人、経験の差で説明する人、勉強不足で説明する人、そもそも才能が違うと説明する人、本当にいろいろでした。どの説明も私を絶望に追い込むのです。苦労して入学できた鍼灸学校。将来に希望を抱いた20代の前半。その若さに突きつけられた現実はかなり残酷なものでした。

その残酷さを一言で表すなら、再現性のない世界でさまよい続けなければいけない恐怖です。

たた、周りを見ると私と同じように恐れている人がいなかったのです。鍼灸師というのは自分のやり方を追求していくものであると納得しているような空気が漂っていたのです。色々な勉強をして、自分なりに納得したものを自分なりに組み立てて自分なりのスタイルをつくっていけばいい。そんなことより、国家試験に向けての勉強が関心の中心だったように思います。


気の世界でツボを探す?


私は「ツボはミリ単位で決まっているもので、わずかに鍼を刺す位置が変われば効果が出ない」と考えていました。

学校ではその取り方を詳しく教えてもらい、その精度の差が技術の差になると思っていたのです。指先の感覚に自信がある人が鍼灸学校に集まると思っていたので、才能に付いていけるのか不安もありました。

私が抱いていたツボのイメージは勘違いだったのです。ツボに対する考えを私は改め、もっと大きく、もっと曖昧なもの、いわゆる「気」を探るように感性を磨いてくように努めました。

時には体に触れず少し離れたところからツボを探してみたりもしました。私の学生時代はこうして過ぎ去っていったのです。


国家試験に合格したのに嬉しくない理由


国家試験に合格して鍼灸師になりました。合格通知を見ても嬉しくありませんでした。不安しかなかったからです。

学生の間は「わからないなぁ」で済んでいても、免許を取ってプロになればわかる人と見られます。ツボはなんとなくしかわかりませんでは、患者さんに失礼ですし、そんな状態の私が必要とされるはずがありません。

いざ就職しようと思っても、東洋医学を勉強している鍼灸師は役に立たないと言われ、私の未来はどんどん潰されていきます。

整形外科でマッサージをする仕事をしながら、鍼灸整骨院にアルバイトで採用してもらい、そこで鍼灸ができることになりました。基本の業務はマッサージなので、患者さんから鍼灸の希望があったときだけ対応してね、という条件でした。


新人に起きた奇跡


新人の私に体を任せてくれる患者さんが1人、2人、3人・・・と増えていき半年たった頃には1日20人に届きそうになりました。鍼の効果を感じていただいていたのですが、私はどうして効いているのか、ツボが合っているのかわからないまま、気持ち悪い感覚のまま施術をしていたのです。本当は表で言っちゃいけない話かもしれません。

そんな私だったのに、なぜ患者さんが増えていったのでしょうか。本当の理由はわかりませんが、そこで私が何をしていたのかを書きます。

それは記録です。

「ツボは500円玉サイズ」と言われても最終的に鍼をするところは点なのですからミリ単位でココと決めなければなりません。

その都度、どういうふうにその位置を選んだのか、感覚も含めてできるだけ詳細な記録を取るようにしていました。その職場ではカルテが用意されていなかったので、個人的にノートを用意して患者さんごとに記録をしていました。

続けていると、同じところに鍼ができると同じような効果が出るように思えることがチラホラと出てきたのです。これが患者さんが増えるきっかけとなりました。

ただ鍼灸の希望者が増えることを経営者が望んでいなかったので、余計なことをしたということで、私は鍼ができない院に飛ばされてしまいマッサージが業務となってしまったのです。

そのあとすぐに辞めてしまいました。整形外科のマッサージの仕事も鍼灸ができないのでやめていました。


ニート系の鍼灸師になった


経緯は省きますが、家族の協力のおかげで実家の一室で開業することになったのです。半分ニートみたいな生活でしたが、私を頼って来てくれる方が現れ、1日数人程度ですが少し収入が生まれました。それまでかけてきたお金のことを考えると大赤字です。つべこべ言ってないでマッサージで食えという状況でした。わかってはいました。

これ以上、私の頑固さをアピールしても仕方ないので再現性に話を戻します。


ツボノートからツボネットへ


なんだかんだで、やっぱりツボをミリ単位で追求すれば再現性が手に入るのではないかという感触がどうしてもあったのです。お世話になっていた勉強会に隠れて、こっそり自分だけのノートを取り続けていったのです。

このノートが私の原点であり今でも続けています。それから20年が経ちました。ツボの位置を追求すれば再現性は得られると今では自信をもって言っています。この再現性は私の中に収まるものではありません。どんな鍼灸師がやって再現できるのです。

きっと私と同じように、曖昧な世界で苦しんでいる若手鍼灸師がいるのではないかと思いこのブログを書いています。14年ほど前から再現性を共有するためにセミナーを開いています。最初は私だけの秘密のノートだったものが、今では200人の会員と共有するところまでになりました。会員外を除けば、共有した鍼灸師は数え切れません。

その実績はツボネットに集まるような仕組みにして誰でもアクセスできるようにしています。ただ、詳細なツボの位置だけは画面で伝えられないので、正確な位置とそのツボの感触はセミナーで共有しています。

ツボネット

最後に告知になりますが、来週の日曜日(4/14)にもセミナー(整動鍼・刺鍼即応編)があります。
定員まで数名の空きがありますので、ツボの位置と再現性に興味がありましたらぜひどうぞ。

四肢編


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鍼灸師の上手さはつくれる
公開:
要旨: 今回は、上手い鍼灸師とそうでない鍼灸師はどこが違うのかという話です。私が上手さを追求してきたなかで、どこに着目しているのか、どういうことを上手いと思っているのかという話です。人によって何ができることを上手いと考えるかは違うので、私なりに意識して取り組ん...
鍼灸師の上手さはつくれる

今回は、上手い鍼灸師とそうでない鍼灸師はどこが違うのかという話です。私が上手さを追求してきたなかで、どこに着目しているのか、どういうことを上手いと思っているのかという話です。人によって何ができることを上手いと考えるかは違うので、私なりに意識して取り組んでいることを記していこうと思います。

