活法ラボ(養気院)で実現したいこと(2) ―外国語+鍼灸で世界に関わりたい

新入社員の岡本です。

前回(「活法ラボ(養気院)で実現したいこと(1) ―高い技術を身につけたい」)の続きです。

 

外国語と鍼灸をどう結びつける?

わたしは大学で中国語を専攻していました。留学や仕事で中国に住んでいたこともありますし、いまでもちょくちょく行っています。

鍼灸師になって少し残念なのが、この仕事は基本的に日本国内だけ、もっと言えば、治療院から半径十数キロの圏内で完結してしまう職業だということです。

わたしはどちらかというと「外の世界を見てみたい、知らないことに触れてみたい」という意欲が強いほうなので、ずっと同じところでじっとしていることができません。

当たり前ですが、鍼灸師(正確には「はり師」「きゅう師」)というのは、日本国内で行使するためのライセンスですので、簡単に海外で治療に従事したりすることはできません(方法がなくはないですが)。

もちろん、それを知っていて鍼灸師になったので、文句があるわけではありません。

海外に行くから優れているとか、そうでないからダメだとかいう話をしているのではありません。あくまでも個人の性向のことを言っています。

 

「外国(語)にかかわりたい」という気持ちと、「鍼灸師をしたい」という気持ち。

 

この2つを結びつけることに腐心してきました。

神戸にいたころは、鍼灸の仕事とは別に中国語を教えたり、医療知識を生かして医療専門の通訳をしたりもしていました。それはそれで大変意義深く、自分を大きく成長させ、世界を広げててくれました。

しかし、外国(語)と鍼灸とをもっと直接結びつけたいという願いがありました。そんなときに整動鍼と出会いました。

 

ヨーロッパ、そして鍼の本家、中国へ

整動鍼の技術は海外からも注目を集めており、栗原は数年前から年に2回、スペインで技術指導をしています。

当たり前といえば当たり前ですが、言葉や文化が違っても、同じ人間です。整動鍼はスペインでも確かな効果と再現性を発揮し、歓声をもって迎えられています。

スペインでの整動鍼セミナーの様子

 

そうなると、中国と長く付き合ってきたわたしもウズウズしてきます。

「整動鍼を中国で披露する機会をつくりたい」

整動鍼を学びはじめてほどなくして、そう思うようになりました。まだ、入社も何も考えていなかったころです。

そして縁あってトントン拍子に入社の話が進み、栗原にそのことを打診したところ、もちろん賛同を得ることができました。活法ラボは、未知のことに挑戦することを評価してくれる会社です。具体的に考えていますので、そう遠くない将来に実現できるだろうと予想しています。

中国では、鍼はもちろん、伝統医学(中医学)は国家によって統一の基準があり、教育も行われています。中医学の医師免許というものも存在します。国策として中医学を世界に押し広めようという動きも活発に見せており、事実上、世界のスタンダードを握りつつあります。

しかし、整動鍼であれば中国という巨人の牙城に風穴をうがつことができるのではないか。本気でそんなことを考えています。

 

鍼治療の規格をつくる

中国だけにこだわっているわけではありません。

「再現性」という強力なよりどころをもつ整動鍼であれば、科学の俎上に乗せてひとつひとつのツボの有効性を検証する作業に耐えることができます。将来的に、整動鍼が鍼の規格となっていくことも想定されています。

それを行っているのが「日本鍼治療標準化学会(JASTAC)」です。このプロジェクトが軌道に乗れば、日本で生まれた鍼灸技術が世界基準になる可能性が出てきます。

「わが日本の誇りを!」と言っているわけではありませんし、鍼灸のすべてを整動鍼で統一するべきだと言っているのでもありません。覇権を握りたいわけではないのです。

しかし、鍼治療は、いまにいたるまで、いくつもの流派が混在したカオスな世界で、多くの人から怪しいもの扱いされいます。あまりにも自由すぎるのです。

 


実証に耐えるものが正しく評価され、医療として普通に利用される世の中が来れば素晴らしいと思いませんか? 高価な機材や薬品を使わずとも、患者さんを救うことができれば、それは人類の宝となりえます。

わたしは、活法ラボでそんな世の中をつくる仕事をしたいのです。そしてそれは、どれだけ実力があっても、個人の力だけではできないことなのです。

 

第3回につづく