小堀です。
アスリートとお腹と鍼治療。
「試合前に緊張してお腹を下しやすい人に鍼が良いですよ!」
みたいな記事にでもなるのでしょうか。
…いいえ、違います。そういう選手にも効果はありますが、今回の記事はどんな選手にも当てはまるような内容です。
鍼治療でお腹の硬さをとることでパフォーマンスが変わるんです。そう言える訳を紹介します。
お腹が硬くなるとしなやかな動きができず、冷静な判断ができない
まず、お腹が硬いとはどういうことでしょうか?まず固くなるのはどんなときか考えてみます。
人間に限らず、ほぼすべての動物は身構えたり身を守ろうとするときにお腹が固まります。内臓を守るためです。
つまり、危険を感じているときにお腹が固まります。そのときの精神状態は、殺気立っていて感情が高ぶっているでしょう。冷静さはありません。
カラダが身構えていて気持ちが殺気立っている、そんな状態では体のしなやかさは失われてプレー中の冷静な判断も難しくなります。
みぞおちが柔らかいとインナーマッスル(大腰筋)が活性化する
さらにいうと、アスリートのパフォーマンスとみぞおちには切っても切れない深い関係があります。
みぞおちのあたりには、大腰筋という筋肉がくっついていて、体を動かす上でとても重要な役割をもちます。
見てわかるように、上半身と下半身をつないでいます。なので、脚と胴体を安定して動かすための役割をもちます。
また、脚を上げるときに一番大きな力を発揮する筋肉です。
スポーツにおいて、脚を上げることは「走る」「蹴る」といった基本的な動作で繰り返し行われるため、高いパフォーマンスを発揮するために腸腰筋は大きな役割を果たすと言えます。
みぞおちが硬いと呼吸が乱れやすい
みぞおちは、肋骨に囲まれているような場所です。
そのため、みぞおち付近が固くなると肋骨の動きが悪くなります。
肋骨が肺の動きに合わせて閉じたり開いたりすることで、スムーズな呼吸がなされるのですが固くなるとどうなってしまうのでしょうか。
まず、肋骨以外の部分で呼吸の補助をしなくてはいけません。代表的なのは首の筋肉。
首の筋肉を使うと、当然筋肉は力が入り縮むので首の長さが短くなってきます。
すると、肩が上がってきます。こんな状態で呼吸をすることを「肩で息をする」というのです。
こんな状態で競技に臨んでいたら、すぐに息は切れてしまいます。
相手がいる競技であれば、肩が上がった状態は非常に動きを見切られやすいです。相手に何をするか読まれやすくなってしまいます。
そういうわけでお腹、とくにみぞおちを柔らかくしておくことはスポーツにおいて非常に重要になってきます。
お腹が整うと、軸が整いリラックスするので疲れない
鍼でお腹を調整することで、アスリートにとって様々な良い側面があります。
1つ目に、体の軸が安定します。
先に書いたように、みぞおちあたりから続く大腰筋の状態を整えることで、上半身と下半身がスムーズに連動するようになります。
また、大腰筋は走ったり蹴ったりする動きで主として使われる筋肉であるため、カラダが安定した状態でより早く動けるようになるのです。
2つ目に、より長い時間動けるようになります。
みぞおちの硬さを取ることで、呼吸がしやすくなります。するとより長い時間、高いパフォーマンスで動くことができるようになるでしょう。
3つ目に、肩が落ちたリラックスした姿勢で動けるようになるので相手に読まれにくい動きができます。
力感のない動きは、見た目以上に早い動きができるので予測がしにくいです。
これらの要因から、お腹の調整でパフォーマンスが向上するのです。
内臓と整えるツボを使うとお腹が整う
お腹の硬さは、内臓の調整をすることでとれます。これは鍼の得意分野と言ってもいいでしょう。
膝から先や肘から先には、内臓と関わりの深いツボが多くあります。
それらに鍼をすることで、内臓の調整がなされてお腹が柔らかくなります。
当院では、お腹全体を細分化してみぞおちをはじめとして硬さを取るべき場所を判断し、ひとりひとりにあったツボに鍼をします。
まとめ
「アスリートが鍼灸院に来てお腹の調整をする」というのは、あまり聞かない話かもしれません。
お腹の調整をすることでこれらのようなメリットがあることが知られていないからだと思います。
「試合前に万全の状態を作っておきたい」「より高いパフォーマンスを発揮したい」という方には、本番前の鍼治療でお腹の状態を整えておくことも手としてありですね。プロ、アマチュア問わず、お気軽にお問い合わせください。