鍼灸院や鍼灸師を選ぶときの参考になれば嬉しいです。同業の鍼灸師の方もぜひ一読ください。ヒントになることを書こうと思います。私は、鍼を刺すであるとか、灸をすえるという動作ではないところに上手さの本質があると考えています。


丁寧さをつくる


技術の基本はなんと言っても丁寧さだと思います。心がけの話をしても仕方ありませんので、丁寧さが具体的にどういう所作から生まれるのか、という話を書きます。

①予告をする


触れる前に「触れますね」と言うのと言わないのでは印象がまるで違います。この仕事に慣れてくると、手が勝手に患者さんの体に触れてしまいがちですが、触れられる方は慣れているわけではありませんので、しっかり言葉がけをしてから触れるようにして驚かさないようにすることが大切だと思います。

触れるだけでなく、患者さんの後ろなど見えないところに移動するときも予告をするように心がけています。手元のカルテにメモをするとき、鍼灸の道具の準備をするときも、初めての患者さんは「何しているのだろう」と不安の種になってしまうことがあるしょうから、言葉に出してから行うようにしています。

②面から触れる


指先からグッと押すような触れ方は絶対にしないようにしています。目的の患部がピンポイントであっても、患者さんの体のどこかに手にひらなどを触れてから、指先を患部に持っていきます。指先で怪我から触れたからいって怪我するわけではありませんが、指先には爪がありますから患者さんの警戒心を刺激してしまいます。

学校で教わっていることかもしれませんが、慣れてくるとテキトーになりやすいので、経験を積んでいる鍼灸師ほど気をつけた方がよいです。

③手掌の真ん中から動かす


指の第一関節を曲げると、いわゆる鷲づかみになります。誰もが攻撃性や威圧感を感じます。爪が立つので爪が刺さるような印象になります。爪を短く切っていてもです。爪をちゃんと短く切っているのに痛いと言われるのはなぜだろうと思っていたら、第一関節を曲げる力で押していないか見直してみるとよいです。

では、どこから曲げるかといえば指の付け根の関節であるMP関節です。意識は手のひらの中央を意識するのがよいと思います。

鍼灸師の手の使い方(MP関節から曲げる)

ここには労宮というツボがあります。労宮に玉をおいて、その玉を手のひらで掴むような動かし方です。ベテランの鍼灸師でもやっていないことが多いので、新人のときに身に着けてしまうと、ベテランを凌ぐ丁寧な触れ方ができるようになります。


④指先でグリグリしない


基本は圧はまっすぐがよいです。圧を加えた指の第一関節を使って硬結(筋肉の硬さ)を探そうとすると、グリグリしているような印象になってしまいます。違うと思ったら、圧を抜いて少し位置をずらして圧を入れ直すようにしています。

⑤ゆっくり圧を抜く


ゆっくり圧を入れていくことは、あまりにも常識なので省略して、圧を抜くときの注意点のみを書きます。いろいろな鍼灸師に触診をしてもらう機会があるのですが、指をパッと離してしまう方がいます。本当にもったいないです。指の圧が抜けたときの反動で筋肉が緊張してしまいます。患者さんが座っている状態であれば、患者さんの重心を揺らしてしまいます。


■リズムをつくる


患者さんは担当することになった鍼灸師との相性を気にすると思います。どうにもできない相性はあると思いますが、リズムを合わせることによって、相性がよいと感じてもらえることが増えると考えています。私は患者さんによってリズムを変えています。患者さんの動くスピードやしゃべる速度に合わせるようにしています。

性格的に起因するリズムだけではありません。腰が痛くて動きが鈍くなっているときは、私もゆっくり動くようにしています。


■協力関係をつくる


施術は、施術者が患者さんに何らかの刺激を与える一方向的なものに思いがちです。私は、患者さんに協力してもらうように積極的にお願いしています。

手に触れるときは、私から触れに行くのではなく、患者さんに手を差し出してもらうように声がけします。こうするだけで、患者さんは施術の参加者のひとりになります。患者さんの協力をさりげなく引き出すことで、施術はスムーズになります。流れのよい施術は上手く感じます。


■感覚を共有する


私が新人であったとき、感覚の共有をしっかりやっている鍼灸師があまりいないことに気が付きました。臨床経験が少なくても感覚を共有することで上手く思われやすいですし、実際に上手くなります。患者さんが感じている痛みや違和感をピンポイントで触れるだけです。「このあたりですね」とエリアで把握する鍼灸師が多いので、私はミリ単位で「ここですか?」と確認するようにしています。

「ま・さ・に、そこです!」

と言われたらOKです。


■鍼と灸をする前に上手さが決まる


ここまで読まれていかがでしょうか。鍼や灸などの道具のさばき方を問われる前に、上手さを決める要素がたくさんあると気づいていただけたでしょうか。

もしかしたら「心がけ」というふうに思われるかもしませんが、すべて具体的なテクニックがあります。練習さえすれば獲得できる上手さです。

ひょっとしたら、こういうことは師匠のもとで見て学ぶことかもしれませんが、きちんと要素に分けてトレーニングすると数ヶ月で劇的に上手さが変わります。実際に社内研修で指導していて成果が出ています。


■活法から学んだ上手さ


体の使い方や触れ方の原則は「活法(かっぽう)」という古武術由来の整体術をお手本にしています。施術が劇的に上手くなる鍼灸師が多いのですべての鍼灸師におすすめしたいものです。活法から学んだ上手さはすべて「患者さんがどう感じるか」がベースになっているので、成果はすぐに評価として返ってきます。

活法にはいろいろな技があり、その技に取り組むことによって自ずと上手さが身についてきます。なぜかといえば、ごまかしが効かないからです。ここに書いたことを意識してやらないと技が上手にできないからです。技が上手くできてるかどうかは、受け手も術者も見ている人もわかります。

鍼灸は「鍼を刺す」と「灸をすえる」という行為の印象ばかりに意識が向いてしまい、他の要素に意識が回りません。

私は鍼専門のように見られますが、触れ方や体の使い方の基本は活法ですし、動きを整えるという活法の視点でツボ選びをしています。「活法はいつ使っているんですか?」と聞かれることが多いのですが、私の基本は活法ですから、答えは「常に」です。

