小堀です。
鍼灸の道に入って6年。養気院に来てから1年が経ちます。
ここでは院長の技術を学ぶために研修中の身です。
施術を見学したり、スタッフ同士で練習したりしながら、様々なことを学んでいます。
…突然ですが、家族が鍼灸師になったら、どう思いますか?
「なんでも治してくれるんじゃね?いいね!」と思う人もいるでしょう。
しかし、鍼灸の道はそんなに甘いものではありません。すべてが思い通りにいくとは限らず、葛藤もあったりします。
今回は、そんな葛藤を抱えながら自信をつけてきた話。
元気だった祖母の姿
私が幼稚園の頃、祖母と一緒に多くの時間を過ごしていました。
身体を動かす事が大好きだった私は
祖母に「野球しようよ」「サッカーしようよ」なんてずーっとねだってばかり。
この時、祖母は60歳前半。
幼稚園児といえども、パワーはそれなりにあります。でも、そんな私をずーっと相手してくれました。
おかげで、大きくなってからもそれなりに運動はできる身体ができています。
小学校の間は別に暮らしていましたが
中学校から専門学校までの9年間は再び祖母と暮らしていました。
母は仕事で忙しく、祖母が代わりに毎日お弁当を作ってくれたり世話をしてくれました。
当時は当たり前に感じていたものの、今振り返ってみると
こんなに長い間、世話してくれていたんだと頭があがりません。
免許を取ったのにみてあげられない
専門学校を卒業し、無事に鍼灸の免許を取りました。すると、周囲は期待します。
「鍼が打てるなら、あちこち治してくれるんじゃないか?」
「腰の痛みも、とってくれそう。」
しかし、免許を取ったからといって色々な症状を治せるわけではありません。
ここに入る前は、カナダで働いていたので祖母の身体を診てあげられませんでした。
研修の成果を試してみる
「そういえば…ばあちゃん、肩痛がってたな。」
2017年の冬ごろを思い出しました。
祖母は日々の家事の度重なる負担で肩を痛めてしまっていたのです。
他にもあちこち、痛むところが増えてきて
「歳だからしょうがないよね…」という言葉が目立ってきました。
1年弱の研修の中で、私は成長しているはず。
今までの感謝を込めて「治療をさせてほしい」と祖母にお願いしました。
祖母はあまり乗り気ではなかったように見えたのですが…ベッドを出して「いいからいいから」と治療を推し進めてしまいました。
昨日は実家で祖母の治療。
「歳だから…」と上がらなくなった肩を諦めていたので、「いいからちょっとみせて笑」と半強制的に鍼治療。
たった1本で「あれ?あがる?」と喜びと不思議の声。
治療後はなんだか生き生きしているように見えた。
(小堀@ちょっと泣きそう)— 養気院ようきいん (@yoki_in) April 23, 2018
その目論みは大成功。
痛みを諦め掛けていた祖母の表情が、生き生きと変わった瞬間を
目の当たりにして涙をこらえるのが精一杯でした。
治療が終わった後、祖母は
「また帰ってきて、他の部分も治してよ!これでどんどん若返っちゃうねえ。まだまだ死ねないねえ!」
なんて言ってました。
この後、トイレに行って一人で泣いたのはいうまでもありません。
来週はちょうどゴールデンウィーク。また実家に帰って祖母に鍼をします。
鍼灸師のよろこび
私は苦しむ誰かを救いたいという思いから、鍼の免許をとりました。
しかし、その道を応援してくれた家族が苦しんでいるのになかなか救ってあげられない、そんな歯痒い思いを続けてきました。
養気院に入り様々な研修で鍛えられた成果が、こういった形で還元できたのは非常に嬉しいことです。
これからも、この喜びを味わうために日々研鑽していきます。