「触る」を見つめ直す二日間。副院長の視点で書いた触診合宿レポート

副院長の小堀です。

 

当院院長が代表を務める整動協会の主催で、触診をテーマにした合宿があります。

その合宿に養気院のスタッフと参加してきました。合宿はたくさんの気づきと刺激をいただいた濃い二日間でした。

当院では、「触れる」という技術に対して徹底した研修を行っています。

私の中で大きかったのは、院長が触診を行う上でのポイントをいかんなく言語化してもらった点です。

普段、院長が触診の質を上げるために何を考えているか?どうすれば触診の質が上がるか?

無意識かつ感覚的に行っていたことを改めて意識下に落とすことができ、新たな気づきや意識すべきことを見つめ直すことができました。

今回は2日間の合宿の様子や感じたこと、学んだことを振り返ってみるブログにしようと思います。

 

指先で触れ、指先以外で感じる

鍼灸師が身体に触れるときは、全身の感覚を使って相手を感じ取る必要があります。

具体的には指先の感覚だけでなく、そこから跳ね返ってくる感触や、手首・肘を通じて伝わる微妙なフィードバックなど。

指先だけの意識・感覚だけでは本来すべき触診としては不十分です。

今回の合宿では、そうした指以外で感じ取る意識をもって訓練を進めました。

練習の合間にお互いの感覚を言葉にして伝え合ったり、「今の触り方、ちょっと違うかも」「そこはもう少し広く」など、参加者同士で言葉を交える場面が多くありました。

 

点で触診する意識

鍼はとても細いが故に、狙うポイントは小さな「点」になります。

その鍼をするための触診なのですから、最終的には同じくらい小さな点で触診できなければなりません。

合宿では、まずはある程度広い「面」からスタートし、そこから文字通りの「点」を意識する練習を行いました。

最初は難しかったものの、意識を一点に絞ること

で、少しずつ“感覚の解像度”が上がっていくような手応えがありました。

 

仲間との交流

合宿1日目の夜は、参加者や講師の先生方とお酒を交えた交流会がありました。

鍼灸についての真剣な話もありつつ、普段は聞けないようなプライベートな話題でも盛り上がり、気づけば時計の針は日付をまたいでいました。

一泊二日という限られた時間の中で、同じ部屋で過ごし、同じご飯を食べ、同じ目標に向かって練習をする。

そのせいか、普段よりもずっと濃い時間を共有できたように感じます。

 

(盛り上がりすぎて、このときの様子を全く撮っていませんでした…保存された写真を見返して愕然。)

 

鍼の練習と「ツボ」への考え方

今回は触診をテーマとした合宿。そのため、なかなか鍼をもてません。はじめて鍼の練習に入ったのは二日目の午後。

ここまでの練習メニューを経て、やっと鍼を打つための「下準備」が整ったということです。

練習メニューで触診で培った感覚を大切にしながら、点に対して最大限に効かせる鍼を行う練習をしました。

普段は「ツボ」を狙って鍼をしますが、今回は触診でつかんだ感触から「ここに鍼をしたら変化が出そうだな」と感じる点を探して鍼を打ちます。

理屈で考えているポイントではなく、触診で得た感覚を大切にしていれば自然とツボにたどり着く。そんな意識を強くする時間でした。

普段は「ミリ単位でツボを探し出す」ことを念頭にセミナーが進行していくので、参加者の皆さんも新鮮だったと思います。

 

触診の個性と基礎の大切さ

これまで、整動協会で多くのセミナーに講師として携わってきました。その中で、鍼灸師それぞれに触り方の個性があることを目の当たりにしています。

触り方に個性はあっても問題ないと思います。ただし、あくまで「基礎の上にある個性」でなければならないとも思います。

今回の合宿は、その土台となる基礎を丁寧に養うためのものだと改めて感じました。

自分の中で当たり前になっていた部分を見直し、もう一度「基礎」に立ち返る大切さを学んだ二日間でした。