活法の個別の技もたいへん便利で効果的なので、鍼をする中でさりげなく紛れ込ませて使うことがあります。ヒーローの必殺技のように技名を叫びながら使っているわけではないので、空気のようになっています。

先日、鍼灸師の仲間と活法の勉強を品川で行いました。

そのときの練習風景を紹介して終わります。

名人が何気なく使っている技法が言語化されているので、見て盗む必要もありません。10年、20年かかって気づくような大切なことが、その場でわかります。もちろん、“わかる”と“できる”は大違いですが、上手さの意味がわかればすぐに具体的な練習を始められます。

練習が終わると「面白った」という感想ばかりです。上達を実感しやすいのも活法の魅力です。

活法(三角筋の補助)

鍼灸師のセミナーですが、こんなふうに鍼を使わずに手で患者さんにアプローチします。これは、肩が痛い人に対して三角筋の働きを補助するようなテクニックです。患者さんが脱力できる安心感を作り出すようにします。


活法の触れ方(肩関節の牽引)

患者さんの手を引くときの手つきの一例です。患者さんの手のどこに、どうやって力を加えればよいのか考えながら練習します。これは手根骨に力を伝えています。術者の方は手の指を握り込まず、必要なところだけに握っています。この例では第4、5指は握っていますが、第2、3指は開放しています。ちゃんと意味があります。


活法の触れ方(手に触れる)

これも実技指導の一コマです。いつでも、患者さんの体に触れる時はふわっとなるようにしています。指の第一関節を曲げてつかみにいかないようにしています。


活法の触れ方(離れ方)

患者さんの体から離れるときの手の使い方です。はじめて知ったときは衝撃が走りました。背中に当てている手のひらをパッと離すと、患者さんは後ろに引かれるような感覚になって、ほんのわずかですが重心が後ろに引けてしまいます。それを防ぐために指の背面を当ててから離れます。不思議なくらい自然な離れ方になります。

こうしたテクニックはさりげなく使うものですから、患者さんにテクニックとして認識されることはないと思います。「触れ方が上手」であるとか「触れ方が自然」という印象、つまり上手いと感じます。

ツボ選びも刺鍼も鍼灸師の腕の要素ではありますが、触れる前、触れる時、離れる時、どの場面においても上手さは存在しています。私は運よく活法に出会って触れ方の初歩を学ぶことができましたが、こうしたコツを知らずに悪戦苦闘している鍼灸師もいます。

活法は世界に誇れる日本の技術であり作法です。一人でも多くの鍼灸師に届けるために、ささやかではありますが普及活動を続けていきます。


マキタの掃除機で掃除新しく買ったマキタの掃除機、いい感じ♪

最後までお読みくださりありがとうございました。

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鍼灸の疲労回復効果
公開:
要旨: 疲労回復力を高める 鍼灸師をやっていると、鍼灸の疲労回復効果がすさまじいと感じます。鍼灸は「自然回復力を高める」と表現されることもありますが、私個人の感覚では「疲労回復力を高める」の方がしっくりきます。 鍼灸の効果というものは疲労回復に集約されるのではない...

疲労回復力を高める


鍼灸師をやっていると、鍼灸の疲労回復効果がすさまじいと感じます。鍼灸は「自然回復力を高める」と表現されることもありますが、私個人の感覚では「疲労回復力を高める」の方がしっくりきます。

鍼灸の効果というものは疲労回復に集約されるのではないかと言ったら言い過ぎかもしれませんが、そう考えた方がすんなと現代社会のニーズの中に溶け込める気がするのです。

どういうことかと言うと、病気と鍼灸の関係で語ろうとすると制約が多いのですが、疲労回復と鍼灸の関係で語る場合、大きな制約がありません。このあたりを整理しながら、疲労回復において鍼灸が果たす役割について書いてみます。

疲労


医学の舞台から降ろされた鍼灸


もともと鍼灸は医学として始まっています。「病気を治したい」という願望や「長生きしたい」という欲望が元になって生まれています。鍼灸は2000年以上の歴史がありますが、古典に書いてあるのは主にこの2つです。

歴史的には医学であった鍼灸は、江戸時代が終わる頃から医学の中心から外れ、明治になる頃には舞台から降ろされてしまいました。昨今、鍼灸が見直されているとはいえ、免許制度のない整体と同じ「医業類似行為」に分類されることもあります。

鳥獣戯画

脳科学が拓く? 新しい鍼灸の舞台


個人的には、鍼灸が最先端医学として脚光を浴びる日が来ると信じているのですが、もう少し時間がかかるでしょう。。そういう時代がやってくるとしたら脳科学の分野から鍼灸が評価されるときだと思います。これまでの鍼灸の研究は、鍼を指した局所で起こる生理的な変化を追ってきたわけですが、鍼灸の本質は刺鍼した局所ではなく、身体全体を統合している脳の機能変化にあると思います。

足のツボに鍼をして、便秘や下痢が改善することを、刺鍼した局所の効果から説明するのはむずかしいです。それより「嫌なことが迫ってくると下痢をする」という反応に近いと考えています。

「鍼灸なんてプラセボでしょ」と揶揄する人もいますが、実は時代を先取りした称賛とも言えます。鍼灸ほどプラセボを上手に引き出せる方法はないかもしれません。この時代、プラセボをまやかしとして扱うのではなく、むしろ積極的に利用すべきだと考える時代です。

脳が証明する効果

なぜ自然治癒力ではなく疲労回復力なのか


自然治癒力を否定したいわけではなく、実感しやすいのはどっちだろうと考えたら疲労回復力の方ではないかと思うのです。それは鍼灸の現場でよく感じます。鍼を受けている最中に眠くなってしまう患者さんが本当に多いのです。鍼を刺したまま10分程度、施術用ベッドに横になっていただくことがありますが、眠ってしまう患者さんは珍しくありません。たった数分の睡眠なのに、1時間ほど寝ていたように感じる方もいらっしゃいます。

