鍼灸師の小堀です。
最近、思うことがあります。一般の人がもつ鍼へのイメージです。
現在日本の鍼灸受療率は5%と言われています。つまり95%の人は鍼を受けたことがない。
その95%の人の中に「鍼って実際どうなんだろう?」と興味を持ちつつまだ受けたことがない人もたくさんいます。
そう言った人たちがテレビ・雑誌などのメディアで鍼を知ることは少なくありません。
鍼に興味をもってくれることはすごく嬉しいのですが、残念なことに偏った鍼のイメージが広がっています。
テレビの情報はまだまだ影響力が強い
テレビの情報の質などが問われる時代となりましたが、まだまだその影響力は根強いです。
ニュースになれば、一気にみんながうわさする。
なので、鍼灸師の中にもテレビでとりあげてもらおうと取り組んでいる人たちもいます。
様々なイベントを開催したり、取材してもらったり。
そういう形で取り上げられると、やはりメディアのブランド力があるので様々な人にその情報が伝播します。
その影響力は、個人的な発信力を一時的にねじ伏せてしまうのです。
(といっても、すぐに忘れ去られてしまうのも事実ですが。澤村投手の件、まだ覚えている人はどれだけいるでしょうか?)
鍼100本は画になる
一昔前までは、鍼はテレビの対象にはなりませんでした。
しかし、ここ最近になり美容鍼が流行りはじめ、テレビメディアを惹きつけるようになりました。
そんな中で、顔にたくさん鍼をする方法が出てきました。
たくさんの鍼を顔にすることで、テレビメディアとしては画になります。
よくテレビで見かける鍼というと、たくさんの鍼を顔にする方法でしょう。
テレビがつくるイメージは強烈
一般の人にとっての鍼の印象は「顔にたくさん鍼をする」になっているのではないでしょうか。
実際、鍼をまだ受けたことがないけれども興味があるという人に話を聞くと
「テレビとかで見たことある。100本とかするんでしょ?」
って言われます。
最近のメディアへの取り上げられ方を考えると、そのようなイメージを持たれることは必然ですね…
複雑な気持ちになります。
テレビには映らない鍼灸の常識を知って欲しい
鍼はツボにしっかり当たれば1本でも大きな効果があります。
鍼100本の1本1本がしっかり効いてしまうと、身体に大きな負担となります。実は、学生時代に100本とはいかなくとも、背中に打てるだけ鍼を打ったことがあります。された人はその後、「だるい」と言っていました。
鍼をすることは、身体に刺激を与えることです。
余計な刺激は少なくしよう、というのが真っ当な考え方です。私たちの常識からすると、100本はやりすぎです。身体がビックリするだけでなく激しく疲労します。
その場ではお得な印象があるように思えても、身体には無理がかかっているのです。
「東洋医学や鍼は身体に優しい・副作用が少ない」とは言われていますが、それは適度な刺激を与えた時の話です。
漢方薬だって、飲みすぎたら身体に悪いのは想像つきますよね。鍼だって同じです。鍼を100本するなら、1本1本をしっかりやったらダメなんです。
これから鍼を受ける人たちには、たくさんの鍼を体に出すやり方が全てではないとと伝えていきたいです。1本の鍼がもたらす効果をしっかり伝えようと思います。