鍼灸師一年生のはるちゃん成長日記 22.ツボの探し方を伝授していただきました

こんにちは!新入社員の川﨑です。

普段私は、他のスタッフの予約の空き時間をいただいて練習をしています。

色々な練習をしているのですが、本日は取穴と触診の練習について具体的にどんなことをやっているのかを掘り下げてみます!

 

整動鍼とは

 

練習内容の説明の前に、当院で用いており、現在私が練習している「整動鍼」という鍼の技術について簡単に説明します。

 

整動鍼は、読んで字のごとく「ツボに鍼をして動きを整える」もので、当院の栗原院長が創案しました。

 

例えば、痛みがある場所をA点とします。このとき、A点に原因があるから痛みが出ていると考えるのではなく、違う場所にあるB点が硬くなってしまっていたりすることが原因となり、A点に痛みが出ると考えます。

そのため、痛みがあるところから離れた場所に鍼をすることも多くあります。

原因となっている場所(ツボ)を緩めるので、少ない鍼数で、その場ですぐに変化を感じることができます。

初診の患者さんにお配りしている『これからの鍼の話』という冊子では、絵を用いて分かりやすく説明しています。待合ホールにもおいてありますので、皆さんぜひお手にとってご覧ください!

 

取穴練習

 

取穴練習とは、ツボを探す練習のことです。「ツボ」は「経穴」とも言うので、穴を取るで取穴といいます。

取穴練習自体は学生時代にも経験しています。学生時代の練習と今の練習を比較するために、一度学生時代を振り返ってみました。

 

鍼灸学生は全身にある361のツボの名前と位置を覚えます。

例えば「足三里」というツボは、学校で使用した教科書には「下腿前面、犢鼻(ツボの名前)と解渓(ツボの名前)を結ぶ線上、犢鼻の下方3寸」と記されています。

これを覚えたら、今度は体でツボを取れるように練習していきます。

 

実際に教科書で定められた通りにツボを探していくと、大体このような感じです。

骨や筋肉、腱や靭帯などをランドマークにツボを探していきます。ちなみに、膝のお皿の下のラインから外くるぶしまでの長さは16寸とされています。

ここまでが、学校で行っていた取穴練習というものでした。正直覚えるのは大変だったし、取穴の実技は大の苦手でした。

 

しかし、今練習している整動鍼の取穴練習はさらに緻密で繊細で難易度が高いです。

なぜなら整動鍼では、従来のツボをさらに細分化し、ミリ単位でツボの座標を定め、ツボの大きさや感触までも定義されているからです。

そのため、学校で習ってきたツボと同じ名前のツボでも、位置をより細かく覚えないといけませんし、そもそも整動鍼特有のツボも多くあります。

 

新たに覚えた整動鍼のツボの座標に当てはめ、体でツボを取れるようにしていくだけであれば、学校での取穴練習と大きな違いはありませんでした。

決定的な違いは、先述した通りツボに大きさや感触があるということです。

 

整動鍼のセミナーテキストでは、ツボの大きさや感触をこのように表現しています。

「タイ米のようなコリッとしたもの」「骨にへばりつくガムのようなもの」「筋肉を繋ぐ橋のような横筋」など…

 

私は現在、ツボの場所を探せるようになるためだけではなく、このようなツボの感触を覚えるためにも練習をしています。

とはいえ、情けないですが、まだまだ正確な位置にツボを取れないことも多いので、繰り返しの練習あるのみです…

普段の練習は一人ではできないので、岡本さんや章代さんの身体をお借りしてツボを探し、小堀さんに確認していただいています。

 

取穴練習で覚えることを人で例えると、ツボの名前は氏名、ツボの位置はその人が住んでいる住所、ツボの大きさや感触はその人の顔や性格だと言えるのではないでしょうか。

今はまだツボたち全員と顔見知りになれていないので、何度も会いに行って顔や性格を知っていき、全部のツボと仲良くなれたと言えるよう、練習を繰り返していきたいです。

 

ツボを捉えるために

 

入社して整動鍼を本格的に学び始めて分かったことは、ツボを探そう探そうと指に力を入れてグリグリしてしまうと、逆にツボの感触がわからなくなってしまうということです。

イメージはこのような感じです。(拙いイラストですみません)

今はまだ体の使い方がつかめず、指に力を入れてツボを探しに行きがちです。

しかしそうすると、上図の真ん中のようにツボを潰してしまい、逆にツボの感触を捉えることができないということを教えてもらいました。

 

では、どうすれば適切な力でツボを潰さずに芯を捉えられるのかというと、指で押すのではなく、体重を利用して沈めていくような感覚を身につける必要があります。

これが身につかないと、どんなにツボの位置を覚えたとしても、本当の意味での取穴練習をすることができません。

今の私にはこの沈めていく感覚が圧倒的に足りていないので、それを養うための練習もみてもらっています。

(↑右手で背中のツボを捉える練習)

 

また、指を沈められないとツボを潰してしまうだけではなく、取穴する上で重要な目印となる骨の輪郭をしっかりと触ることができません。

 

浅いところで触れた部分が骨の輪郭だと勘違いしてしまいやすいのですが、更に指を沈めてみると、本当の骨の輪郭を感じることができるのです。

(カポスのスタッフブログから拝借しました。かつての先輩スタッフが分かりやすく説明して下さっていたので、あわせてご覧下さい)

このように、目印が正確に触れていないと、ツボを正確な位置で探すことができません。

 

取穴練習をしていても、深いところの骨が触れていないせいで、見つけた!と思っていたツボたちが全部ずれていた…なんてこともあります。

その度に「私がツボだと思っていたアレは一体何だったんだ…」と虚しくなります。

 

ついつい取穴の練習に重きを置きがちですが、練習をすればするほど、体の使い方や触り方の重要性を痛感する日々です。

そのため最近は取穴練習とは別に、ツボを捉えるための触り方の練習をお昼休みに小堀さんと行っています。

 

養気院のみんなにとって、体を休ませられるはずだった時間や仕事を進められるはずだった時間をいただくことで私は練習ができているので、いつも練習に付き合ってくれているみんなには感謝の気持でいっぱいです。

みんなが本来自分自身に使えたはずの時間を、未来の私に投資してくれているのが今の練習の時間だと思っています。まだまだ先は長いですが、みんなの気持ちを無駄にしないように、一つずつ着実に身に付けていきたいです。

 

それでは、また来週の水曜日にお会いしましょう!

 

広報 川﨑遥香(鍼灸師)