寝ることが、肉体的にも精神的にも疲労回復を促すことは説明するまでもありません。病気や怪我の回復も疲労回復が基礎になります。疲れきった状態のまま病気や怪我が速やかに治ることはありません。

厳密に言えば、しっかり疲労回復を定義する必要がありますが、話が複雑になるといけないので、あえて入り込むことはしません。雑な表現であることを承知でいえば、鍼または灸の施術を受けて病気や怪我が治っていくのは、体内に蓄積していた疲労が軽減するからと考えることができます。


疲労ポイントを探す


こうした前提に立てば、上手な鍼灸師は疲労ポイントを見つけられるのが上手いと言えるわけです。たとえば、身体に感じるコリも疲労感の一種と言えますし、そういう具体的な疲労の証拠を触れながらつかんでいくわけです。

疲れは自覚できているとは限りません。自覚のない疲れを見つけて軽減させるのが我々鍼灸師の仕事ということもできます。

発見

疲労回復と睡眠


鍼灸を受けると眠くなることからも、単純に睡眠の質が高まっていると想像できます。その睡眠の質とはなんだろうと考えたとき、その定義をするのは専門家でも難しいようです。

快眠の定義を生理学的な条件で考えると次のようになるそうです。

①睡眠中と判断できる脳波がでていること
②ステージN3と言われるレム睡眠がしっかりでていること
③中途覚醒がないこと

ただ、実際の「よく眠れた」という感覚とは一致しないこともあるそうで、一筋縄ではいかないのが睡眠。まだまだわかっていないことが多いようです。なんだか鍼灸とよく似ています。「効果の高い鍼灸」も定義がむずかしいのです。

質の高い睡眠ほど、疲労状態から回復させてくれることは明らかですから、鍼灸が質の高い睡眠を促すことが証明できたら、鍼灸の疲労回復効果も示せます。

疲労回復

睡眠と脳波


睡眠を改善させる技術が「スリープテック」と言われています。スマートウォッチなどで睡眠の状態を計測できるようになってきました。私もスマートフォンのアプリで自分の睡眠状態を調べてみたことがあります。ただ、その多くは睡眠の状態を推測しているだけで、きちんと調べようと思ったら睡眠中の脳波を調べなければならないそうです。

そこで、自宅で睡眠中の脳波を計測するプロジェクトを私が運営する団体(整動協会)で立ち上げました。睡眠中の脳波を鍼をする前と後で比較します。40症例を集める準備がすでに整っています。

睡眠と脳波

睡眠のツボ


「不眠症に効くツボはどこですか?」

いろいろな人から聞かれそうです。眠れない原因が一つであれば、どこか特定のツボが不眠症のツボになりますが、そんなことはありません。

「夜中に腰が痛くて目が覚めてしまう」という人であれば、腰の痛みを取ることが快眠への第一歩となるでしょうし、「耳鳴りが気になって眠れない」という人であれば、耳鳴りを取ることが第一歩になるでしょう。

人それぞれ眠りを誘うツボが違います。とはいえ、ある程度のパターンに収めることも可能だと思っています。そこで私が提唱しているのは「身体の置き場」という考え方です。

壺


睡眠と姿勢


たとえば、眠れないときほど枕が気になると思います。本当に眠いときはどんな枕でも眠れてしまいます。もちろん、枕が自分に合っているかどうかは大切ですが、身体が寝具に溶け込みやすい状態であるかが眠りの質を左右すると考えています。

こうして考えると、寝やすい姿勢を取れることが快眠の条件になります。姿勢は起きているときだけの話ではなく、寝ているときも大切です。

真っ直ぐな姿勢がよいという話は、姿勢の良し悪しを語る一つの側面でしかなく、本来は状況や環境に適応できている姿勢がよい姿勢であり、色々な姿勢を取れることが健康的です。

具体的な話をすると、寝やすい姿勢の基本になるのが、頭の置き場です。頚部の可動性に問題がなければ頭の置き場にも自由度がありますが、頚が動かないと頭の置き場が見つからず、合う枕も見つかりません。

頚の柔らかさを取り戻すことが、快眠への入り口になります。もちろん全員に当てはまるわけではありませんが、感覚的には9割の人には当てはまります。

頚の筋肉を柔らかくするツボが、結果的に不眠症に効くツボになります。

このような考え方を基にすれば、他にも肩関節や腰部の周辺を柔らかくするツボが、結果的に不眠症に効くツボになります。具体的なツボの話は専門的になりすぎるので、またの機会にしようと思います。

結論として、睡眠の質を高めて疲労回復を促すことは、どんな症状においても有効です。逆に言えば、睡眠の質を高めることができなければ、鍼灸の本来のポテンシャルを活かしきれないでしょう。

寝相

睡眠と呼吸


最後に呼吸について書きます。呼吸の状態は睡眠時も大切です。世の中には様々な呼吸法がありますが、睡眠中は呼吸をコントロールできませんので、身体のコンディションがそのまま出る時間です。

この呼吸においても鍼灸が有効です。呼吸に関わる筋肉や関節を整えると深い呼吸に導けます。これも色々な観点があるのですが、特に重視しているのが鎖骨です。息を吸ったり吐いたりするとき、鎖骨に触れてみると動いているのがわかります。

鎖骨の周りに鍼や灸をしたら鎖骨の動きがよくなるのかといえば、そんなに単純ではありません。鎖骨と連結している肩甲骨も考慮しなければなりませんし、頭蓋骨につながっていく胸鎖乳突筋も重要です。

寝息


やわらみ


このように、姿勢と呼吸は睡眠と密接に関わっています。この3つの視点から身体を整えることができると、病気や怪我が治りやすい条件が整います。どんな症状に対しても使える基本の考え方です。東洋医学の考え方とも、現代医学的な考えとも矛盾はしません。

姿勢、呼吸、睡眠が整った状態の身体を私は「やわらみ(柔身)」と表現しています。どんな症状であってもやわらみの方向を目指して調整をします。

私は整動鍼というコンセプトの理論と実践を提唱して、同業の鍼灸師の方々に伝えていますが、調整のベースとなる考え方はこのやわらみです。

この考え方と実践方法を一つのパッケージにして、新しいセミナーをつくってみました。すでに整動鍼を始められている方にとっては「腹背編」「身心和合編」「経絡原糸編」などで伝えている内容を初学者向けにわかりやすく噛み砕いたものとなります。整動鍼の入門版として提供することにしました。

