動眼神経麻痺
すべての症例を掲載することが難しいため、一部を紹介します。
症例1
患者
女性 30代 群馬県
来院
2003年2月
症状の特徴と経過
2002年12月、自動車事故にて全身強打、特に右側頭部を強いダメージを受けた。その結果、くも膜下出血、硬膜下血腫、脳挫傷、記憶喪失。手術はせず自然回復を待った。記憶は徐々に回復。翌年2003年、体の痛みを感じ(それまでは気が回らず)、右目の異常も発覚(どの段階で異常が出現したかは定かではない)。動眼神経麻痺と診断された。
- 眼球が動かない
- 眼球が右に傾いたまま
- 複視(一個のものが二個に見える)
- まぶたが上がらない
- 光量が多いとまぶたが開く
他の症状
右側頭部には外傷の痕跡、後頭部(左)のしびれ、足底(右)のしびれ
既往歴(これまでにかかった病気)
特になし
治療の内容と経過
初診時、「5回以内で変化が表れなかったら別の治療をしてください」と告げる。週3回のペースで施術をすることになった。1回目後、足のしびれを強く感じるようになり、新聞や本を読んだ時に複視が出にくくなった。2回目後、肩こりを感じるようになり、目の不快感が減少してきた。3回目後、まぶたの開きがよくなったきた。4回目後、右足底のしびれが減弱し、足に力が入るようになった。5回目後、足のしびれはほぼ消失。まぶた周辺の感覚がよみがえり、重みを感じ出す。…11回目後、眼球が下方に動くようになってきた。13回目後、眼球の動きを自覚できるようになった。19回目後、左右の動きがよくなったが、上下の動きが悪くなった。26回目後、復視が出ない時が1日に何度か現れるようなった。28回目後、眼球が正面を向くようになってきた。31回目後、治療後の変化が見られなくなってきた。…その後、週2回の施術でゆっくりと回復し、43回目の日、仕事に復帰できるまでに回復。67回で治療を終了。
著しい効果が見られたツボ
光明(右)、合谷(右)、太衝(右)、目窓(右)まとめ
症状が重かったことに加えて、動眼神経麻痺の治療経験がなかったため、回復の見込みは見当がつかなかった。幸い、すぐに変化が見られた。一旦、体のあちこちに違和感が出現したのは、鍼灸によって鈍化していた感覚が正常化したためと思われる。途中から回復のペースが下がり、治療が長期戦になったものの、社会復帰するまでに至ったことは喜ばしい。残念だったのは、引越により通院ができなくなり、違和感が残ったまま治療を終了したことである。
症例について
同じ病名や症状であっても効果には個人差があります。また、このページの症例は当院の経験であり、鍼灸の一般的な効果を意味するものではありません。