学生や鍼灸師3年目くらいまでの方にとっては、わかりやすく使いやすい内容です。経絡も気も使いませんし、特別な手技も使いません。呼吸と姿勢に関わる重要ポイントを理解して正確な位置に鍼をするだけです。誰でも再現できる方法です。

呼吸、睡眠、姿勢

海外✕鍼灸


このやわらみは、これから海外で鍼灸をしたり、日本で外国人を相手に鍼灸をしたい鍼灸師に積極的に使ってもらいたいと思っています。英語教師の宮口一誠先生と「AcuEigo(アキュエイゴ)」というパッケージをつくってみました。詳しくはこちらをご覧ください。

AcuEigo

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運動連鎖の鍼灸理論(身体の連動とツボの関係)
公開:
要旨: 鍼灸師には色々なタイプがいます。私はどういうタイプかというと運動連鎖に関心が強く、鍼灸師が使える理論の構築に使命感を抱いています。今回は、専門家向けの内容に偏りますが、専門知識を持たない人でもわかるように努めて書いてみます。 運動連鎖を研究する意義は何...
運動連鎖の鍼灸理論とは何か

鍼灸師には色々なタイプがいます。私はどういうタイプかというと運動連鎖に関心が強く、鍼灸師が使える理論の構築に使命感を抱いています。今回は、専門家向けの内容に偏りますが、専門知識を持たない人でもわかるように努めて書いてみます。

運動連鎖を研究する意義は何なのか、鍼灸にどんなメリットをもたらすのか、丁寧に説明します。読み終わった頃には鍼灸のイメージが大きく変わるかもしれません。パラダイムシフトを目指して今年もがんばっていきます。

さっそくなのですが、昨年の年末ににX(旧ツイッター)投稿したポストをご覧ください。



肩こりは多層構造


このCGを見るとわかるように、肩の筋肉は多層構造になっています。肩こりを招く筋肉の代表格として僧帽筋を取り上げる場合が多いのですが、僧帽筋だけで説明できるほど肩こりが簡単なものでないことが一目瞭然です。むしろ、僧帽筋に覆われた深層の筋肉こそ肩こり解消の鍵を握っています。

鍼は深いところに刺激が届くということで、しつこい肩こりに対して「マッサージより鍼の方が…」と鍼のメリットを唱える人もいます。確かに皮下に鍼先を届けられるのは鍼だからこそで否定しようのないメリットです。ただ、際限なく深く刺入できるわけではありません。


深く効かせるワザ


患者さんと話をしていて、深い鍼ができる鍼灸師の方が腕があると勘違いされていると思う場面があります。安全に深刺しできることも技術の一面ですが、そう簡単ではないところが鍼治療です。

鍼治療は痛い部分に直接鍼をするばかりではありません。ツボを利用して、深部に効果を届けることも鍼治療です。そうした知恵を集結したものがツボ理論があります。もっとも有名なものが経絡(けいらく)という学説です。

この学説は、たとえば手にあるツボを使って腸の働きを整えたりと刺鍼点とは離れたところに効果が及ぶことを説明するのに便利です。古典的な理論はこの経絡一択と言ってよいほど影響力を持っています。私たち鍼灸師は必ず学校で経絡学説を習っています。

鍼灸が発展してきたのは、紛れもなく経絡学説のおかげです。鍼治療は物理療法でありながら、物理療法を超えた方法であると言えます。

ここで伝えたいのは、ツボの遠隔作用を使えば深部の筋肉に効果を届けることができるということです。この作用を最大限に利用することが鍼灸師の面白さだと考えています。安全に深部に効果を届けることができます。もともと鍼灸の鍼は注射と比較すれば驚くほど細いのですが、浅めの刺鍼で済むならなおさら安全です。


経絡の限界


ただ、そう簡単にはいかないのです。なぜなら、経絡学説は筋肉を対象としたものではなく、内蔵を対象とした理論だからです。頚や背中の細かな筋肉に効果を届けようと思っても、経絡は筋肉に対して緻密ではありません。今風に言えば、筋肉に対しては解像度が粗すぎるのです。

経絡学説には欠陥があると言いたいのではありません。そもそも、経絡は筋肉系の学説ではなく、内臓系の学説なのです。ですから、関節や筋肉を得意とする鍼灸師の多くが経絡学説よりも解剖学を拠り所にしています。患部の筋肉や周辺の神経の走行を考えながら刺鍼点を決めています。

私の立場からも経絡は絶対的な学説とは言えません。鍼灸理論の発展を願うなら、経絡を尊重しつつその限界を探る姿勢が大切だと考えています。


運動連鎖を利用して筋肉と関節を整える


前置きが話が長くなってしまいましたが、鍼の最大のメリットは深部にある患部を直接刺激できることでなく、ツボの効果を利用して深い部分に作用を届けられることにあると考えています。頚や肩の深い筋肉に対しても、手や足など離れたところにあるツボからアプローチできます。

とはいえ、言うは易し行うは難しです。筋肉や関節を調整するための理論がないからです。ターゲットになる筋肉に作用するツボがどれになるのか、それを示す地図がありません。内蔵とツボの関係を示したのが2000年以上前に記されていた前述の経絡ですが、その後、筋肉とツボの関係を示した精微なものは出ていないのです。

そこで着手することにしたのです。それがおおよそ12年前です。その基本となる考えは連動です。この筋肉がはたらいているときは、どの筋肉が一緒にはたらくのだろうと考えていきます。細かなことを言えば、筋肉単位ではなくもっと細かな単位で調べていきます。

背中の筋肉に鍼をすると、頚の筋肉が柔らかくなるなどの変化が起こるのですが、その変化はピンポイントで出現します。その変化には規則性があって、その規則性を追っていくと、頚椎の◯番に出ている問題なら胸椎の◯番で調整できるといった具合に対照表をつくれます。


膨大な検証


この調査は時間もかかるし手間もかかります。孤独な作業です。その孤独を解消するために、成果を発表するセミナーを行うことにしました。私自身が何度も検証して再現できるものをセミナーで全国の鍼灸師と共有しました。私だけができるのと誰でもできるのでは意味も価値もまったく異なります。

誰でも再現可能という普遍性が評価され、続編を希望する声が高まりセミナーはシリーズ化していきました。それが整動鍼です。ありそうでなかったツボと動きの関係を解いた理論なのです。この理論を手にすることで、運動器疾患に対する手が広がります。

一見すると関係のないところに鍼をすると、肘や膝がよく曲がるようになったりするので患者さんが驚きます。動きがよくなると痛みも同時に軽減します。関節や筋肉の調和が取れて、筋肉や関節に余計な負荷がかからなくなるからです。


整動鍼の症例3000以上を無料公開


実際に出ている成果を示したのが「ツボネット」です。こちらのサイトには3000症例以上がアップロードされています。どんな症状に対してどんなツボを使ったのかわかります。

すぐにお気づきになると思いますが、症例は筋肉や関節の問題ばかりではありません。胃腸やメンタルのトラブルなども多数あります。筋肉や関節の状態は内臓の調子と深い関わりがあるため、整動鍼で胃腸やメンタルの調整もできます。

ツボネットの症例は3000以上

他にも、突発性難聴など顎関節の影響を受けやすい耳の症状なども整動鍼の守備範囲になってきます。筋肉や関節の状態は深く内臓と関わっているためです。これこそまさに経絡学説が示す鍼灸の効果です。つまり、整動鍼は従来の鍼灸の効果はそのまま活かしながら、動きとツボという新しい関係に挑戦し適応範囲を大きく広げることに成功したのです。


鍼だからできる緻密な調整


頚こりや肩こりも、結局は他の筋肉との調和が乱れてしまった結果です。腰との調和が乱れていたら腰にあるツボが決め手になります。腕との調和が乱れていたら腕にあるツボが決め手になります。

ポストの動画でご覧頂いたように、頚や肩の筋肉は何層にもなっていて緻密にはたらいています。この緻密さに対応するような緻密な連動が隠れています。こうした連動を理解すればするほど、緻密な調整ができるようになります。この緻密な調整は鍼だからこそ可能です。

「運動連鎖」という言葉からイメージするより、かなり細かいと思います。


学び始めると止まらない


同業の鍼灸師から「難しそう」と言われることもあります。1日でマスターできるほど簡単なものではありませんが、マスターしてしまえば難しい症状に対応できるようになります。テーマに分けてカリキュラムを用意しているので、段階的に連動を扱えるようになっていきます。

臨床で使ってみると面白くなって止まりません。

現在でも理論は発展していますが、カリキュラムが膨れすぎないように10編できたところでストップをかけました。流れに身をまかせて鍼灸師向けのセミナーをやってきましたが、これからのことを考えると、連動を緻密に調整できるからこその効果をもっとアピールしていくことが大切だと思っています。どうしたらアピールできるのかと考えたとき、やはり独自の効果があることを示していかなければならないと思うのです。

年末にも触れたのですが、理論と技術を具体的なサービスに昇華できるように努めていきます。もちろん従来の施術もやっていきますのでご安心ください。

最後になりますが、

整動鍼を学んでみたいと思った鍼灸師の方は、1月28日(日)の刺鍼即応編が手頃なので、ぜひご検討ください。残りわずかですのでお急ぎください。鍼灸の全く違う世界を案内します。

▶詳しくはこちら

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2024年の挑戦(4)疲労回復と(5)アスリート支援
公開:
要旨: 大晦日、ブログを書いて締めくくろうと思います。 前回の続きになるのですが、来年2024年の活動予告です。 ①コラボセミナー ②鍼灸院の多言語化の促進 ③整動鍼の数値化 ④疲労回復を目的としたパッケージの作成 ⑤アスリート支援 ③まで済んでいるので今回は④と⑤をまと...
大晦日、ブログを書いて締めくくろうと思います。
前回の続きになるのですが、来年2024年の活動予告です。

コラボセミナー
鍼灸院の多言語化の促進
整動鍼の数値化
④疲労回復を目的としたパッケージの作成
⑤アスリート支援

③まで済んでいるので今回は④と⑤をまとめて行います。
年末のお忙しいときにこの記事を読んでくださっている方、なんて良い人なんでしょう。

ではさっそく④について。


疲労回復を目的としたパッケージの作成


これまでも、患者さんの希望に応じて疲労回復のお手伝いをしてきたのですが、そんなに気合を入れて来なかったというか、しっかり説明して来ませんでした。なぜかといえば、鍼灸が疲労回復によいことは当たり前になりすぎてしまっていて特別なトピックではなかったのです。

でも、世の中を見渡してみれば「自律神経」や「ストレス」「睡眠」などの言葉が踊っていて、すべて鍼灸が得意としている分野なのです。こうした現代人が陥りやすい身体の悩みへの受け皿をしっかりつくります。

情報発信に向けて、配布リーフレット、ウェブサイト用のコンテンツもつくっていきます。施術の実績とノウハウはあるので、あとは一般的な知識や最新のトレンドもしっかり頭の中に入れて準備をしたいと思います。

そのために用意した本がたくさんあるので、年末年始に読めるだけ読んでみます。

睡眠の関係する書籍

施術のメソッドは整動鍼でつくります。自律神経のツボも、ストレスのツボも、そして睡眠のツボもありません。わかりやすいように一般向けの本にはそう書いてありますが、要は対象となる患者さんが抱えている問題に対して最適なツボを選べるかどうかです。そういう話は専門的でむずかしいので、一般の人が読む本には書いてありません。


施術のメソッドが完成したら、同業者と共有します。

やわらみのロゴ

すでにロゴやコンセプトはまとまっています。「やわらみ」と名前も決まっています。しっかり中身を整えるだけです。同業の鍼灸師向けのセミナーが決まっているので、それまでに最高のものを作ります。

前回の記事で数量化の話を書きましたが、実は睡眠中の脳波を鍼施術の前後で比較するなどのアイデアがあり動き始めています。


アスリート支援


次に⑤のアスリート支援について

これは昔から言ってきましたし、今でもやっているのですが、整動鍼の特性を出し切れていないというか、整動鍼でなければできないところが伝わっていません。動きを整えるという整動鍼のコンセプトは、アスリートの相性が本当によいのです。

整動鍼の創案者である私自身がスポーツ専門の鍼灸院をやってないので、アスリートに知れ渡っていません。そこを打破したいと思って、特化したサービスの開発に向けて動き始めています。

ある意味では手広くなりますし、ビジネス色が濃くなるとも言えます。鍼灸院の領分を忘れて…と批判されるかもしれません。しかし、鍼灸師の可能性を後進に見せる意味でも、既存のイメージにとらわれない活動をしたいと思うのです。

こうして外向きに行動を変化できるのも、ベースとなる技術を20年かけて整理してきたからです。手持ちのカードを世に出すタイミングをようやく迎えられたということです。

2024年は攻めの年になることは間違いありません。
それではよいお年をお迎えください。


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2024年の挑戦(3)整動鍼の数量化
公開:
要旨: 力の配分 整動鍼はツボと動きの関係を用いて行う鍼治療のことで、10年前から理論構築に着手して今年に一区切りしました。もちろん、鍼治療の理論に終わりはなくこれで終わりにするつもりはありません。 しかしながら、私自身のリソースを考えると、さらに理論構築に全力を...
整動鍼の数量化計画

力の配分


整動鍼はツボと動きの関係を用いて行う鍼治療のことで、10年前から理論構築に着手して今年に一区切りしました。もちろん、鍼治療の理論に終わりはなくこれで終わりにするつもりはありません。

しかしながら、私自身のリソースを考えると、さらに理論構築に全力を尽くすよりも、多くの鍼灸師に使ってもらえるように努めることに配分を傾けた方がよいのではないかと考えています。できるなら、マーケティングに詳しい人を仲間に引き込みたいです。今は工場で働く技術屋ばかりで営業マンがいない会社みたいな状況です。

ないものを求めても仕方ありませんから、今できることを考えると効果の数量化です。患者さんの体験を集めたり、症例を蓄積していますが、効果を数値化することに関しては手を付けていません。数字で効果を示せなければ「存在しない」とのと同じという人もいます。そういう厳しい意見にもしっかり耳を傾けていこうと思っています。

数量化する方法はいろいろあって、痛みがどれくらい減ったのか、症状がどらくらい減ったのか、患者さんにアンケートを取って集計する方法もあります。お金がかかりませんので、いろいろなところで行われています。


客観的なものに


ただ、どうしても主観が多く入り込んでしまうので、もっと別の方法はないかと考えたくなるのです。文章を書き始めておいてアレですが、そのアイデアはまだ表に出せません。2つの方法が浮かんでいて、その可能性を探りながら進めています。

もちろん、形になったら、このブログでも発表していこうと思います。むしろ、積極的に情報を表に出すようになるでしょう。

「鍼灸みたいなものは信じない」という人を時々見かけます。すでに世界中で鍼灸の効果を裏付ける論文が発表されているのに、信仰の対象だと思う人がいるというのは、まだまだ数量化が足りないということです。


研究とお金


研究機関で働いているわけではない鍼灸師にとって、いくら研究しても、いくら数量化しても、それが収入になるわけではありません。きれいごとでは語れない、生々しい現実もあります。従業員に研究を任せても、その給料は患者さんからいただく施術料から捻出しなければなりません。「研究するので施術料を上げました」と患者さんには言えません。

そこで、私が主宰している整動協会の会費の一部を数量化に充てることにしました。数量化で信頼性を高めて、会員である鍼灸師と患者さんとの間の信頼関係を強化できると考えています。

数年前までは、協会の普及のために活動する役員がいて報酬が支払われていたのですが、体制が変わり、私を含めて完全無報酬の運営に切り替わりました。会の運営にかかる事務や会計などにしか費用がかかっていないので、少しまとまった金額がプールできました。とはいっても、小さな団体ですから、油断をすればすぐに消えてしまうので気は抜けません。

協会とは別に会社の方でも予算を用意しました。うちの事業は鍼灸院経営とセミナー運営の二本柱なので、売上の一部を数量化のために投資に差し向けようと思っています。利益に直結させないといけないので、数量化自体が利益を生み出す新しい事業の準備を進めています。


経営者に向いていない


ここまで書いていて思うのですが、臨床以外にやることがいっぱいです。もしかしたら、臨床に使う時間も削らなければいけないかもしれません。

経営者という立場からすれば、私が臨床の現場に立たなくても成り立つ状況を作り出さなければなりません。

そんな割り切りができないから、ずっと現場に居続けてきました。現場に執着するのが私の欠点です。もっと経営者としてやるべきことがあります。ただ、そう割り切れない性分なので、臨床から完全に離れることは当分ありません。今後もよろしくお願いします。

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はりきゅう養気院(群馬県/伊勢崎市)
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2024年の挑戦(2)鍼灸院の多言語化の促進
公開:
要旨: 海外から近く感じる鍼灸院 我が社には、英語、中国語、アラビア語、スペイン語ができる鍼灸師がいます。このメンバーの能力を最大に活かすためには、外国人の受け入れを積極的に行うべきなのです。 鍼灸院は群馬と東京にあるわけですが、東京は品川駅から徒歩圏内にあるので...

海外から近く感じる鍼灸院


我が社には、英語、中国語、アラビア語、スペイン語ができる鍼灸師がいます。このメンバーの能力を最大に活かすためには、外国人の受け入れを積極的に行うべきなのです。

鍼灸院は群馬と東京にあるわけですが、東京は品川駅から徒歩圏内にあるので羽田空港と近く、海外から見たら抜群の立地です。これまでも海外の患者さんを受け入れているのですが、2020年~2022年は訪日する外国人が少なかったので来院がほとんどありませんでした。

今年2023年に入って動きが出てきたものの、まだまだ集客が課題です。どうやって集客したらよいのか、その部分で模索中です。そもそもの情報発信の部分で取り組んでいかないといけない段階です。


英語学習


基本的には英語圏の患者さんの対応はうちのメンバーに任せていくのですが、私も担当していこうと思っています。そのためには、私も英語を学ばないといけません。強制的に環境を作り出すことで学ばざるを得ない状況にもっていきます。

そこで、前回のブログで紹介した宮口先生の助けを借ります。ここでは親しみを込めて宮口くんとここでは呼びます。宮口くんの英語レッスンを予約しています。現場で使う英語を中心に教えてくれます。それだけでどうにかなる話ではありませんから、毎日少しずつですが、英語に耳を慣らしています。

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』なら、日本語字幕なしでも内容がわかります。10回以上観ているのでストーリーと会話の内容を完全に覚えているだけです(笑)


学ぶのをやめるときが老い


若くもないのに英語を勉強し直すことには、抵抗があるのが本音です。英語を使わないで、このまま人生の終わりに突入していっても問題はないわけです。私の心を奮い立たせるのは、私のセミナーに来てくださるベテランの鍼灸師たちです。私より歳も歴も上の人が、新しい技術に挑戦する姿に心を打たれています。

学ぶのをやめるときが老いなんだろうなぁと思うわけです。もちろん、年齢は見た目に現れるわけですが精神は別です。年齢が若くても老いるし、年齢を重ねても若くいられることを学びました。恐れるべきは物事や人に対して興味を失うことです。

40代の後半になると、がんばりでどうにかできなくなります。体力的な部分はごまかせません。寝る間を惜しんで勉強なんてしたら死んでしまいます。学びの時間を確保するために、生活スタイルも改めていかなければなりません。


思考は言語に支配される


英語を学びたいと思う理由の一つは、思考の幅を広げたいからです。というより、放っておくと狭くなっていくようで怖いのです。思考は言語によって行われると言われています。私の思考は日本語によって行われています。

日本語の語彙を増やしたり表現力を学ぶことで思考を深めていくことができると思います。外国語は語順も文法も違うので、これまで培ってきた思考のルールが通用しません。ドッカンと思考に刺激を与えることができます。気持ちを入れ直すにはすごくよいと思うのです。

ここまで読んでいただければ、なんとなく伝わっていると思うのですが、マンネリ化に恐怖を抱いています。新しいことに挑戦するのは攻めではなく老いに対する防衛です。

なんだかんだ、鍼灸師としてもベテラン組に突入してしまいました。私自身まだまだ勉強の身ですが、若手が育つ環境を整備することの役目を担う年齢でもあります。やることがありすぎて眠れません。だめだ、睡眠だけは確保せねば!

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2024年の挑戦(1)コラボセミナー(対話、英語、仙腸関節)
公開:
要旨: 今回は来年の活動について書きます。長くなったので5回に分けて書きます。 歳を重ねるたびに「こんな感じでいいか」と妥協が入り込むようになります。初心を忘れてしまうのです。ぬるい気持ちに支配されないために、新しいことに挑戦していこうと思っています。というこ...
クリ助の2024年のコラボレーションセミナー

今回は来年の活動について書きます。長くなったので5回に分けて書きます。

歳を重ねるたびに「こんな感じでいいか」と妥協が入り込むようになります。初心を忘れてしまうのです。ぬるい気持ちに支配されないために、新しいことに挑戦していこうと思っています。ということで、2024年は心新たに新人のつもりで挑戦する年になります。

課題は時間づくりです。これまでのように一日中施術というわけにはいきません。施術室から一歩引いた時間が必要です。若い時は施術に全振りしても寝る時間を削ってやれたのですが、今、一番大切なのは寝る時間です。

それでは具体的な挑戦について書きます。現時点で決まっているのは、次の5つです。

①コラボセミナー
②鍼灸院の多言語化の促進
③整動鍼の数値化
④疲労回復を目的としたパッケージの作成
⑤アスリート支援


今回は①コラボセミナーについて説明します。
3名のお相手がいて、「テツ✕整動鍼」、「英語✕整動鍼」、「仙腸関節✕整動鍼」、となっています。


テツ✕整動鍼


1つめの「テツ」が意味不明だと思いますが、長野の松浦哲也先生とのコラボです。まだ何をするか決まっていませんが、コミュニケーションをテーマとした実践に役立つものを企画したいと考えています。

鍼灸師という職業は、患者さんと円滑なコミュニケーションができるかにかかっています。私とは全く違うタイプなので違った視点から学べそうと見込んでのコラボです。彼のコミュニケーション能力には目を見張るものがあります。


英語✕整動鍼


2つめの英語とのコラボは、セラピストに英語教育を行っている宮口一誠先生(現在、鍼灸師を目指す学生)とのコラボです。宮口先生はアメリカでのトレーナーの実務経験を持つので現場の英語を熟知しています。

鍼灸師としては鍼灸のスキルをしっかり身につけることが一番重要ですが、英語ができると、養ったスキルを提供する対象が爆発的に増えます。

私自身、外国語は得意でもなんでもありませんが、スペインで講師をしたりする中で外国語ができると世界が広がることが想像できるようになりました。私にできない英語教育の部分を宮口先生に助けてもらいます。


仙腸関節✕整動鍼


3つめの仙腸関節とのコラボは、山梨の吉岡一貴先生とのコラボです。吉岡先生は、仙腸関節における最新の知見を有する柔道整復師です。

仙腸関節は、謎に包まれた関節と言われています。その機能についてわからないことが多いのです。誰も説明できない仙腸関節の動きと機能を、まるでエンジニアのように説く姿に度肝を抜かれました。仙腸関節について世界一だと思っています。普及させなければと使命感を掻き立てられる理論です。

その仙腸関節の知見を踏まえて鍼施術をするならどんなふうになるのだろう、という私の挑戦の意味もあり企画しました。


私がコラボをする条件は、憧れるほど高い能力を持っている人です。他にも能力の高い人が周りにはたくさんいて、コンプレックスを抑え込むのが大変です。

次回につつく…「②鍼灸院の多言語化の促進」

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